• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

日本千山 1344/1357

千山最終座(暫定)蕎麦粒山( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (1357 さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

登山口(15:00/6:05)湧谷分岐(1005m/8:55)P1075(9:30)蕎麦粒山(11:00~30)分岐(12:05)林道(13:25)~480㎞~自宅()

コース

総距離
約7.2km
累積標高差
上り約1,098m
下り約1,098m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

 舗装道路を奥まで行過ぎて引返すと、地形図に描かれた林道は存在せず、右岸の登山口へは渡渉しないと行けないと判明する。「明るいうちに着いて偵察出来たので良かった」と観察すると、左岸の雪の上に渡渉点へ向かって真新しい足跡が続いており、中間尾根の末端には雪の残ったジグザグ道が見えている。浅瀬があって深い部分の幅はせいぜい1~2m程で、「ズボンは濡れるだろうが、渡渉は出来るだろう」と胸算用する。
 今朝は起きるのが辛かったので、「たっぷり寝て、体力を回復して蕎麦粒山頂を踏むぞ」と決意を固める。貝月山の4.5時間の行動で熱くなった体には、雪で冷やしたビールが殊の外美味く感じられる。

 5時起床、幾らか白んでいるが、まだ星が輝いて見える。運転靴を履いてビニール袋で包み、流れに踏み込んで足早に渡渉して右岸の雪原へ上がり、登山道の草むらでプラブーツに履き替える。水が切れるように靴と靴下を傍らの木にぶら下げてから歩き始める(6:25)。
 トラバース道を数百m進み、小尾根末端から杉林の中に入って登る。断続する雪の上には1週前と思われる足跡が残っており、夏道の位置を見極めながら歩いて南尾根へ上がって急登し、標高650m付近で1本目を立てる。
 間もなく雪面が続くようになる。川原の雪原はそっと歩くと踏み抜かなくて済んだが、南尾根の雪は朝陽の直射を受けて早くも腐り始めてズボッズボッと潜り、時には太腿まで落ち込んで体力を使う。昨日の貝月山ではワカンが無くても歩けたので今日はアイゼンとバイル持参としたのだが、「最後までこの調子なら大変だ」と心配し、上部の雪が締って左程潜らないのを期待せずには居られない。標高850m付近で2本目を立て、水1ℓをデポする。
 支尾根が分岐する標高940mまで登って平らな雪原を行き、さらに50m登って湧谷山への分岐に着く。高度計の上がり方が小さく、現在位置の標高が地形図と一致しない。先週の熊本の山で高度計の不調に気付いたのだが、購入後5年半を経過しており使用頻度が多くて寿命に達したのかも知れない。
 万が一の天候悪化でも進路を見失わないように、何れの分岐でも雪原に目印の木の枝数本を刺して先へ進み、1,050mの小ピークを越えて雪稜歩きを楽しみ、P1,075で3本目を立てる。蕎麦粒(そむぎ)山西尾根が正面に見上げられ、2か所の黒い部分が目を惹き付けて「籔の所は夏道があるだろうが、岩峰部は手強いかも知れない」と観察する。急傾斜部には鱗状の旧いステップが見えて頼もしく思われる。
 最低鞍部へ下って、200mの登りに掛かる。まだ朝陽の直射を受けないので雪はそれ程緩まず、潜り方が少なくて快適に歩ける。中間点付近で雪が途切れ、石楠花の間に通じる踏跡様の夏道を登る。岩峰部も北斜面の巻道から問題無く通過する。
 標高が1,200m近くなり、山頂への最後の急斜面を見上げる。少し緩んできた雪面にキックステップがよく利いてアイゼンも不要だが、息切れして一気には登れない。幾度も立ち止まって呼吸を整えながらブナ林を喘いで登ると、青空を背景に雪庇の落ちた垂壁の上の純白の山頂が姿を現す。籔の出た小鞍部で雪穴に落ち込んでクソッと歯噛みし、力を振り絞って十数m登って千山最後の絶頂に立つ。
 天狗山から五蛇池山を経て蕎麦粒山に登り湧谷・丁子山まで一周した記録がネットに出ていたが、「これを1日で歩くのは、ピストンするにしても自分には無理だった」とあっさり認めざるを得ない程に長い。第2案は少し距離の短い天狗山の西側の尾根を登ろうと見直したもので、第3案はさらに距離の短い湧谷山を経るものを考えたのだが、「何れのルートでも山スキーが大して役に立ちそうにないから、夏道をワカンで登った方が日帰山行での登頂の可能性が高いだろう」と考えて最終ルートを決めた次第だ。
 最高点の足元の雪を踏み固めてザックを下ろし、千山最終座登頂記念の写真を撮る。一息入れて「ケロヨーン」とコールすると「おーい」と返事があり、程なく雪稜の上に2人が姿を現し、アイゼン・ワカンの装備で軽快に登って来る。
 地元の人で「南稜を登ったけど、急なだけだった。小蕎麦粒山の鞍部から登る人がもう1人居る」と言う。「柏ナンバーの人?」と聞くので「そうです」と答えると、「マジで柏から?」と呆れた様子だ。「千山と言うのがあって、最後の山なんですよ。昨年末に登る予定だったんだけど、雪が来るのが早過ぎて春になってしまって」と説明するが、あまりピンと来ないようだ。
 熊本土産の芋餡饅頭とコーヒーを堪能してゆっくりと休み、山頂を後にする。下りはずいぶん楽で、登り1,040m/245min≒250m/hrに対し、下りは600m/hr(何れも休憩時間を除く)と稼いでいる。
 渡渉点に戻り、靴を履き替えるのを面倒に感じて「スパッツをしているから、走り渡ればプラブーツの中までは濡れないだろう」と横着すると、膝上くらいの深さの所で石に滑って転んでしまい、濁った雪解け水で全身ずぶ濡れになる。
 当然のことながら靴の中まで水が侵入してしまい、翌日の母袋烏帽子岳の山スキー登山を諦め、岐阜までの遠出を2日で切り上げて帰途に就く。山の眺めを期待して中央高速を走ると、午後は急速に雲が広がって三千m峰の拝顔は叶わずに終わる(往復970㎞)。

*備忘録
 国土地理院の『日本の山1003』と山と渓谷社『日本の山1000』を併せたものを日本千山と称しているが、両書を合わせると1357座となる。共通702座/地理院独自357座/山渓独自298座となっている。
 1344座をもって「日本千山踏破達成」とする。理由は、残り13座は活火山で登頂出来なかったり(5座)、交通の便が無くて行けなかったり(6座)、自然保護で登山禁止(1座)、米軍基地内立入禁止(1座)となっている。三宅島の雄山とか昭和新山は何れ登頂できるかもしれないと期待はしているが、間に合うか如何か?
 なお、1357座の一覧はメールでの送付可です。

続きを読む

フォトギャラリー:2枚

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

登った山

蕎麦粒山

蕎麦粒山

1,297m

登山計画を立てる