行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
小川市民運動場。大会時はグランドが解放されるが、夜間車中泊の場合はグランド下の舗装された駐車場が使える。ただしトイレ無し。
この登山記録の行程
茱萸平橋(06:04)・・・屹度屋山展望台(07:06)・・・屹度屋山(07:17)(休憩~07:24)・・・加路川下山口分岐(07:48)・・・三森山(08:33)・・・千軒平溜池(09:01)・・・千軒平林道三又路(09:05)・・・巡視路登り口(09:39)・・・猫鳴山(10:05)・・・二ツ箭山(10:59)・・・月山(11:10)・・・駐車場(11:49)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
以前参加した「いわき七峰縦走」の番外編で、「グルッと二ッ箭山」という大会が開催されるという。知り合いから聞いてすぐに申し込んだ。
雪山に向けてのトレーニングには丁度良い。参加費は3,000円とリーズナブル。
申し込んだのは3コースあるうちの一番距離が長い「三森山コース」。と言っても約21kmなので、六甲全山縦走や外秩父七峰縦走からすれば半分にも満たない。これを制限時間10時間で歩き切る。普段から山歩きをしていれば身構えるほどではないが、累計高低差は2,020mとそれなりにあるので、要所に急登が待ち構えているとワクワクしてくる。
前日のうちに受付会場となる小川市民運動場へ移動を済ませる。
近くのスーパーで食料を買い込んで車中泊。できれば道の駅が良いと思ったがあいにく近くにはなかったため、真っ暗でトイレも無かったが朝に移動しなくてもよいという利点でそのまま小川市民運動場を宿泊地に決めた。
天気予報ではここ最近一番冷え込むと言っていたが、雪山用装備を持ってきたので快適に眠ることができた。沢山の車中泊者を予想していたが、夜間に出入りした車は意外に少なく、静かな夜を過ごせたのもよく眠れた理由の一つだった。
4時に起床。
外に出ると冷たい空気にブルっと身体が震えた。頭上には満天の星空。いつの間にか冬の星座が空を占めていた。
5時になり参加者が徐々に集まってきた。グランドに車の列ができあがっていく。
自分が参加した「三森山コース」は一番距離が長いため5:30から受付開始と書かれていたが、実際にはその少し前から受付が始まっていたので、名前を告げてバスに乗り込む。
出場者は受付会場からバスに乗り、それぞれの出発地点へ移動することになる。三森山コースの出発地点は「茱萸平橋」というところ。
「3名の参加者がまだ来ていない」と言うことで、予定の5:40から10分ほど待ってから遅れてバスが出発した。
バスに揺られる出場者たち。
登山者と言うよりはトレランスタイルの方が目立っていた。六甲全山縦走のように「走る」ことを禁止している訳ではないので構わないが、走るのが目的であれば、トレランに特化したレースに参加すればよいのにと、つい思ってしまった。もちろん、山を楽しむ大会なので、順位を規則訳でもなく、逆に誰が参加してもいいのだが。
6:00、日の出前。
真っ暗な林道からスタートを切っていく。開会のあいさつや、スタートの掛け声がある訳でもなく、各自がバスから降りた順番で歩き出していくゆるい感じ。
焦らずゆっくり最後尾から追い上げていけばよいと、ヘッドライトを点けてのんびりと歩き出す。
10分もしないうちに周囲が明るくなってきた。ちょうど身体も温まってきたので、アクセルを踏むように徐々にスピードを乗せていく。
林道から登山道に変わりようやく登山らしくなってきた。
少し進んだところで道が左直角に折れている箇所にぶつかった。正確には左に折れているように見えるが、直感的な違和感から歩みを止めてみると、大きな溝で遮られていたのでとても分かりづらかったが、微かな踏み跡が真っすぐに延びている。正直、この場所には看板を建てておかないと道迷いの原因になりかねないと思った。
登山道は尾根伝いに変わり、一直線に空へ向かって登っていく。
容赦ない急登。しかし、冷たい朝の空気を切るように勢いをつけて登っていくが心地よい。振り返ると少し離れた下の斜面から大きな声で話しているグループの声が聞こえてきた。どうやらルートを確認し合っているようで「こっちだ!」と叫んでいた。ちょっとするとミスルートをしているのは自分の方かも知れないと一瞬不安になったが、たとえ間違っていても登りきったところで、合流地点を探せばよいと歩きに専念することにした。
展望台と書かれた小さな看板に誘われて、見晴らしの良い岩の上に出た。
真正面に見える峰々の真上に、今日生まれたての太陽が昇ってきたところで、赤々と燃えていた。朝日を浴びて元気百倍だ。
最後の斜面を登り詰めると、頂には4人のスタッフが出迎えてくれた。
最初の山「屹度屋山」に到着。標高874.6m。
「きっとやさん」という可愛い名前で覚えやすい。眺望がよく遠くの海岸線まで見渡すことができた。スタッフの方が、「コーヒーとお菓子をどうぞ」と進めてくれたので、ポットから熱いお湯を頂いて、休憩をすることにした。
スタッフの背中には主催の「石城山岳会」と文字が入っていた。諸説あるらしいが「いわき市」のいわきは「岩城」と書くのが由来らしい。あとで調べてみたが、「718年に石城国が誕生し、その後1602年に磐城平藩が成立したのが、いわきという地名の由来」とのこと。スタッフの方と暫し周辺の山々について話が盛り上がる。頂いたお菓子やバナナも有志による差し入れだという。有難いことだ。
屹度屋山からは縦走モードに入り次の「三森山」を目指す。縦走と言っても峰から峰と言うよりは林を突き抜けて進む感じのコースが多かった。
「猫鳴山」を示す看板が出てきたが、コースは迂回するように三森山へ延びている。
チェックポイントを通過した時に、女性スタッフの方から「早いですね、10本の指に入っていますよ!」と声をかけられた。
「有難うございます」と返事をして通り過ぎたもののどうにも解せない。それなりの速度で追い上げているが、追い抜いた人数は限られている。最後尾スタートだったのでそんなに上位にいるはずがない。大会には3つのコースがあるため、「ひょっとしたら別なコースに紛れてしまったんじゃないか?!」と急に不安になってしまった。(そもそもコースを頭に入れずに参加している時点で反省もの)
戻って聞いてみたが、コースは間違えてないという。不安は残るものの、そのまま進むことにした。
三森山へ到着。標高655.8m。
三森というので、3つの尾根からなる山だと勝手に想像していたが、縦走路のピークの一つと言った印象で、正直、頂をおさえた達成感は少なかった。ただ、海が近く、広野町の火力発電所だろうか。大きな煙突がよく見えた。
ここで一旦、山を降って千軒平溜池へ出る。
暫く続く林道歩き。しかも登り。これが地味に長かった。
かなり高度を上げたところで、ようやくチェックポイントの「巡視路登り口」が見えてきた。スタッフの人が、「巡視路分岐点まで約40分。そこを左に二ツ箭山へ向かってください」と説明してくれた。
林道に飽き飽きしていたので、全力で駆け上がりあっという間に分岐点へ到着。
以前にも歩いたことのある懐かしい道があった。
スタッフの方の説明の通り、左に折れようかとも思ったが、ここで初めて気が付いた事実。自分の参加した「三森山コース」には猫鳴山の頂が含まれていない。然しながら、「ここまで来て頂きを踏まないのは、失礼にあたるだろう!」と、分岐点を右へと折れて猫鳴山まで足を延ばすことにした。
猫鳴山の頂周辺では、強い風が吹き荒れていた。以前もそうだったと記憶がよみがえってきたが、雑木林が「ゴウゴウ」と唸り声を上げていた。風が通りやすい場所なのだろうか。猫鳴山。標高820m。
コースに戻り、最後の目的地「二ツ箭山」を目指す。
猫鳴山から二ツ箭山は比較的アップダウンの少ない快適な縦走路が続く。寄り道した遅れを取り戻すべく、ギアを一段上げて歩いていく。
二ッ箭山へ到着。標高709.2m。
二つの矢を立てたように見えることからそう呼ばれているが、特徴的な山容を持つ山頂手前の男体山と女体山の岩稜を指していて、二ツ箭山の頂自体は眺望も少なく地味な感じがする。三角点にタッチをして、休憩も入れずに降りに入っていく。
ここでも猫鳴山に続く勘違い。
てっきり男体山と女体山もコースに入っていると勝手に思い込んでいたが、誘導するスタッフの手招きで、男体山と女体山の手前の分岐点で、つい誘導されるがまま左へと折れてしまった。導線的には遠回りになるが、岩の上からの絶景は一見の価値がある。勢い余って曲がってしまったことを後悔した。特に男体山には妙義山を思い出すような約40mの垂直鎖場があって大のお気に入りのだ。
「あ~鎖場を登りたかった!」と後ろ髪を引かれつつ次の「月山」を目指す。
月山に到着。
ここからは真正面に男体山と女体山を眺めることができる。ポスターの様な景色を眺めながら小休止をとることにした。特徴的な二つの岩山が荒々しくて実にカッコよかった。
月山から分岐点で尾根を外れて急斜面を使って一気に降りゴールの駐車場へ。
駐車場ではスタッフの方々が優しく出迎えてくれた。
タイムは、猫鳴山への寄り道含めて5時間35分。
途中でお昼ご飯を食べようと思っていたが、結局、食べることなくゴールしてしまった。
参加証を貰って、完走したご褒美の甘酒を頂く。
「レモンもどうぞ」と言われたので入れてみたが、これがまた絶品だった。
もっともっと歩きたかった。二ツ箭山、猫鳴山、月山等は以前にも歩いたことがあるが、今回はこの大会がなければ歩くことは無かったであろう素敵な山も知ることができた。
企画からコース整備。大会中も事故のないように気を配り、また、温かいコーヒーやお菓子で励ましてくれたスタッフの方々に深く感謝したい。
岩城山岳会の皆様、有難うございました。
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