行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「御霊櫃峠」をセット。峠のところに15台程度の駐車場有り。トイレも整備されている。郡山市内からの林道部分は全面舗装されているものの、距離が長く幅の狭い道が曲がりくねっている。枝等も多数落ちていて、意外に猪苗代湖方面へ抜ける車も多いため、運転には注意が必要。
この登山記録の行程
御霊櫃峠駐車場(06:25)・・・大将旗山(07:00)・・・額取山(07:32)(休憩~07:45)・・・水場(07:58)・・・大将旗山(08:33)・・・御霊櫃峠駐車場(09:09)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
前日の土曜日に、山友「ともさん」と以前から約束していた「大滝根山」へ登った。
そのまま宮城の山へ向かうと言う、ともさんから「一所に登りませんか?」とのお誘いを受けたが、別な予定があったので大滝根山の麓で行動を別にして、自分は一路、郡山へやって来た。お宿は、市内にある「善宝池公園」の駐車場をお借りしての車中泊。郡山は大きな街なので買出しなどには便利だが、近くにちょうど良い道の駅が無いため、車中泊には難点だった。
先週末の山間部での車中泊では、凍える思いをしたので、その反省を踏まえて寝袋のインナーを持参してきたが、それでも深夜は相当の冷え込みで、お陰で早めに目が覚めてしまった。そうであれば「朝日を見よう!」と寝袋から抜け出し目的の山へと向かった。
目指すは「額取山(ひたいとりやま)」。
額取山、は猪苗代湖の東側にそびえる連山の一つで、福島の「うつくしま百名山」にも数えられている。「ひたいとりやま」という不思議な山名の由来は、源義家が元服の際に額の髪を剃ったという言い伝えからきているらしい。また、その横にある「大将旗山」は、源義家が軍旗を掲げた場所とのこと。なにやら源義家にゆかりのある場所の様だった。
もともと額取山は、「会津磐梯山を愛でるならこの山が良い!」と知り合いから教えてもらった山で、今年の3月1日に雪山登山として登ったことがあるが、その時には生憎の吹雪で、磐梯山の雄姿どころか山の位置さえ確認できなかった。そんなことから「晴れた日にもう一度登らなければいけない!」と再訪を狙っていた。
今回は「御霊櫃峠(ごれいびつとうげ)」から登るコースを使い、大将旗山を経て額取山まで歩くピストン登山。標高1,000m前後で展望の良い稜線歩きが楽しめるコースなため家族向け登山としても人気が高い。
くねくねと曲がった林道に車を走らせ、まだ薄暗闇うちに御霊櫃峠へ到着。
「誰もいないだろう」と思っていたが、大きな犬を連れた先客が一人、駐車場の中央を占領していた。その方もきっと「誰もいないだろう」と思っていたに違いない。
出発の準備を整えようかと思ったが、日の出が近かったのでとりあえず朝日を見ようと、峠のすぐ近くにあるピークまでカメラを持って登ってみた。
街の明かりが消えて、代わりに海から真っ赤な太陽がジワジワと空を染めながら顔を出してくるところだった。日本海生まれの自分にとって、沈む太陽は見慣れていても、海から昇る太陽は何度見ても新鮮だった。
風が強く肌寒かったので、一旦、車に戻り装備を整えてから登山を開始した。
峠から最初のピークまでは、田部井順子さんの映画「てっぺんの向こうにあなたがいる」のオープニングで使われたロケ地になっている。少々ネタバレになるが、一歩一歩頑張って登り、小休止的に振り返りながら郡山の市内を見下ろすシーンが描かれていたが、実際には駐車場から100mも離れていない場所で撮影されていて、それを感じさせない役者さんの演技力は本当に凄いものだと思った。
放射冷却で冷え込んだ稜線。
足元の落ち葉が白く凍っていて、所々に霜柱も見られた。
右手側には、日の出を終えて活動を開始した郡山市街地。左手側には猪苗代湖から発生したと思われる雲海を眺めながら進んで行く。
灌木の間に延びる道。射しこむ新鮮な朝日。いつしか風も弱まり、さっきまで震えていた冷たい空気がかえって心地よく感じるようになってきた。
最初の頂「大将旗山」へ到着。
標識横の岩の上に立つと、モルゲンロートに染まった会津磐梯山が見えた。
僅かに頂が白く雪を冠している。堂々たる山容が一層カッコ良く見えた。
雪の磐梯山は、登ってよかった雪山の上位に入るお気に入り。今年も是非登りたいものだ。
大将旗山を越えると、ついに「額取山」が大きく見えてきた。
一旦大きく降り、コルの部分を歩いていると「水場」の看板を見つけた。
もの凄い斜面の下を指していて、とても近くにあるようには見えなかったが、このような看板を見かけると悪い癖でつい寄り道をしたくなる。実は帰りに降ってみたが、想像通りずり落ちるような急斜面で、先が見えず「やっぱりやめようか!」と思ったところにチョロチョロしみ出している水場を見つけた。この季節でこの水量であればきっと夏場は枯れているのかも知れない。
7時30分、斜面を登り切って山の上に立つ。
「山頂だ!」と思ったが、頂の標識は更に100m程奥にあった。
前回は真っ白で何も見えなかったが、そう言えば山頂部分が縦に長かった記憶がある。
ゆっくりと歩き、「お久しぶりです!」と言って標識にタッチした。
今日はどこまでも広がる真っ青な空。狙い通り、最高の会津磐梯山に会うことができた。雲海が切れて猪苗代湖も見えている。うっとりするような光景だった。
磐梯山を目印に目線を左へと移動していくと、西吾妻やおっぱいがちょこんと乗っかっている安達太良山。さらに遠くには昨日登った大滝根山周辺の山塊が薄っすらと見えた。
「来て良かった」、この景色が見たかったのだ。
今年はいろんなことがあった一年。
そんな一年を振り返りながら、節目となる登山では頂の上で「You Raise Me Up/Celtic Woman」を聴くことにしている。くしくも冒頭で話した田部井順子さんの映画でも挿入歌として使われている大好きな曲だ。
スマホを取り出し、YouTubeで曲を流し、静かに黙とうをする。
綺麗な楽曲とともに澄んだ歌声が山間に広がっていく。さながら映画のワンシーンの様だった。
曲の終わりに一礼をして来た道を折り返す。峠までの稜線がとても印象的だった。



























