平標山~谷川岳@シェルター泊での谷川連峰主脈縦走
平標山、前仙ノ倉山、仙ノ倉山、エビス大黒ノ頭、万太郎山、大障子ノ頭、小障子ノ頭、オジカ沢ノ頭、トマノ耳、オキノ耳( 上信越)
パーティ: 1人 (みや さん )
平標山、前仙ノ倉山、仙ノ倉山、エビス大黒ノ頭、万太郎山、大障子ノ頭、小障子ノ頭、オジカ沢ノ頭、トマノ耳、オキノ耳( 上信越)
パーティ: 1人 (みや さん )
【1日目】
平標登山口(09:10)・・・登山口(10:21)・・・平標山乃家(11:46)
【2日目】
平標山乃家(03:45)・・・平標山(04:42)[休憩 3分]・・・仙ノ倉山(05:45)[休憩 10分]・・・エビス大黒ノ頭(06:55)[休憩 17分]・・・毛渡乗越(08:10)[休憩 5分]・・・万太郎山(09:33)[休憩 17分]・・・大障子避難小屋(11:15)[休憩 5分]・・・オジカ沢ノ頭避難小屋(12:30)[休憩 10分]・・・中ゴー尾根分岐(13:39)[休憩 5分]・・・谷川岳肩ノ小屋(14:15)[休憩 5分]・・・トマの耳(14:22)・・・オキの耳(14:28)・・・トマの耳(14:33)・・・谷川岳肩ノ小屋(14:35)[休憩 5分]・・・熊穴沢避難小屋(15:32)[休憩 5分]・・・分岐(16:07)・・・天神平(16:14)
3月の阿弥陀岳以来、約5か月ぶりの登山先として、聞いたことはあった平標山から谷川岳まで連なる谷川連峰縦走路の存在を知ったのは出発の10日前。とある雑誌で編集者が、プライベートで山行した時のことが書かれており、初日の工程の短さに対し、2日目は標準コースタイムで10時間を超える行動であり、途中のエスケープも容易ではなく、その編集者も天神平のロープウェイの最終5分前に到着できたとの事であり、挑戦しがいのある内容にビビッと来てしまった。
阿弥陀がスリリングだったので、その後に立てた山行計画は、どれも魅力が薄く感じてあまり乗り気ではなかったこともあったが、谷川連峰縦走は準備期間の短さもあり、久々に奮い立つ感じがする登山計画を思いついた気がした(@o@)/
このコースは距離に対してアップダウンが多く、稜線上には平標山乃家以降、谷川岳肩の小屋まで補給個所はない。そのため、夏場の加算分を合わせた水を多く持つ必要があり、重量の増加が避けられない。そのため、装備に無駄を排したウルトラライト(UL)装備とし、テントではなくシェルターで軽量化、体力の消耗を抑えることにすることにした。
準備を整え、初日の8月5日、水なしで9.8kg(食料及び保冷用冷凍ポカリ1本含む)を背負って上越新幹線で越後湯沢まで進出、路線バスで平標登山口で下車した。バスはほぼ満席だったが、登山客は全て松手山コースへ向かい、平元新道へ向かったのは自分一人だった。途中の駐車場にあるトイレに寄り、そばの登山届ポストに登山届を投函して入山した。
平元新道の登山口へは林道と平行した山道を行き、林道ゲート前で林道に合流して先へ進む。山と高原地図には登山口のすぐ先に水場がある表記だが、探してみても明確な水場はなく、登山堂脇を流れるせせらぎを水場としている様だった。
平元新道はよく手入れがなされていて非常に歩きやすい。特に木段の段差が低いため歩くテンポが崩されにくかった。樹林帯の中をひたすら歩いた先に平標山乃家はあった。
昼時だったので人が多く、テン場の申し込みの前に数が限定されているらしいスパイス山カレーを注文、まだ品切れでなくホッとした。カレーはトッピングの野菜が色々乗ったキーマカレーで旨かった。食後、テン場の受付をすると、他に2名のグループのみで、そちらは平標の鐘がある下段のエリアにテントを張っていたため、こちらは祠のある上段のエリアを選んだ。
テン場からは平標山、仙ノ倉山、そしてエビス大黒ノ頭と、明日縦走する山と稜線が一望できて、モチベーションが上がった。
設営後は新潟限定ビール(¥600)を購入し、地図を広げて明日の行動についての一人ミーティング。テン場は日陰がなかったので、夏場の稜線歩き様に持ってきたモンベルのトレッキングアンブレラで日陰を作る。
16時過ぎから夕食の準備を開始したが、今回は行動に向けて炭水化物をガッツリ食べる事を重視したので、冷凍チャーハン300gをフライパンで温めて食べた。冷凍チャーハンは一晩くらいなら平気なことはキャンプの時に実証済み、テフロン加工のフライパンなら油を引かなくてもよい。続いてフライパンでお湯を沸かして、チキンラーメンを作る。乾燥野菜を忘れたためそのままで。汁を飲み干しレトルトのハンバーグを温め、夕食は終わり。食べ過ぎて胸焼けがした。18時半にはシュラフに入る頃には、遠くでなっていた雷の音も静かになっていた。
2日目の8月6日は2時に起床、夜中に雨は降らなかったようだ。お湯を沸かしながらハイドレーションに水を汲み、荷物を片付ける。途中、湧いたお湯をアルファ化米に注ぎ、残ったお湯でコーヒーを飲んだ。更に粉末の経口補水液をポカリの空ペットに入れて行動時の飲料を作った。食事を終え、荷物をまとめて予定より早めに出発した。
始めて歩く平標山へのコースだが、木道や階段が整備され、真っ暗でも迷うことはない。雲が低く風がやや強い中、日の出前に平標山の山頂に到着した。開け始めた空の下、仙ノ倉山へ向かう。こちらも木道や階段が整備され、庭園を散策するような歩きやすいコースだ。山裾に広がった雲海が風にあおられて南側からどんどん山頂へ駆けあがって行く。仙ノ倉山から先は既にガスに包まれているのが見えた。
仙ノ倉山とエビス大黒ノ頭との鞍部への下りはかなり急で、これまでの整備された歩きやすい登山道とは全く変わった。道標もなく、笹がかられただけの朝露にまみれた草むらの様なコスを進む。エビス大黒の避難小屋に着く頃には完全にガスの中に入り、前方にあるはずのエビス大黒の姿は見えなかった。エビス大黒ノ頭前衛峰の濡れた岩場を登り、そこから40m高い山頂へ。
エビス大黒ノ頭山頂からは、周りの山は見えなかった。朝露に濡れたズボンから靴下を伝わり靴の中が水浸しになっていた。横着せずに河童のズボンを履くべきだったがもう遅い。
山頂で靴に溜まった水を出し、靴下を絞る。靴を履いて毛渡乗越までの荒れた道を300mちょっと下る。
毛渡乗越で久々の道標があったが倒壊中。このコースの状況を物語っている様だ。越路避難小屋も狭かった。ここで初めて登山者とすれ違った。万太郎山の手前にある東俣ノ頭の方付近になり、ようやくガスが抜け始め、ガスの切れ間から万太郎山の山頂が見えてきた。東俣ノ頭の方付近から万太郎山山頂までは歩きやすい道。ひたすら登るだけ。
万太郎山山頂には登山者2名が休んでいた。ここで再度靴を脱いで靴下を絞り、行動食のアンパンを食べる。万太郎山から大障子ノ頭への下りはガレていて歩きづらかった。土樽へ抜ける吾作新道分岐道標は、立派な鉄パイプの標柱だが倒壊。先ほどの毛渡乗越に続いてこのコースの荒れっぷりを現している様だ。これは豪雪によるものだろうか。
大障子ノ頭へ向かう登山道右手の谷は阿弥陀沢に繋がっており、至る所の山肌から水が染み出ており、まさに川が生まれる場所だった。大障子ノ頭への登りは途中から岩場に代わる。難しい岩場ではないが、これまでの登山者の数から何かあった場合には助けてもらえない可能性が高いので慎重に登った。このコースの岩場は全てそんな岩場だ。
大障子ノ頭の山頂標識は見当たらず、続いて大障子避難小屋へ向かうが、岩が露出した足元は両脇の草に覆われたところが多く神経を使う。大障子の避難小屋は小障子ノ頭との鞍部にあり、これまでの避難小屋の中で一番広かった。少し行った先の右手に笹が切れた水場への下降点がある。時間が押し始めていたため水場まではいかなかったが、訪れた人の登山記録では、ちょっと下がった地形が用を足すのに丁度いいため、糞便やトイレットペーパーの残骸が見られたとのこと。つまり汚染された水場ということなので、使用するなら浄水器が必要ということだ。
小障子ノ頭は地味な山頂だったが山頂標識はあった。この先は地底に関越道のトンネルが通っているが、高尾の小仏トンネル同様、そんな気配は微塵にも感じられない山の中だ。続いてオジカ沢ノ頭避難小屋を目指す。
オジカ沢ノ頭避難小屋は、これまた小さく、これまでの避難小屋すべてがそうだったが、どれもかなり傾いている。これも豪雪の影響だろうか。ここで再びアンパンで食事。行動時間も9時間を超え、これまでの激しいアップダウンでかなり疲労感を感じる。オジカ沢ノ頭の山頂に到達するとガスが切れて谷川岳の両耳が初めて見えた。気力を奮い立たせるが、また下って登り返さなければならない。ドM向けのコースだ。
中ゴー尾根分岐から谷川岳の混雑ぶりがはっきり見えて、この山域の登山者は、ほとんどが両耳付近に集まっていることが分かった。肩の小屋はすぐそこに見えるが、中ゴー尾根の錆びた日道標に持たれてへたり込む。ブドウ糖とアミノバイタルを流し込んで肩の小屋へ。
肩の小屋では、本来、下山した時にしか飲まないコーラでドーピングし、小屋の外に荷物をデポしてオキノ耳まで往復した。かなりもうろうとしていたのでスマホもデポして写真が撮れず。しかし感じたのは、谷川岳は山頂だけだとただの岩。そこに至る過程が素晴らしいからユネスコなのかと。今回はフルコース過ぎて、最後のデザートは胸焼けするだけだった。
肩の小屋で荷物を回収し、ロープウェイの採集に間に合わせるため急いで下山。風が強くて停まってないか心配だったが、これだけ人が多いということは動いているということ。天神平への下りの所々の岩場は蛇紋岩のため磨かれて滑りやすく、酷使した足にはきつい。
天神尾根で一昨年に警察官のパーティーが滑落死した現場を見たが、天神尾根は両側の笹原がかなり切れており、地面があると思って踏み込むと危ない。そんな地形であるため、おそらくは先行する男性警察官が雪の積もった笹原を踏み縫いて滑落し、救助しようとした女性警察官も滑落したのではないだろうか。
この時、自分も笹原の際を踏んだら崩れて滑落しかけたので、天神尾根でそんなヒヤリハットを体験した人は何人かいるだろう。
天神平には16時15分に到着。採集が16時半なのでかなりギリギリだ。最終を逃したら田尻尾根を降りるしかないが、土合口のバスも、土合駅の電車も終わっているので、ステビで一晩やり過ごすしかなかった。
今回の山行は、平標登山口から累計高度が登りで2000m、下りも2000mとかなり強烈だった。また、途中のエスケープも難しく山小屋のサポートも最初と最後しかない厳しい環境で、何度も心を折られそうになったが、毛渡乗越以降は前に進むしかないという逃げ場のない状態であり、強風のためモノレールの運行状況も不明であり、最終運航に間に合わせなくてはならないという厳しいプレッシャーの下での行動だった。
谷川岳は魔の山だと言われるが、これは何も一ノ倉沢だけを言うのではないと痛感させられた山行になった。
シャツ | アンダーウェア | ソフトシェル・ウインドシェル | ロングパンツ | サポートタイツ | 靴下 |
レインウェア | 登山靴 | バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
予備電池 | 傘 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス |
着替え | 地図 | コンパス | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) |
ナイフ | 修理用具 | ツエルト | ホイッスル | 医療品 | 虫除け |
熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー | 非常食 | 行動食 | テーピングテープ | トレッキングポール |
GPS機器 | シュラフ | テントマット | スリーピングマット | ストーブ | 燃料 |
ライター | カップ | クッカー | カトラリー | ローソク・ランタン | |
【その他】
装備重量:約13.05kg(水2.0L+ポカリ500ml×2+250ml)40LザックでULスタイル(帰宅時9.8kgまで減、水1.3L込み) 食料:1日昼食@平標山乃家でカレー、夕食@冷凍チャーハン+冷凍ハンバーグ+チキンラーメン 2日朝食@アルファ化米(五目飯)+野菜カレー、昼食@行動食(あんぱん+カロリーメイト) 非常食:カルボナーラ+行動食残り(使用せず。) 水:初日はポカリ500ml×2(500ml使用)、2日目は2.0Lをハイドレーション(経口補水液の500ml×2+250ml)で携行(2.2L使用、ハイドレーション1.3L残) ガス:使用量23g(調理2回、その他コーヒーの湯沸かし3回) 日没/日出(18:55/04:45) エスケープ:最短コースを引き返して平標山登山口または天神平ロープウェイへ下山する。 16:30のロープウェイ最終に間に合わない場合は避難小屋でビバークする。(降りても電車なし。) その他:山フライパン。平標山乃家のテン場の混雑あるいはコンディション不良の場合、避難小屋への宿泊も考慮(\2000) |
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