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暗くて真っ白な甲武信ヶ岳

甲武信ヶ岳、木賊山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

雨のち曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 国道140号線(雁坂みち)沿いにある道の駅みとみの無料駐車場(標高1100m)を利用。正面に向かって右側の未舗装駐車場(正面にトイレあり)が気兼ねしなくてよい。約150台。

この登山記録の行程

道の駅みとみ(03:40)・・・西沢渓谷駐車場・・・徳ちゃん新道登山口(04:05)・・・木賊山(07:04)・・・甲武信小屋(07:25)・・・甲武信ヶ岳山頂(07:41)・・・甲武信小屋・・・木賊山(08:18)・・・近丸新道廬山口(10:29)・・・道の駅みとみ(10:52)

コース

総距離
約15.1km
累積標高差
上り約1,893m
下り約1,892m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

会津の山を狙っていたが、どうにも週末の天気が悪い。ふと日高市にある曼珠沙華の里「巾着田」の彼岸花を思い出し、チェックしてみるとちょうど満開だという。関東に来て以来、いつかは行ってみたいと思っていたので、花を求めて久しぶりに日高市を訪れてみた。
交通渋滞を避け、高麗神社の駐車場に車を停め、無料のシャトルバスで会場へと向かう。
会場の巾着田に降り立つと、いっぱいの人で溢れていた。
街並みの向こうに小さな山が見える。一目で日和田山とわかる。わずか300mの小さな山だが、故郷の文殊山と同じくいろんな「素晴らしい」が凝縮された山だ。
小川に沿って進むと、真っ赤な絨毯が見えてきた。念願の光景がそこに待っている。
ちなみに曼珠沙華の里「巾着田」とは、日高市内を流れる高麗川(こまがわ)が長い年月をかけてU字のように蛇行して造られた地形がきんちゃくの形に似ていることから、巾着田と呼ばれるようになったとか。「岐阜のグランドキャニオン」と呼ばれる川辺町にも似たような地形がある。
巾着田のきんちゃくの中には、森が広がる公園になっていて、ここに季節ともなると森の中に赤い絨毯を敷き詰めたように彼岸花が咲き誇る。
500円の入園料を支払って公園の中に入る。
普通、観光ポスターに惹かれて現地を訪れると、実物を見てがっかりすることが多いが、ここはイメージ以上だった。公園に入った瞬間、ただただ彼岸花の美しさと赤の密度に圧倒された。「来て良かった」と一人頷く。
小雨が降っていたが、写真を撮りながら1時間以上かけながらゆっくりと園内を巡り、乱舞する彼岸花に癒された。締めに、公園中央に開設されていたお祭り会場でラーメンを食べて公園を後にした。
これだけでも大満足だったが、せっかくここまできたなら秩父方面の山に登りたいという思いが沸々と湧き上がってきたが、天気予報を見ると明日は雨マーク。大きな傘マークにガッカリして、一旦はおとなしく帰ろうと思ったが、ハンドルを握った瞬間、山の方角へと車を走らせてしまった。悪い癖だ。
目指すは百名山の一つ甲武信ヶ岳。
標高2,475mとなかなか手強い山だ。山梨県・埼玉県・長野県の3県を跨ぐ「奥秩父のへそ」と呼ばれている。甲州(甲斐国=山梨県)、武州(武蔵国=埼玉県など)、信州(信濃国=長野県)から一文字ずつとって名付けられたという説が有名だが、山容が拳のように見えるからという説もある。
甲武信ヶ岳にはいくつかの登山ルートはあるが、今回は山梨県側(西沢渓谷)からのルートを使うこととして、その起点となる道の駅「みとみ」を目指した。
有料道路を使って大きなループを抜けると、道の駅「みとみ」がすぐに現れる。悪天候のためか、車はほとんど停まっていなかった。トイレ前の未舗装駐車場側の隅っこに車を停めさせて頂いた。
スマホで天気予報を確認すると、翌日の天気がさらに悪化している。並んだ傘マークを見て帰りたくなったが、ここまで来たらもう腹を括るしかない。
暮れるまでの時間をゆっくりと過ごす。
だいぶ肌寒くなってきて、じっとしていると震えがきたが、そんな中で飲むコーヒーは格別だった。
暗くなり、早めに寝袋に入って仮眠をとることにした。
深夜3時に起床。
改めて天気予報を確認するが、やはり雨マークは取れていない。
準備を整えて、いざ出発。
幸い、この時点ではまだ雨は降っていなかった。
ヘッドライトをつけて歩き出す。
キャンプ場の脇を抜けて西沢渓谷の林道を進む。
それなりに林道を歩くのかと覚悟していたが、思っていたよりもはやく目的にしていた登山口にたどり着いた。登山マップを記した看板があり、今から進む「徳ちゃん新道」のコースが描かれていた。
ふざけた名前だが、ルートが長く標高差が1300mの急登と言われている。これも豆知識だが、後で調べてみると、徳ちゃんとは甲武信小屋のご主人のあだ名から来たらしい。
ヘッドライトで登山道を照らしながらトレースを辿り登っていく。
遠くで、鹿の鳴いている声が聞こえた。
普段だと山に踏み入った瞬間、人間の気配を察知して、警戒を示す甲高い鳴き声が山間に響くが、今日は甘くて切ない声だった。間違いなく、この季節だけに交わされる求愛の声だ。天気が雨に向かいゴーっという風も吹いていたので、人の気配に気づいていないのかもしれない。貴重な鳴き声が聞けて良かった。
周囲の樹々が風で大きくざわめく。
雨の気配を感じてまもなく、葉っぱに雨が当たる音が聞こえてきた。真っ暗闇の中で、空模様は確認できないが、きっと止むことはない雨だろう。
早めにレインウェアを着込む。
濡れて滑る登山道を注意しながらゆっくりと登って行く。濡れたレインウェアが纏わりついて登りにくい。登山道自体はよく整備されているが、とにかく急登だらけでひたすら真っすぐに登って行く感じだった。
雨の降る中、真っ暗闇の深い山を一人、息を切らせながら黙々と登っている。ふと我に返り、「いったいオレは何をしているんだろう?」と思った。山バカもいいところだ。
そのうち陽が昇り明るくなってきたが、雨は相変わらず止むことはなく、暗闇が真っ白な霧の世界に変わっただけだった。
木賊山に到着。「とくさやま」と読む。南会津町の木賊温泉と同じなので、自然と読めた。標高2,469mなので、標高2,475mの甲武信ヶ岳とほぼほぼ変わりないが、ここから一旦、100mほど降って登り返すのが、意外にシンドイ。
7時40分、ついに山頂に到着。
立派な標識が立っていたが、周囲は真っ白な世界。本当であれば、富士山の絶景が出迎えてくれたはずだが仕方がない。今日は心の目で見ることにしよう。
甲武信小屋のところまで戻り、軽くエネルギー補給をしながら下山コースを考える。本当であれば、小屋から分岐する道を使って別なルートから周遊をしようと思っていたが、生憎の天候、これ以上、雨の中を歩いても仕方がないと、諦めてきた道を折り返すことにした。
「せめて少しでも違う道を!」と思い、新道分岐のところで近丸新道を進む。こちらは三富鉱山跡に繋がるルートで、途中からトロッコ軌道跡もあり歴史も感じる面白い道になっている。ただ、ところどころ道が崩れていたので自信のない方は徳ちゃん新道の方が良いかもしれない。
長い下りを終えて、道の駅「みとみ」でゆっくり。旅の想い出にと、シャインマスカットをひと房購入して帰路に入った。いつかまた晴れた時に来よう!

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装備・携行品

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登った山

甲武信ヶ岳

甲武信ヶ岳

2,475m

木賊山

木賊山

2,469m

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