行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
冠山峠を目指す。ただし、がけ崩れのため福井県側からの林道は入口のところから通行止め(開通の見込み無し)となっているため、冠山トンネルで一旦岐阜に抜けてから林道でアクセスする。舗装はされているが、岩が所々転がっていて運転には注意が必要。冠山峠は県境のところでゲートが封鎖されているため、その手前のスペースに車を停めることができる。10~20代は可能。トイレはない。ここを起点に冠山と金草山の登山口がそれぞれ左右にある。
この登山記録の行程
冠山峠(08:49)・・・冠山(10:33)(休憩~11:37)・・・冠平(11:59)・・・冠山峠(13:12)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
今年の夏に妹夫婦を連れて「立山」へ行く約束をしていたが、台風の接近で急きょ中止を余儀なくされてしまった。妹夫婦はともに登山初心者だが、密かにトレーニングをして備えていたので、とても残念がっていたと聞いて「晩秋のプチ登山」を企画することになった。
初心者でも歩ける簡単なコースで、それでいて一級品の絶景が楽しめる山として、真っ先に思いついたのが「冠山」だった。
冠山は、両白山地南部の越美山地の岐阜県と福井県にまたがる標高1,256 mの山で三百名山の一つでもある。その特徴的な山容から「福井のマッターホルン」と呼ばれていたが、福井県がPRを怠っている間に、最近ではすっかり「奥美濃のマッターホルン」の方が定着してしまった。
最近では福井県と岐阜県のミッシングリンク解消に造られた冠山を貫く長いトンネルが完成したことで、積雪シーズンにも登山が可能となりアルプス級の絶景が味わえる山として一躍全国区の山となった。ちなみに、それ以前は冬季になると林道が閉鎖されてしまうため、積雪時は人を寄せ付けない孤独な山だった10年ほど前に、往復20km以上のラッセルをして単独登ったことがあるが、あの絶景を再び見ることができるという喜びがある一方で、特別だった風景が今や簡単に手に入るようになってしまったということにいささか複雑な感情もある。
福井県側の林道は現在、土砂崩れにより通行止めになっているため、一旦、冠山トンネルで岐阜県へと抜けて、クネクネと林道を走り冠山峠へと向かう。
初めて冠山トンネルを使ってみたが、確かに飛躍的にアクセスが向上した。美濃の山へ行きやすくなったのは大歓迎だ。
山の中腹部まで来ると紅葉が真っ盛りだった。
「この紅葉だけで大満足。別に登らなくてもいいよ」とのたまうフザケタ妹。お前のために来たんだってば。
予定通りに9時前に峠へ到着。先行者の車が、5,6台の車が停まっていた。
右手側には鋭く尖った頂が見える。
説明不要の「冠山」。悔しいが、やはり「福井の」というよりは「奥美濃のマッターホルン」の方が相応しい。
秋晴れの澄んだ青空に聳える頂は、いつ見てもかっこいい。久しぶりの勇姿を間近に見てうっとりしてしまった。
「あれが目的の山だ!」と説明すると「あんなに尖ったところ、登れるわけがいない」とまたもや妹がブーイングをしていた。
いつもなら、峠を起点に冠山とその反対側に位置する金草山の両方を歩くが、今日は初心者集団なので冠山だけを目指す。
峠の時点で標高が1,042 mとあるので、山頂の標高1,256 mとほぼ変わらず、スタート時点から縦走と絶景を楽しむことができるのがこのコースの良いところだ。
トコトコとついてくる妹を確認しながら、ゆっくり眺望を楽しみながら進んでいく。
想像していた通り、稜線付近の紅葉は完全に終わっていたが、今が真っ盛りの山々を見下ろすのはなかなか乙だった。
福井県側に目をやると、手前に大きく「部子山(へこさん)」と「銀杏峰(げなんぽ)」が見えた。遠くには真っ白な頂の「白山」と「別山」。もう純白の雪を冠している。
緩やかにアップダウンを繰り返しながら歩き、ついに「あんなの登れない!」と妹が言った山頂直下に突き当たった。
逆光でシルエットしか見えないが、まさに行く手を阻む大きな壁。
「こんなところ登れるの?」と再び不安な声が上がるのも仕方がない。試練の長いロープが垂れ下がった崖を見れば、慣れた方でもビビってしまう。
さすがに初心者には危険な場所なので、自分が先行しお手本を見せながら登り方とコース取りを教えていく。慎重に、慎重にを繰り返して登っていく。
最初は「こんなの聞いてないよ」とブツブツ言っていたが、最後には緊張でついに言葉も出なくなった妹。それもついに終わりを迎え、最後の斜面を登り切り頂へと立った。
同時に、飛び込んでくる360度の眺望に「うわー」っと感嘆の声があがった。
そう。これだけお手軽に高山クラスの絶景が楽しめる山はそうはない。「妹よ、感謝しろ!」。
せっかくなので、そのまま頂でランチタイムを取ることにした。ぽかぽか陽気で風もなく最高の山日和だった。最後にコーヒーを飲んでたっぷり眺望を楽しんでから下山した。


















