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厳冬期・赤岳@行者小屋テント泊での赤岳周回

赤岳、地蔵ノ頭( 八ヶ岳)

パーティ: 1人 (みや さん )

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行程・コース

天候

初日:曇り時々晴れのち雪、2日目:快晴

利用した登山口

美濃戸口  

登山口へのアクセス

バス
その他: 往路:茅野駅→美濃戸口(午前・午後共、1便のみ)
復路:美濃戸口→茅野駅(午前・午後共、1便のみ)

この登山記録の行程

【1日目】
美濃戸口(11:30)・・・美濃戸(12:35)[休憩 10分]・・・行者小屋(15:59)

【2日目】
行者小屋(05:30)・・・地蔵ノ頭(07:00)[休憩 5分]・・・赤岳天望荘(07:10)[休憩 5分]・・・赤岳(07:45)[休憩 10分]・・・中岳分岐(08;16)・・・行者小屋(09:00)[休憩 105分]・・・美濃戸(12:22)・・・美濃戸口(13:08)

コース

総距離
約16.7km
累積標高差
上り約1,713m
下り約1,713m
コースタイム
標準9時間10
自己9時間57
倍率1.09

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 ここ数年、雪山登山の際は山小屋を使ってきたが、かつては1万円を切る価格だった八ヶ岳の山小屋の宿泊代も高騰し、頻繁に出かけるのははばかられる様になってきた。
 そこで20代頃の様に雪山テント泊で宿泊代を安く上げるだけではなく、週末の冒険をより達成感のあるものにするため、今回は八ヶ岳の行者小屋にテント泊で滞在し、赤岳を周回してこようと考えた。

 いつもの様に八王子からあずさ1号に乗り込んで茅野へ向かったが、ここ数年は八王子駅で特急券を購入する時も座席はどれでも選び放題であったが、今回は久しぶりに座席未指定の特急券しか買えず、茅野まで乗車口付近で立ったままとなった。
 また、茅野からのバスも満席であったが、こちらはこの週末に赤岳鉱泉で行われたアイスキャンディーフェスティバルの影響の様で、美濃戸口に到着後、早めの昼食に八ヶ岳山荘でカツカレーを食べていると、これから赤岳鉱泉へ向かうらしい登山家の花谷氏もいて、前回の八ヶ岳縦走に続いて山で有名人に出会う事になった。

 出発すると、麓では晴れ間も少しあったものの、予報に反してどんよりと曇り始めてきた。風はなく、気温も思ったより高い上、ザックが雪山テント泊で20kgちょっとあるため、少しペースを上げると薄らと汗ばんできた。小屋泊の様にストーブに当たって着干ししたりできないので、汗をかかないためにペースを落さざるを得ず、予定より大幅に遅れて16時の到着になった。ガスが濃くて、稜線上は全く見えなかった。

 行者小屋手前の白河原の辺りから降り始めた雪は、行者小屋に着いた時にはちょっとした吹雪の様になっていた。テントは10張り弱あり、ほぼ全員がテントの中であった。吹雪いている中、フラットな場所を探してショベルで聖地をして場所を決めた。テントを広げると風でバタバタするので、ザックを中に放り込み重しにして組み立てた。ペグは落ちている枝を拾い現地調達しようともくろんでいたがテン場付近には見当たらないため、ストックを縮めて雪に埋めてアンカーにした。

 スノーフライをかけたテント内は、思ったより暖かく、ザックから必要なものを出してテント内に並べ今夜の寝床を作る。夏山と違い、テント内に座っての作業が多くなるため、今回はマットを座椅子にできるサーマレストのトレッキングチェアを使った。その後、行者小屋に掲げられていた「水場はココ」という場所を探したが、雪に埋もれて見つからない。仕方ないので軒下にぶら下がっていた氷柱と雪を集めて水作りを始めた。

 雪山では雪を溶かして水を作る必要があるが、テント内での作業のためコッヘルをひっくり返したり、バーナーを倒したりする事は絶対に避けたかったので、バーナーと一体型で足も着いてこうした事故を起こしにくいジェットボイルを使用した。雪が溶けてお湯が沸いたらアルファ化米を戻し、再び雪を溶かしてサーモスに入れ、アルファ化米を食べたりコーヒーを飲んだりしながらも作業を続けて明日の朝の分を含め、1.5Lほどのお湯を作った。

 時々、入口の吹き流しを明けて外を見るが雪はシンシンと降り続け、夜中に目覚める都度、外を見るものの星空は見えなかった。深夜の時点で外気温は-16℃、テント内は-8℃であったが、シュラフはモンベルの#0、テントマットの上にサーマレストのキャンプで使っている緑色の折畳みマットとインフレータブルマットを重ねたが、寒さで目覚めるようなことはなく家よりも熟睡できた。

 翌朝、3時頃に目覚め、セットしたスマホのタイマーが鳴る3時20分までまどろんでいた。スマホのタイマーと共にシュラフを出て、テントの外を覗くと満月の光と星空が見えたので、この日の登頂を決意する。

 サーモスに入れておいたお湯をジェットボイルで沸かし治し、アルファ化米を戻す。残ったお湯でコーヒーを飲みながら持っていくものを入口の近くに、置いていくものを奥の方へ押し込む。食後、衣類を整えヘルメットを被り、靴を履く。アイゼンを着け、テントの外の雪面に刺してあったピッケルを手にして地蔵尾根へ出発した。

 この日、地蔵尾根にあったトレースは1名のみ。雪質はまだまだサラサラなのでアイゼンの爪が刺さっている感じがなかったので、斜面が急な場所はしっかり蹴り込んで登っていく。
 地蔵尾根上部の階段は、ステップに雪が固まった状態で固まっていたため、登りにくかった。
下の地蔵の手前の鎖は概ね露出していた。登っていると左の横岳や右の赤岳の方から人の声がよく聞こえ、思った以上に稜線上は人が多そうだと思った。

 地蔵ノ頭に出ると正面からの朝日が目を射した。稜線上は引っ切りなしに登山者の往来があって、結構な賑わいだった。そのまま赤岳展望荘まで歩き、風の当たらない場所で行動食のあんパンを白湯で流し込んだ。

 赤岳への登りはそれなりに雪が着いていたが、つるつるという事はなかった。
 途中、おぼつかない足取りの登山者がいたので見てみると、足にはチェーンスパイクを装着して、枯れ木の杖をついて登っている。さらには滑落防止に一般の湖上等で使用される安全帯のフックを手すりのチェーンにかけながら進んでいた。声をかけてみたが、大丈夫だとの事なので、そのまま赤岳山頂へ向かった。

 赤岳山頂は、前日の天候が嘘みたいに回復して、南北アルプスの山々もよく見えた。山頂には文三郎道側からも次々登ってきたのですぐに混み出してきたため、すぐに文三郎道側へ下り始めた。文三郎道の鎖場も雪に埋もれておらず、困難な状況ではなかった。

行者小屋のテン場に戻ると、まだ他のテントの人達は帰ってきていない様で静かだった。あんパンを食べてから撤収に入ったが、テン場にはまだ日が射してないため気温は-16℃と、出発した時と変わらなかった。歩いていないため指先の血行が悪くなり、グローブを付けていても指が痛くなってくるため作業効率が落ちてしまう。ザックのバンドを締める際にも、低温でバンドが固くなっているため、締め込むのに苦労した。予定では撤収に1時間とみていたが、時間をオーバーして下山を開始した。

 下山時は標高2000mの辺りまでは雪が多く足下がクッションになって歩きやすかったが、標高が下がると日の当たる場所では雪が溶けて土が露出している所も多かった。
 更に、テント等に付着して取り切れなかった霜の水分のためザックの重量が増加し、来た時よりも重い感じで辛かった。そして、いつもの様に走れる所は走っている内に足の親指を痛め手仕舞う失態をやらかしたのは反省だ。

 美濃戸口に到着後、遅い昼食に八ヶ岳山荘で飽き揚げそばを食べていると、朝方出会った安全帯の登山者が八ヶ岳山荘に入ってきた。どうやら滑落はしなかった様だ。
 風呂に入りたかったが、重い荷物を抱えてリラックスしてしまうと心が折れそうなので、風呂は諦めバス停に並ぶ。バスの出発時間が近づくと、駆け込む様に登山者が続々とやって来て、バスは立ち乗りが出る程の混み具合。ここ数年の閑散とした感じはもうないのだろうかと思いながら帰路に着いた。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア ダウン・化繊綿ウェア ロングパンツ 靴下 登山靴
バックパック サブザック スタッフバック スパッツ・ゲイター 水筒・テルモス ヘッドランプ
タオル 帽子 グローブ サングラス 着替え 地図
コンパス ノート・筆記用具 腕時計 カメラ 登山計画書(控え) ナイフ
修理用具 ホイッスル 医療品 ロールペーパー 非常食 行動食
テーピングテープ 軽アイゼン トレッキングポール GPS機器 テント シュラフ
シュラフカバー テントマット スリーピングマット ストーブ 燃料 ライター
カップ クッカー カトラリー ローソク・ランタン アウターウェア オーバーパンツ
バラクラバ オーバーグローブ 雪山用登山靴 アイゼン ピッケル ショベル
ゴーグル ヘルメット
【その他】 装備重量:約20.5kg(白湯0.75L)
食料:1日昼食@八ヶ岳山荘でカツカレー、夕食@アルファ化米+スープ
   2日朝食@アルファ化米+味噌汁、昼食@八ヶ岳山荘でかき揚げそば
非常食:パスタ、チキンラーメン
水:白湯0.75L(行動時)
 (使用量/保有量@初日:0.3L/0.75L、2日目:0.4L/0.75L)
ガス使用量:64g(調理回数2回+コーヒー沸かし他、雪からの水作り)
気温:日中:8℃(美濃戸口)~-3℃(美濃戸)~-8℃(行者小屋)
   夜:-12℃(テント外)~-8℃(テント内)
   明け方:-16℃(テント外)~-8℃(テント内)
●日没/日出:17:26/06:35
エスケープ:行動可能な場合、美濃戸口へ下山する。
その他:エアピロー、ウォームアップシーツ、ジェットボイル、保温ボトル0.9L、マットはサーマレストのクローズドセル及びインフレータブルを使用

この山行で使った山道具

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登った山

赤岳

赤岳

2,899m

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