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朳差岳(足ノ松尾根/夏の終わりの百花繚乱)2019夏

朳差岳・鉾立峰・大石山( 東北)

パーティ: 1人 (ブナ太郎 さん )

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行程・コース

天候

晴れ

利用した登山口

足ノ松登山口  

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 奥胎内ヒュッテへの道は舗装されています。駐車場はヒュッテ手前で、50台ほど駐車できます。駐車料金はかかりません。なお、乗合タクシーの料金は、今年から片道700円となっています。

この登山記録の行程

足ノ松登山口(05:42)・・・姫子ノ峰(06:32)[休憩 9分]・・・ヒドノ峰(07:57)[休憩 8分]・・・大石山(09:28)[休憩 10分]・・・鉾立峰(10:26)[休憩 10分]・・・杁差岳(11:16)[休憩 54分]・・・鉾立峰(12:36)・・・大石山(13:18)[休憩 9分]・・・ヒドノ峰(14:16)[休憩 10分]・・・姫子ノ峰(15:20)[休憩 10分]・・・足ノ松登山口(15:58)

コース

総距離
約12.3km
累積標高差
上り約1,733m
下り約1,733m
コースタイム
標準10時間30
自己8時間16
倍率0.79

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 昨年、初めて朳差岳に挑戦した。だが、ものすごい暑さの中、両足の太ももが痙攣して、稜線まであと少しのところで止むなく引き返した。今回はその経験を元に、3Lの水分を背負って同じコースを登る。
 
 朳差岳は、飯豊連峰の北端に位置する山である。標高は1636.4mと高くはないが、登り始めの登山口の標高は470mである。標高差が結構あって、登り始めから急登が続く。ガイドブックには、「比較的楽に稜線まで登ることができる」と書いてあるが、それは他の飯豊連峰のコースと比較しての話である。

 もう一つ、付け加えたいのが、稜線に登ってからの行程である。稜線に乗り上げ、大石山から頼母木小屋まで歩くならば、なるほど、なだらかな稜線歩きとなる。ところが、朳差岳まで行くのであれば、のどかな稜線漫歩とはいかない。今回、稜線まで乗り上げて感じたのは、朳差岳までの距離の長さ、そしてその前にそびえる鉾立峰への急な登りである。
 前回、大石山を前に撤退した際、稜線まで登れば何とかなったのではと思ったが、こうして目の前に広がる雄大な景色を見ると、昨年はたとえ稜線まで登っても朳差岳まで行くことは不可能だったということがよく分かった。

 さて、2回目の今日は、前回とほぼ同じ行程を取る。夜中に家を出て、奥胎内ヒュッテには5時前に到着し、軽く朝食を摂って乗合タクシーを待つ。先回、館内改修のため臨時休業中だったヒュッテは営業していた。
 5時半にタクシーが出る。乗客はわたしを含めて4名である。全員が50代以上、男性2名、女性2名である。料金は片道700円で、昨年より200円の値上げである。「あまり乗る人がいないので」と、運転手さんが申し訳なさそう話す。

 5時42分に足ノ松尾根登山口を出発する。少し登ってブナの森に入ると、平坦な道がすぐに急登に変わる。ここから姫子ノ峰までは急登が続く。ブナの森はやがてヒメコマツに変わり、木の根が露出した登山道をじっくりと登る。前回ほど発汗はひどくない。歩き始めはこまめに休みを入れて、水分を補給するよう心がけた。

 6時32分に姫子ノ峰に飛び出る。谷から涼しい風が吹き上がってくる。しばらく休んで火照る体を冷やし、アップダウンのある尾根道へ進む。岩場や崩落地を越え、何度か登り下りを繰り返しているうちに、樹木はヒメコマツからブナに変わっている。

 7時32分に滝見場に着く。下に段差のある滝が見える。思ったよりも風が通らないので、ここでは休まずに英三の峰、ヒドノ峰を越えて、水場分岐の辺りで休憩を入れた。気温はかなり上がっているが、木陰では時折涼しい風が吹く。

 8時26分にイチジ峰を過ぎ、8時49分に、先回両足が攣った場所に着く。今回は水分補給をこまめにしているせいか、それほど疲れが溜まってはいない。正面には大石山が大きく、左手の鉾立峰から谷に切れ込む山襞が深い。多少の感慨を感じながら、この小ピークを通り過ぎた。

 急坂の途中で一息入れ、あとは一気に登って稜線に乗り上げた。ここが西ノ峰である。展望が開け、右手には頼母木小屋が確認できる。その先の稜線は、頼母木山から地神山に続き、さらにその陰には、飯豊本山がうっすらと見える。雄大な景色だ。

 大石山へはチシマザサの道を行く。西ノ峰から数分で山頂に着くが、どこが山頂かよく分からない。山頂を右手に行けば頼母木小屋、左は朳差岳である。左に進むと、そこは夏の終わりの花畑で、タカネマツムシソウ、ハクサンシャジン、ハクサンフウロなどが咲き乱れていた。花には蜂や蝶が止まり、空にはアキアカネが群れ、それらは登山道にもあちこちに止まっている。よく見ると、蝶はあの田淵行男が追いかけた高山蝶のベニヒカゲのようだ。

 花畑の先には、遠く鉾立峰、その陰に朳差岳が姿を見せた。ここからあそこまで行くのかと歎息してしまうほど、いささか意欲を失わせる距離と登り返しである。時計はまだ9時半過ぎ。よし、と気合を入れ、広い稜線を鞍部に下っていく。右手には新潟の山々、その先には新潟平野、さらに先には日本海が見える。これは絶景である。

 鞍部からは、およそ標高170mの登りである。傾斜がきつく、何度も休みながら標高を稼いでいく。立ち止まって振り返ると、大石山から頼母木山、地神山へ続く稜線が雄大だ。疲れた足をなだめ、10時26分に鉾立峰山頂に着く。誰もいない。

 対岸の朳差岳を見る。また同じような登り返しを経て、ようやくあの場に立つことができる。それにしても過酷な登り返しの繰り返しである。ただ、こちらの登り返しの方が、傾斜が多少緩やかな気がする。

 鞍部に下り、また緩やかに登っていく。しばらく辛抱しながら歩を進めていくと、傾斜が強くなり、そこを越えると稜線上に出る。左に立派なレリーフが据えてある。飯豊連峰の登山道を開いた藤島玄のレリーフである。

 ここを過ぎると、もうきつい登りはなく、目の前に大きくなってきた朳差小屋を目指してゆったりと歩いていく。周囲はきらびやかな花畑になっている。タカネマツムシソウ、ハクサンシャジン、ハクサンフウロ、アキノキリンソウ、タカネナデシコなどに混じって、ミヤマトリカブトの高貴な紫を見つけた。

 朳差小屋に荷物を置き、ペットボトルとカメラを持って山頂に向かう。11時16分登頂。山頂には誰もいない。思ったよりも時間はかかったが、昨年の借りを返したことで満ち足りた気持ちになる。山頂からは新潟平野と日本海、飯豊連峰の山並みなどが望める。素晴らしい眺めだ。ここでしばらく風景を眺めていると、単独の男性が登ってきた。今朝の乗合タクシーで一緒だった方である。

 12時前に小屋を出る。花畑の中を快調に下っていく。天気は下り気味で、飯豊の山並みはガスに覆われてきた。鞍部に下る道にも花が多い。下って登り返し、鉾立峰に着く。単独の女性が休んでいた。聞けば、今日は朳差小屋に一泊するらしい。

 鉾立峰からの下りも順調で、下り切ってから広い鞍部を進む。ここも花が多い。大石山が大きくなり、登りになると高山蝶のベニヒカゲがあちらこちらで舞っている。道端に二度咲きのハクサンイチゲを見つけた。そういえば、今年、ハクサンイチゲを見るのは初めてである。

 大石山山頂手前で休憩する。日差しが復活し、かなり暑い。ここからはもう下るだけだが、飯豊の下りはどの山も厳しい。登りがきつければ、当然下りもきつい訳である。時折吹く涼しい風で体を冷やし、水分を補給してこれからの長い下りに備えた。
 
 それでも、下りは厳しい。西ノ峰からは順調に飛ばし、13時49分にイチジ峰、14時23分に水場分岐を通過する。そこから少し進んだところで体が熱くなり、ブナの木陰で休憩した。3L持ってきた水分も、大分残り少なくなってきた。

 14時35分に滝見場に着く。休もうと思ったが、ここは風が吹き抜けず、そのまま下る。ここからは暑さとの戦いになり、次第に歩く速度が鈍って、姫子ノ峰に着いたのが15時20分である。40分発のタクシーには間に合わないので、16時発を念頭に、10分ほど休憩した。

 ここまでくれば残りはもうわずかなのだが、暑さで足が進まない。転ばないように気をつけながら、ヒメコマツの道を過ぎ、ブナの道に入ってしばらくすると、ようやく平坦な道が目に入ってきた。つづら折りの道から、平坦な道に進み、15時58分に登山口に戻る。やっと間に合ったタクシーは冷房が効いていて、火照った体に心地よい。
 奥胎内ヒュッテに着くと、真っ先に自販機で冷たいコーラを買い、一気に飲み干した。

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登った山

朳差岳

朳差岳

1,636m

鉾立峰

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1,573m

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