『１００３山』には千葉県の山７座が収録されているが、まったく手付かずの状態である。「2011年は、千葉の山も登ろう」と決意し、「手始めに、最高峰の愛宕山へ登ろう」と計画する。
　愛宕山三角点は航空自衛隊嶺岡分屯基地の中に在って事前に予約すれば隊員が三角点へ案内してくれることを知り、「仕事始めの正月２日に登ろう」と予約を入れておく。
　乳牛研究所の草の斜面で遊ぶ山羊を眺めながら走って、『ここより自衛隊道路』の表示がある国道410号線の分岐に車を停める。ゲートの前まで車で上がることも可能だが、「山屋たるもの、歩いて登るべし」と舗装道路を急ぎ足で登って行く。距離標が設置してあるのに気付いて気を紛らわすために数えてみると1,000ｍを歩くのに1,240歩を要し、歩幅81㎝と知る。
　思ったより早くゲートに着き、電話で連絡すると隊員が姿を現して鍵を開け、基地内へと案内する。正門で氏名を記入して番号札を付け、案内係に従って山頂へ通じている山道の階段を登ると、三等三角点の周りが草を刈って綺麗に手入れされている。
　事務官は、「見学者が多いので隊員が階段を整備し、新年を迎えるために草も刈ったんですよ」と気さくな感じで説明し、「お元気でしたら、富士山と東京湾が見える所へ案内しますが」と勧める。基地内には隊員200名がおり、３交代で24時間勤務している事や、嶺岡基地は米軍のレーダーサイトが前身であること等々、質問するといろいろ答えてくれる。
　「乳牛研究所から通じている登山道を歩いて下りたいんですが」と要望すると、「正門以外からは出入り出来ないし、自分は16年ここに勤務しているが登山道は無いと思う」と告げられる。「16年は長いですね」と水を向けると、「この春には転勤が決まっている」などと雑談する。
　最後に名刺を渡され、「今年度505人目の見学者でした」と言われる。「今年は？」と聞くと、「嶺岡神社の手入れをしに来た人が居るけど、実質一番乗りです」と嬉しい事実を知る。
　　番号札を返して中門の鍵を開けてもらい、基地の外へ出る。途中で一息入れて食事を取り、車道を歩いて引き返す。