行程・コース
天候
初日_午前:曇りのち晴れ。午後:曇り時々雨。夜:豪雨。 ※大雨洪水警報あり。(最低気温7℃くらい)
二日目_午前中:快晴。午後:豪雨。 ※大雨洪水警報あり。夜:晴れ。(最低気温5℃くらい)
三日目_快晴。
利用した登山口
登山口へのアクセス
その他
その他:
行き
高速バス:新宿(2315)⇒扇沢(翌0532)_京王バス5571便
立山黒部アルペンルート:扇沢(0730)⇒室堂(0855)
帰り
立山黒部アルペンルート:室堂(1415)⇒扇沢(1521)
高速バス:扇沢(1610)⇒新宿(2111)_京王バス5572便
この登山記録の行程
【1日目】
室堂ターミナル(09:20)・・・ミクリガ池(09:28)・・・エンマ台(09:38)・・・雷鳥平(10:10)・・・別山乗越(12:10)[休憩 10分]・・・剱澤小屋(13:19)
【2日目】
剱澤小屋(04:20)・・・剣山荘(05:00)・・・一服剱(05:33)・・・前剱(06:36)・・・平蔵のコル(07:30)・・・剱岳(08:13)[休憩 20分]・・・平蔵のコル・・・前剱・・・一服剱(09:50)・・・剣山荘(10:20)[休憩 50分]・・・剱澤小屋(11:50)
【3日目】
剱澤小屋(04:50)・・・別山乗越・・・南峰(06:11)・・・北峰(06:25)[休憩 5分]・・・南峰・・・真砂岳(07:32)・・・大走り分岐・・・富士ノ折立・・・大汝山(09:03)[休憩 15分]・・・雄山神社(09:34)[休憩 10分]・・・一ノ越(10:30)・・・立山室堂[休憩 30分]・・・室堂ターミナル(13:32)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
馬鹿と煙はなんとやら。
最近高いとこ登っていないなと、剱岳。
定期的にリスクの高い登山をしない分には「趣味は山です」なんて、
会社のヨクワカラナイ研修での自己紹介として使えない。という思いも、含む。
純粋な憧れ、不純な動機付け。私は、どうしてこうにも息苦しいのか。
仕事終わり、夜の新宿から夜行バスに乗り込んだ。
数年前に30を過ぎ、何度もここを通るが馴れる事ができない。
動き出すバス。しばらくして車内は暗くなるが、
いつまで経っても窓からの眩しい灯りは忌まわしく、気持ちを引きずられる。
目的地の扇沢で朝陽を浴び、気持ちは多少上向き。
ただ、目覚ましアラームというものは、こんな瞬間でも普段の生活リズムを思い出せてくれる、くそったれだ。
ようやっと室堂に着く。駅前の肉まんは蓄えた湯気を立ち上らせている。9月にも関わらずだ。
駅の外は真っ白な霧で覆われていた。
時計セットし、歩き出す。登山目的でない観光客の喧騒から逃げるように。
計画通り、後戻りできない所でテントを張り、明日の剱岳を望む。
時間と、お金と、身の危険を賭に、ようやくの束の間を得られた。
夜中、土砂降りの雨が打ち付ける。
頼りないシングルウォールテントで、エマージェンシーブランケットにくるまり、冷えた足先を手で擦る。
雨が降ると夜は短い。山の夜は静寂過ぎるし、昂った神経が物音に対し、機敏にさせる。
結局、しばらくして雨は上がった。そしてズブ濡れテントから見た星空に、いよいよ心は躍り出した。
夜が明ける前。飲み込んだお湯の熱がじわりじわり、染みる。
ヘッドライトを点け、頼りない小さな光を拾う。無意識に、目蓋はこれでもかと開いた。
もう7,8年は付き合っているこの光に、不安はない。
息は少しあがるが、汗が出るほどは急がない。
日頃の体力不足。経験値からの過信。前日の大雨。リスクは高い。
いつも思う。
山に来なければ、道に迷うことも、脚を痛めることも、落ちることも、豪風に体を煽られることも、野生動物に襲われることも、凍えることも、雪崩に合うことも、無い。死に怯える事は無いのだと。
なのに、また山に来た。
ストックは持ってきたが、予想通り、テントに置いてきて正解だ。
鎖や、梯子、杭。岩。見定めて、手足を置いていく。
足を滑らす、踏み外す、掴み損ねる、土台ごと踏み抜く。きっかけはなんにしろ、落ちると死ぬ。
上からは小石も落ちてくることもあるが、しばらくして大岩になる。当たれば死ぬ。
山は怖い。油断すると、見誤ると、唐突に、急に死ぬ。
前剱から剱岳をみる。死に満ち溢れている、と思った。引き返すか。独り冗談をつぶやくが、風にかき消された。
夢中とも、無心とも、散漫とも言えない。ぶつぶつ呟き、ただ前進した。
カニのタテバイを見上げる。赤さびが染み込んだ梯子と、メッキが光る鎖。あと矢印の表示。
自分が信じた情報と、知識。この瞬間の体力で登ることを判断する。
これを繰り返してきた。
終わりはいつも、唐突で。あっけない。
頭の上は空が広がって、足もとに三角点がある。これまでの全てがやっと自分のモノになる。
そして、きっと。これを繰り返す。
山で。か、それ以外の終わりの瞬間が来るまで。
私の趣味は山だから。
フォトギャラリー:69枚
高速バスで扇沢に到着。運転手さん、お疲れ様でした。
とりあえず、次のバスの始発まで朝日を浴びながらゆっくりします。
扇沢駅。ようやって来れました。
金欠弱小山男には金銭的に足踏みしがちな、、黒部アルペンルート、長野側の玄関をお目にかかれました。
(ルート上は信濃大町駅が最始発のようですネ)
始発大好き人間(私もです)で車内は満員。
2台目に乗車、移動中はクロヨン(黒部第4ダム工事のこと)工事についての解説でアトラクション状態。
テンションあがります。
バスを降りて、ケーブルカー乗り場まで歩きます。
トンネルはひんやり、冷たい風が吹いています。というか若干寒い。
黒部ダムを渡ります。
既に1454Mも高度を稼いでいます。楽でええっすね。
爆音とともに凄まじい水量をぶちまけています。
見て居たいところではありますが、乗り継ぎなのでほどほどに切り上げます。
二つ目の移動は黒部ケーブルカー。
結構な角度で、荷物が多いと結構怖い感じの階段から乗車します。
次はロープウェイ。
黒部平から大観峰(だいかんぽう)へ7分。景色は良いが、慌ただしく乗っては降り、並んでで、地味に疲れます。
室堂です。
トロリーバスの写真ありませんでした。苦笑
中国人と韓国人の喧騒にだいぶ疲れています。なんであんなエネルギッシュなん。分けてほしい。
とりあえず、玉殿(たまどの)の湧水にて水を確保です。
中国のおばちゃんは馬鹿デカボトルでどこに持って帰る気なん…
みくりが池温泉。
帰りに寄ります、四日分の垢と共に。
雷鳥沢キャンプ場です。
室堂で触れませんでしたが、ガスってます。
景色がない分、足止まらんくて済むので、これはこれでよき。
雷鳥坂あたり。
学生さんたちが重そうな、100Lはありそうなザックでひょいひょいと登っていきました。
私も若い頃に戻れるのであれば山岳部に入ってリア充に、、、
別山乗越(べっさんのっこし)。
剣岳見えるはずですが、見えません。恥ずかしがり屋なのね。
剱御前小舎(つるぎごぜんごや)。
目的地の剣沢キャンプ場は食事はないので、ここでお昼を頂いて良かったかも。
剣沢キャンプ場へ降りてきます。
晴れてきましたが、剣岳の山頂は見え、、
ポケーっとしてたら見えてきました。
剣沢キャンプ場近くから、剱岳。
つるぎの漢字は国土地理院の地図に記載の「剱」岳がいまは正しいようですが、
揚げ足とられてもこの景色の前では不毛ですね。
剣沢キャンプ場にてテン泊です。
今回のザックもマムートのlithium30で、2泊3日が可能か、実験登山も兼ねてます。
ヘルメットも持参なのでパツパツです。
剣沢キャンプ場。
左側の小屋が受付でした。だんだんと雲が黒く、冷たい風が吹いてきたので、テントを組み立てます。
テントはモンベル、ULドームシェルター1。
重量は800g切りますが、シングルウォールなので結露がヤバヤバです。
ワラーチサンダル。メルカリで購入。100gちょい、お試しでテン場で採用。
ソール厚は3㎜を選んでますが、ほぼ素足な感覚。気を付ければトイレまで歩けるけど、うーん。
ちょっと薄過ぎを選んでしまった気がする…
やわやわな足裏の私にはちょっと失敗かも。あと2㎜はあっても良いかも。
17時半頃。
日も沈んで雲が降りてきました。
この後、夕方から夜中にかけて断続的にどちゃくそ雨が降りました。
幸い、ネットは繋がったので、天気予報見て、雨雲見つつ、寝れるタイミングで寝ます。
剣山荘手前。
テン場から30分ほど。所々、道はちょっとした池になってました。
山小屋の朝は早いですよね。なんて、剣沢キャンプ場出発組の私はだいぶ後発組となってしまいました。
この日も午後には天気が崩れる情報を入手済みでしたので、がつがつ行きます。
剣山荘。
山の朝の静けさは良いですね。うねった雲、朝焼けに見とれます。
剣岳は山荘の横からアプローチが始まります。ここから本格的に標高を上げていきます。
剣山荘と剣沢キャンプ場、別山。
シンとした静けさに、鳥の鳴き声だけが響いています。
日が昇りました。
一日の中でこんなにも空の動きに見入ってしまう時間は、なかなか無い、といつも思います。
黒、赤、青、白。雲、山の輪郭が影で鋭くなり、時間とともにぼやけていく。
…一人だとつい勝手に足を止めてしまいがちになるのでよくないですね。
タカネツメクサ。
昨夜の雨をたっぷりと含んできらきらしてます。
ラジオ体操の音楽が聞こえます。
たぶん山小屋からしょうか。昨日の雨を越えて、新しい朝がきた、です。
前剱大岩。
崩れたらどう避けよう、とか考えません?
雲が重そうな具合ですが、虹が出ています。
とりあえず小康状態をキープ。
前剱頂上(まえつるぎちょうじょう)。
2813m。
結構なお点前です。ソロ初心者向けでは無いですね。
前剱頂上から、剱岳。
とても遠く感じるし、ここから1-2時間でたどり着けるのか、、と気弱になります。
岩の厳しさが増してきました。
登りは良いですが、下りは慎重に進みます。
這ったり、よじ登ったり、となんとか進みます。
カニのたてばい。
写真や、雑誌で予習をしても目の前にするとすっかりと記憶から抜け落ちて、
無心に、落ち着いて次の足場と手の位置を探す。
行き詰まないよう、間違えないよう、意図された位置の杭と鎖と梯子に思考を向け続ける。
山頂手前。
少し開けた、大小の岩がある空間に出ました。
あまりにも唐突で。
あぁ、ここが頂上なのだと、瞬間的に分かってしまいました。
早月尾根(はやつき)との合流地点も見えます。
剱岳山頂。
頭の中は空っぽで。ただただ、この景色は記憶に焼き付いています。
剱岳山頂の祠。
2004年に三等三角点を新たに埋設し、GPSで標高は2998mから2999mに改定されたとのこと。
明治40年(1907)では2998m、昭和5年は3003m、そして、昭和43年には2998mと、測量に携わった方々を困らせまくってますね。
山頂の眺望。
言葉になりません。
雄大な景色を前に、人は神仏の存在を意識せざるを得ないと思えます。
ということで、無慈悲にも空模様はガスってきました。
早々に下山します。
余談ですが、小説「劔岳 点の記」で有名な、あの錫杖と鉄剣は立山博物館に展示されています。ぜひ見たいところ、、、
https://tatehaku.jp/facility/kyokai/josetu2/
いけるかっ、という関東の皆様は、
「地図と測量の科学館」 という筑波にある国土地理院の施設にレプリカが展示されています。こちらは純粋に地図の勉強にもなりますので、一石二鳥かつ、無料で楽しさ万倍です。
下山道中。
振り返りが余談ネタで盛り上がるほど、帰りは余裕が全くなく、写真が残ってませんでした。
剣沢キャンプ場手前。
道が増水で寸断しかけています。
飛び越える、のは避けたいので、別ルートを捜索。
増水が川幅を持ち始めていました。
水深は浅いところでくるぶし程、判断は
「慎重に進む」となりました。
剣沢キャンプ場。
雨は降ったり止んだり。
最悪なことにテントは床下浸水。というか床下に沢?水の通り道になってしまい、もうビシャビシャ。
こうなるとシングルウォールのテントでは浸水しまくり。
夕方。
戻ってからはテントの周りに堀を作り、水路を形成。(撤収時に戻しました)
テント内の結露を拭き取って過ごしていたら、晴れてきました。
予報通りの、予想外な青空に心が洗われます。
またガスってきました。
石垣島の手ぬぐいを剱岳で使用した初めて人。(たぶん)
ソロなんて、一人遊びが得意な人じゃないと成立しないんですよ。
もう、自己満のカタマリですよ。
月明りで目を覚ましました。
テントから頭だけ出して、空を見ました。
空には星が埋め尽くされていて、そのまま1時間くらい眺めていました。
(私だけじゃないですよね?)
星は普段からそこにあるのに、なんでこれの半分も見えてくれないのだろう。
とか思いましたが、こんなの寝不足になるので見えない方がいいかもしれないですね。
剣沢キャンプ場、朝。AM3時半ころ。
この家化したテント内をどうにかザックに詰め込んで、今日は雄山を経由して室堂から帰ります。
日の出前、AM5時頃。
剣沢キャンプ場を出発します。
別山(べっさん)取りつき道中。
昨日に引き続き、素晴らしい朝に恵まれました。
別山南峰からの剱岳眺望。(べっさんなんぽう)
今回の私の中でのベストショットです。
たまんねぇ。
別山北峰からの南峰眺望。(べっさんほっぽう)
眩い陽が昇り、空気が暖まり、草木の匂いが漂い、風がフードを強くバタつかせる。
五感で山を感じる、この瞬間が堪らなく好きだ。
別山南峰から富士ノ折立(ふじのおりたて)、大汝山(おおなんじやま)、雄山(おやま)。
今日の工程が一望できます。ほんと、天気がとんでもなく良い。
真砂岳アプローチ中(まさごだけ)
この素敵な朝を共有している、お三方。
いいですね。
真砂岳、大走り分岐付近。
ザレ場の足元で、稜線らしい強い風が吹いています。なんだかんだここまで、ストックをずっと使っています。割と歩きやすい。
分岐付近のカール。
夏の終わりですが、雪は残っています。
ほぼ永久凍土みたいな感じなんですかね?
風は涼しいというか、寒いくらい。
黒部のダム湖の眺望。
大汝山(おおなんじ)から室堂。
登山道が室堂から筋状に伸びていて、みくりが池が思いのほか大きい、、、
角度が変わると山の表情は全く変わって見えるので面白い。
こんな事ばかりしているので、全然ペースは上がりません。あぁ。
雄山(おやま)直近。
山頂に荷揚げしているヘリが見えました。
雄山山頂付近(おやま)。
標高3003m。鳥居から奥は登拝料で700円。
もうここまでで充分満足しました、帰ります。
(早く下山して温泉行きたい…)
一の越山荘。(いちのこし)
山頂からここまで、上りと下りが別ルートで歩きやすいです。
本格シーズンだと混むのだろうなぁ。
一ノ越(いちのこし)
低気圧とか、台風とか色々来てましたが、なんだかんだ天気に恵まれた山行になったと思えます。
カメラに指入ってますね。苦
空きベンチのスペースを利用してテントやら、寝袋を乾かします。
このまま帰ると手入れが手間ですし、山でやると気分も良さげ。
ミクリガ池。
初日は霧がかかっていましたが、良く見えます。
御厨ヶ池と書くようで、神様の台所という意味の申請な池としてあがめられている、らしいです。
予告通り、みくりが池温泉に立ち寄りました。
景色の良い温泉で、4日ぶりの疲れに染み渡ります。
源泉は地獄谷、無加水、無加温という、温泉としても最高です。
黒部第4ダム。
放水中。
これで旅は終わり、と思わせる締めくくりです。
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ロングパンツ | サポートタイツ | 靴下 | レインウェア |
| 登山靴 | サンダル | バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
| 予備電池 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス | 着替え |
| 地図 | コンパス | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ |
| 修理用具 | ツエルト | 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 | ロールペーパー |
| 携帯トイレ | 非常食 | 行動食 | トレッキングポール | テント | シュラフ |
| テントマット | スリーピングマット | ストーブ | 燃料 | ライター | カップ |
| クッカー | カトラリー | ヘルメット |




