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大神の待つ神話の山 両神山

両神山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビに「両神山荘」をセット。ダリア園を過ぎた付近から車幅が1車線と狭くなるが、舗装道路で危険個所はない。突き当りに有料駐車場あり。15台程度で1,000円/日(500円と聞いていたのに?値上がり??)。トイレあり。その数百m下に、無料駐車場が隣接して2つある。登山口へは階段でショートカットができるため、無料駐車場で十分便利。ただし、ここも台数は多くないため早めの到着がお勧め。

この登山記録の行程

第1無料駐車場(4:56)・・・登山口(5:06)・・・両神神社里宮・・・七滝沢コース分岐(5:29)・・・八海山・・・弘法の井戸(6:26)・・・清滝小屋(6:37)・・・鈴が坂(6:48)・・・両神神社(7:16)・・・剣ヶ峰(両神山頂)(7:39)(休憩~8:16)・・・両神神社(8:33)・・・鈴が坂・・・清滝小屋(8:57)・・・弘法の井戸(9:03)・・・八海山・・・七滝沢コース分岐・・・両神神社里宮・・・登山口(10:18)・・・第1無料駐車場(10:23)

コース

総距離
約11.0km
累積標高差
上り約1,896m
下り約1,907m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

両神山。その名前に惹かれていつかは登りたいと思っていた。名前の由来は所説あるが、一般的には「イザナギ(伊邪那岐命)」と「イザナミ(伊邪那美命)」の神(二柱)を祀っていることから両神山と呼ばれるようになったと言われている。イザナギとイザナミと言えば、日本列島や多くの神々を産み出したとされる日本神話の始まりの神様。そんな古事記の世界を想像するだけでも行ってみたくなる。山頂でそんな世界を思い描いてみよう。そして、今回もう一つミッションを設定した。それは「愛らしいアイツに会うこと」。詳細は後述で。
前日入りで秩父を目指す。途中、長瀞に立ち寄り特別天然記念物の「岩畳」等を見て回る。普通に歩いているだけでも気絶しそうな猛暑に、Tシャツが一瞬で汗だくになってしまった。波しぶきとともに歓声が上がるラフティング。岸辺でBBQを楽しむファミリーと、長瀞はアウトドアには最高の場所だ。
一通り観光地を巡った後、夕方、岩畳に戻ってきた。岩の上に腰を掛けて、暮れていく風景を楽しむ。川岸で少しは涼めるかと思ったが、太陽が沈んでも嫌な暑さがそのまま残っていた。
「長瀞」というと個人的には「埼玉」よりも「和歌山」を最初に連想する。そもそも「瀞」とは川の流れを表す言葉で、カヌー用語では「瀞場」というが、長い距離に渡って流れが緩やかな場所を指す。エメラルドグリーンの穏やかな川面を眺めながらカヌー(カヤック)でホワイトウォータに夢中だった頃に想いを馳せる。今や遠い昔。笑。

食料を買い込み、道の駅「両神温泉薬師の湯」に一泊の陣をとる。登山口まで行ってしまおうかとも思ったが、道の駅には温泉もあり何かと便利だ。
昼間の熱気は深夜になっても残り、汗が滝のように流れ落ちて眠ることができなかった。それでも数時間は体力回復ができただろうか。
3時に行動を開始して、身なりを整えてから登山口へと車を走らせる。
第1無料駐車場に一番乗り。日の出とともに歩き出す。
バス停向かい側の階段を使って、登山口となる両神山荘脇までショートカットをする。ショットカットの階段には、「両神山 山頂」の矢印が設置されていた。間違いではないが、スタート時点から「山頂はこちら」はさすがに気が早くないか?と思ったのは自分だけか。ちなみに今回選定したのは最もポピュラーな日向大谷コース。その表参道と呼ばれるコースを使って登る。標高差1,100m。全部で5.6kmの行程。
スタート時点はほぼ水平移動。小さな鳥居をくぐり石像に「今日はよろしくお願いします」と頭を下げる。ここから本格的な登山道がスタートする。
軽いアップダウンを繰り返しながら携快に進んでいくと沢の音が聞こえてきた。
ほどなくして七滝沢コースとの分岐点。下山時に七滝沢コースを使おうと目論んでいたのに、「通行止め」と書かれている。台風19号の影響で崩落しているとか。コロナの時節柄、万が一のようなことは控えるべきと、ここは大人しく拝承。
沢に合流。何度か渡渉しながら沢に沿うように登っていく。水の流れる音に癒される。昇ってきた太陽の光が、木漏れ日として差し込んでくる。朝一番の陽射しだというのに、とても力強い。今日も暑くなりそうだ。渡渉のたびに、立ち止まって沢の水で顔を洗う。
水場「弘法の井戸」に到着。
大きな岩の下にパイプが2本突き出ていて、湧き水が流れ出していた。
手ですくってみると、沢の水よりも断然冷たい。地下水だろうか。一口飲んでみるとまろやかでとても美味しかった。飲み過ぎると胃液を薄めてしまうので、夏場の水分補給にはいつも気を使っているが、あまりの美味しさについ「もう一杯だけ」と水を掬う手が止まらない。
手の水を払い、顔をあげると、苔むした岩の上に弘法大師の石像があった。水を飲み干すまで全く気が付かないとは、いやいやお恥ずかしい。
ここから沢を外れ斜面を登っていく。次の目的地「清滝小屋」まではそう遠くはない。斜面を登っていくと樹木の間に大きな屋根が見えた。避難小屋だと勝手に思っていたが、炊事場や休憩所もあって、想像以上に立派な小屋だった。今は休業していて無人になっているとか。覗いてはいないが、(少なくとも外観は)綺麗なトイレもあった。
裏側のテント場に回ってみると、テントが2張りあった。一晩泊まって早朝に日の出アタックでも狙ったのだろうか。
小屋を過ぎて、斜面をつづら折り状に登っていく。「鈴が坂」に入ると更に斜度が一段増す感じだ。日向大谷コースは全体的に急登と呼ぶような坂はないが、沢を離れてから山頂までは、ひたすら休みのない坂道が続くため地味に体力を要する。
斜面を登りきると「産体尾根」と呼ばれる変わった名前の尾根に出る。尾根に出ると視界が開け幾分気持ち的に楽になるが、コース的にはここからがラストスパートで踏ん張りが必要。開けたところから両神山の山頂付近が望める。尾根沿いに登り緩やかに右にカーブするように山頂を目指していく。
足場の悪い鎖場が続くが、鎖に頼らにと登れないような危険個所はない。
大きな「横岩」を過ぎて、進んでいくと朱い鳥居が見えてくる。ついに両神神社に到着。
本日のミッション「愛らしいアイツに会うこと」の目的地だ。
ソイツは鳥居をくぐった直ぐのところに左右に分かれてちょこんと座っていた。
大昔、神社に狛犬を置くことになった際に、誰も狛犬なるものを知らなかった初期の頃は、「狛犬ってなんだ?犬か?」と勝手に想像で作った時期があった。この時に作られた独創的な狛犬をぞくに「へんな狛犬」と呼ぶ。Googleで検察してみると分かるが、全国には愛らしい変顔をした狛犬が多数存在する。それはそれで一見の価値がある。
長い前振りをしてしまったが、しかしながらソイツは同じ変顔でも「へんな狛犬」ではない。負けず劣らず愛らしい顔とユニークなフォルムをしているが、よく見ると愛らしい顔には鋭い牙が生えている。そう、これは犬ではなく最強のオオカミ。
両神山には神犬信仰のもとになっている神話が残っている。両神山にイザナギとイザナミが祀られているのは、日本武尊が東征の折にこの地を通りがかった際に二柱を偲んで祀ったと言われている。その時、日本武尊を両神山まで案内したのが、真っ白なオオカミだったとか。オオカミの語源は「大神」。調べてみると「日本書紀」ではオオカミのことを「かしこき神(貴神)にしてあらわざをこのむ」と表現しており、神様の使いとして崇めている。秩父周辺では、両神山のようにオオカミを祀っている神社が多い。特に三峯神社は有名だ。
二対の狛犬をよく見比べてみると、正面に向かって右側が雄、左側が雌であることが分かる。興味深くて見ていても飽きない。
両神神社までくれば山頂も近いのかと思っていたが、意外に距離があって驚いた。ただし、神社以降はほぼ水平移動なので、もうひと踏ん張りだ。横を見ると下から雲が競り上がってきていたので、先を急ぐ。時間との勝負だ。
岩場に足をかけ身体を持ち上げると山頂の標識が目に飛び込んでくる。剣ヶ峰と呼ばれるだけあって、積み上げられた岩の塊のような場所だ。山頂部分はとても狭く、岩のてっぺんに祠と三角点が設置されていた。一番高いところに立つと360度の絶景が見渡せる。秩父の山々が特に美しい。たおやかな稜線歩きがいまだ忘れられない雲取山も見える。雲取山からの稜線を辿っていくと甲武信ヶ岳がある。そして、雲取山と甲武信ケ岳の間には富士山も見える。もう少しゆっくり眺めていたかったが、競り上がってきた雲が直ぐに視界をふさいでしまった。本来であれば、南アルプスや八ヶ岳も見えるはずだが、こちらは既に雲の中だった。秩父山系と富士山を拝めただけでもラッキーか。
腰を下ろして、雲の流れと雲の合間から見える山々の風景を楽しむ。登ってきた方向の反対側、つまり山頂の向こう側には明らかに山容が異なるのこぎりの歯のような稜線が延びている。鎖場が30も連続するという関東屈指の岩場、八丁峠コースだ。岩場・鎖場ハンターとしては、上級者コースと聞いてワクワクしない訳がない。実は今日も密かに八丁峠まで足を延ばしてピストンをするつもりでいた。しかし、山頂に立ってみると妙に冷静に八丁峠コースを眺めている自分がいる。不思議なほどに気分が乗らない。照りつける太陽で気絶しそうなくらい暑いが、水はまだ3L以上残っている。体力や足の状態も申し分ない。しかしなぜか山頂で折り返えすのが正しい決断のように思えた。虫の知らせ的なものか、なんだかよく分からないが、こんな日は素直に心に従うべきと昔から決めている。
八丁峠コースのさわりだけ確認してから下山開始。岩場・鎖場ハンターは別な機会に出動だ。
全体的に登りやすかった日向大谷コース。降りはスピードを載せて一気に降る。降りると決めたからには、頭の中には「温泉」の漢字二文字でいっぱい。
かくして、猪突猛進で下山。野宿をした道の駅「両神温泉薬師の湯」に舞い戻り、良質な温泉に肩まで浸かる。熱中症ギリギリで歩いていたが、温泉でさっぱりリセットすることができた。ちなみに薬師の湯は大人600円。これにモンベル会員証を提示すると1割引きが適用できるのでお得。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 伊吹では白いイノシシだったんですけど。たける君、現代の田中陽希さんですね。

  • そう大台ヶ原とかあちこちに行ってるね。そう言えば。

  • オオカミの狛犬、武蔵御嶽神社(御嶽山)にもありますね。
    大口真神(オオクチノマカミ)といって、昔から奥多摩、秩父方面ではオオカミ信仰は盛んで
    いろんな所の神社に、オオカミの護り札が貼ってありますね。

  • 永ちゃんさん、コメント有難うございます。
    大口真神の名前がついた逸話は知りませんでした。興味深く勉強になりました。山を歩き神話に触れるととても不思議な世界に導かれますね。
    有難うございます。

登った山

両神山

両神山

1,723m

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