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360度の白と青に包まれて美ケ原

王ヶ頭(美ヶ原)( 八ヶ岳)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「美ヶ原高原ホテル山本小屋」をセット。冬季は松本からのダイレクトなコース等、通行止めになる道が多いので注意。また、高度を上げると、路面が完全に雪で凍結している。「チェーン必須」と看板が出ていた。冬タイヤでも登れなるが、安全のために、チェーンがある場合は、持っていった方が良い。山本小屋の駐車場は林道の突き当り。それなりの駐車スペースはあるが、すぐに満車になるため早めの到着を心掛けた方が良い。トイレは、1回100円。その他スノーシューのレンタル(1日2,000円)もやっている。

この登山記録の行程

山本小屋 ふる里館(09:50)・・・美しの塔(10:11)・・・王ヶ頭ホテル・美ヶ原(王ヶ頭)(11:02)(昼食~12:41)・・・美しの塔(13:47)・・・山本小屋 ふる里館(14:40)

コース

総距離
約6.6km
累積標高差
上り約203m
下り約198m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

2月最初の3連休。用事があって、長野県松本市へ向かった。
用事とは言え、二週連続で長野エリアに足を運ぶなんて、そうある機会ではない。ニヤリとしながら、頭の中はもふもふの雪山で一杯だった。ただ、登山に割ける時間が限られていたので、簡単に雪が楽しめる山として、「美ケ原」に行く先を決定した。
美ケ原は、百名山の中でも「素人でも簡単に登れるTOP3」に入ると言われているほどで、もはや登山ではない気もするが、実は絶景と言う点においてもTOPクラスの実力を持っているとお勧めする。
長野に向かう道中、雪を冠した真っ白な富士山、南アルプス、八ヶ岳と豪華な山々を眺めつつ、車でひた走った。あまりの美しさに登りたい衝動を抑えるのが大変だったと言うことは言うまでもない。
諏訪神社に立ち寄ったあと、諏訪湖沿いをゆっくり巡りながら松本市に到着。
馴染みのある町なので、松本市に入るとホッとするが、久しぶりの市内はあちこち新しくなっていた。
用事を済ませて、夜には体調を整えるという名目で、居酒屋でエネルギー補給をして、その日は翌日に備え早めに就寝した。そして、翌朝、日の出とともに美ケ原へ向かった。
松本から美ケ原へは、冬季の場合、峠越えの道が封鎖されているためぐるりと回り込むように行かなければならず、1時間以上を要した。
国道を離れ、林道をグネグネと登って行く。暫く走ると、路面は完全に圧雪状態となり、軽くハンドルを切っただけで、タイヤがツルツルと滑っていくのが分かった。
途中の看板に「この先、チェーン必須!」とあったが、まさに装備無しでは危険。冬タイヤを装備していれば進めないことはないが、不慣れな方はチェーン装備をお勧めする。事実、高度を上げればあげるほど、スリップして厳しい場所があった。
真っ青な空に向かって林道を進み、山の上にたどり着いたところが山本小屋。建物の手前の駐車場に車を停めさせて頂く。既に駐車場いっぱいの車が停まっていた。
山本小屋でトイレをお借りして(100円)、早速、スノーシューを履いて歩き出す。
最初は、牧場の間に延びる除雪された道を歩いていくようなイメージ。テカテカに凍っていたので、アイゼンの方が歩きやすかったが、美ケ原は断然スノーシューが似合うと思う。履いているだけでテンションが上がるが、あとで道を外れてふかふか雪も楽しむことにしよう。
山本小屋を過ぎると、直ぐにまるで北海道に来たかのような大雪原が広がる。今、2,000m級の山の上に立っているというのがとても信じられないほどの大きなスケールだった。
昨晩、雪が降ったようで、まだ雪雲が残っていた。そのせいで眺望はきかなかったが、午後に向かって晴れる傾向にあるので、きっとそのうち北アルプス等も見えてくるはずだ。
「美しの塔」を過ぎて、緩やかに右へとカーブをしながら進んで行く。
行く手には赤茶系の建物「王ヶ頭ホテル」が見えた。その横には大きなアンテナが何本も建っていた。そこが目指す頂き「王ヶ頭」。
純白の雪原に負けないほど、真っ白な雲が青空に向かって立ち上っていた。雪原と空の区別がつかない。最初に右手の大きな雲が動いて、ひと際存在感を放つ山が現れた。富士山に似た整った山容から、紛れもなく浅間山であることが分かる。
今度は、行く手正面の雲が動き、王ヶ頭ホテル付近の雲の切れ間から白い山脈が見えた。方角的に北アルプスの一部だろうか。
王ヶ頭ホテルに到着。スイスのスキー場にありそうな外観を模したホテルで、スノーシューツアーでは、ここで優雅なランチを楽しんで帰るのが定番のようだった。個人的にも惹かれたが、「山屋は黙ってカップ麺」と少しうそぶく。笑
ホテルの裏側にまわり、王ヶ頭のピークがある場所に行く。
先ほどちらっと見えていた北アルプスがさらにはっきり見えるようになっていた。ギザギザに尖って見える山塊は、おそらく奥穂高だろうか。まるで一枚の絵画のようだった。
本当は「王ヶ鼻」にも足を延ばしたかったが帰りの時間もあったので、その代わりに王ヶ頭ホテル正面のテーブルを陣取り、ゆっくり昼食をとりながら美ケ原の絶景を楽しむことにした。コーヒーの香りでホッとしながら、目の前の雪原を滑るように動いていく雲をぼーっと眺める。いつまでも見続けていたい風景だった。、
いつの間にか、八ヶ岳が姿を現していた。蓼科山が手前にドーンと鎮座していて、その奥に八ヶ岳の名前の通り、名だたる山が幾つも連なっていた。実に惚れぼれする。よく見ると、富士山も薄っすら見えていた。
帰りは、あえてルートを外れて踏み跡のない雪原を進んで行く。
もふもふの雪。スノーシューの性能発揮で、ラッセル車の如く雪を蹴散らしながら歩いていく。気持ちが良くてたまらない。
ふと足を止め、360度、身体をぐるりと回転してみた。雪原の中心に自分が立っていて、周囲には誰もいない。見渡す限りの雪面。それも真っ平ではなく、緩やかなカーブを描きながら、まるでサハラ砂漠の砂丘に雪が積もったかのような世界観が広がっている。そこに太陽の光が当たり、できあがった陰影が更に立体感を生み出していた。
雪原の丘の先は、空との境界線にそのまま繋がっていた。淡い水色から始まり天頂では「宇宙色」と名付けたくなるような深い青。滑らかに変化するグラデェ―ションに心が奪われ立ち尽くしてしまった。こんな贅沢な風景ってほかにあるだろうか。
簡単に口にする言葉ではないが、「もう死んでもいい」と思った。
美ケ原はやっぱり雪のシーズンが似合っている。今度は、王ヶ頭ホテルにでも泊まって満天の星空を楽しみながらゆっくりしたいものだ。
幸せに満たされた気持ちで美ケ原をあとにした。

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登った山

美ヶ原

美ヶ原

2,034m

よく似たコース

美ヶ原 長野県

東西5キロにわたる広大な高原台地

最適日数
日帰り
コースタイプ
縦走
歩行時間
4時間20分
難易度
コース定数
16
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