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雨飾山

雨飾山( 上信越)

パーティ: 2人 (1357 さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

曇り

登山口へのアクセス

マイカー

この登山記録の行程

登山口(1,170m、6:15)荒菅沢(1,448m、7:30)雨飾山(9:10)鋸分岐(1,600m、10:30)金山(13:45)天狗原山(14:45)登山口(17:25)

コース

総距離
約13.6km
累積標高差
上り約1,715m
下り約1,644m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 北柏駅で徳永君を拾って外環から関越道を走るが、事故渋滞に引っ掛り大幅に遅れて長野インターを降りる。通称オリンピック道路を走って国道148号線へ抜け、交代で運転しながら北上する。しかし、午前3時、眠さに耐えかねて国道横の公園にテントを張って2時間ほど眠る。

 寝不足の重い頭でテントの外に出ると、雲の塊の向うに八方尾根が黒い山肌に白い残雪の筋を抱いて見えている。どうやら天気は味方してくれるらしい。
 早朝の空いた道をまだ覚めやらぬ頭で運転し、トンネル出口の信号を右折して、やっとバスが走るような狭い崖沿いの田舎道を小谷温泉へ向う。急斜面の温泉街(?)を抜けて村営雨飾山荘を過ぎ、鎌池への道を分けて勾配の無い道を行くと前方に雨飾山が姿を現す。何年もの間「登るぞ」と思い描いていた山にしてはなんの変哲も無いありふれた形で、少々拍子抜けがする。
 湘南、習志野、栃木、大阪、長野と多彩なナンバーに混じって車を停め、3人が眠っている休憩舎を潜って歩き始める。
 大海川沿いの川原には花の終ったミズバショウが大きな葉を伸ばしている。川から離れて山肌に取付いてぐいぐいと高度を上げるとやがて水平な道になり、前方が開けると荒菅沢の雪渓が見下ろせ、雪に磨かれた岩壁の上に雨飾山の鋭鋒が聳える。雪渓の上に降りて対岸へ渡り、一本立てる。
 荒菅沢からP1,893へ向って急登すると、樹林帯を抜ける頃には山頂から登山者が下りて来る。上は風が強く、ピークを越えて少し下った笹原の中に腰を下して一休みする。雨飾山の山頂部は笠ヶ岳とでも呼びたい形で、登山道の両側にはギボウシやテガタチドリ等がすくすくと育っている。
 梶山新湯からの道を合わせた先の笹の中にザックを忍ばせて空身になって山頂へ向い、最後の60mを急登すると360度遮る物が無い虚空の中の雨飾山頂に出る。足元がすっぱりと切れた空間の向うには後立山連峰が長く横たわり、くっきりと見えている。白馬三山から南の方へ天狗岳、唐松岳、五龍岳、鹿島槍ヶ岳、爺ヶ岳と続き、一段低くなった稜線の更に左には槍ヶ岳と穂高連峰の一団がはっきりと確認出来る。
 北へ目を転じると、大きな山体の雪倉岳に続いてもっこりした図体の朝日岳が目立ち、登った人でないと判らないであろう五輪山と黒負山もその手前に見えている。登った山々を各々に懐かしく思い出しながら眺め入る。
 糸魚川の白い川筋の先には思い掛けない近さで糸魚川市街と港が見下ろせ、「糸魚川市から望む雨飾山の山頂は、切り立って見事だろう」と想像される。日本百名山の中に選ばれた理由だろう。先客の2人に写真を撮ってもらい、後から登って来た小学生の母子に挨拶して早々と山頂に別れを告げて引き返す。
 笹平から金山までは意外に近く見え、コースタイムが5時間なのを「そんなに掛かるだろうか?」と疑問に思いながら、分岐の『鋸 金山』の道標を頼りに草に覆われた道に分け入る。下りは急で、途中には根曲竹の太いのが盛大に伸び、「筍のシーズンは終ったなあ」と残念に思いながら下る。
 金山への尾根の方向から離れて鋸岳の方へ道が下って行くので少々心配するが、傾斜が緩くなると右に転じて沢沿いに行き、シラネアオイやリュウキンカが瑞々しく咲いて喜ばせる。鋸分岐で一休みして、ペットボトルの水道水を捨て雪融水を満たす。鋸岳への道は崩壊が激しく通行止になっている。
 3月以降、何回もテント泊り山行を企てたのだが、膝と体調に自信が持てず日帰り山行をするのが精一杯の状態が続いている。今回も自信が無いうえに寝不足なので、「金山に登って一周しよう」と言いつつ歩き始めたものの、「しんどくなったら引返せば良いや」と一周に執着していなかったのだが、徳永君が当然の様に一周コースへと入ったので、行きたいような下山したいような中途半端な気持で後に従った訳だが、黒沢峰、白倉峰と越えて茂倉峰へと本格的な登りに掛かるに連れて次第に足が重くなる。 
 雲間からの輻射熱が暑く、時折吹く微風が無いと暑さに苦しむ所だが、樹高の低さも幸してこの時期としては恵まれた山歩きの1日と言えよう。緩い尾根だが辛い登りで、筍に気を紛らせながらじっくり歩いて行く。多雪のために雪解けが遅いと思われ、登山道の両側の竹薮を注意深く見ると採り頃の筍が多く、最初は「ほんの少しでも有れば好いなあ」と思っていたのが、欲が出て「たっぷり採ろう」と熱が入る。手に持ちきれなくなる度にザックに詰める事を繰返して、金山に登り着くまでには相当数になる。
 金山からは焼山と火打山がよく見え、雪渓が豊富に残っている。半ば予想した如く、金山から裏金山へは笹の中に道が付いている。「もう少し早い時期に大倉沢の雪渓を詰めて金山山頂にテントを張り、翌日焼山をピストンして金山西尾根の鞍部へ下り、沢を下降して登山口に戻るのも好いルートかも知れない」等と思いを巡らす。
 金山谷側の尾根直下に厚く残っている雪渓の上を歩いて天狗原山へ向う。なだらかな地形に付けられた夏道は数箇所で雪渓の下になっており、旧い足跡を拾いながら進む。ガスに包まれると道に迷いそうな所だ。雪の融けた斜面にはシラネアオイやハクサンコザクラ、リュウキンカ、チングルマなどの高山植物が続いている。
 最低鞍部付近の夏道は沢の源頭の雪渓の下に隠れており、右手の斜面にはシラネアオイの大群落が見られる。グリセードを楽しみながら沢筋を下り、右斜面の夏道に取付くと間も無く天狗原山に着き、這松の中を捜して三角点を確認する。
 下山に移って暫くの間高山植物を楽しみ、樹林帯に入る。P1,111までは変化の少ない道でほとんど高度を下げず、やけに長く感じる。ピークから急降下して、雪融け水の通り道となっている登山道をひたすら下る。2ℓの水が乏しくなり、最後の水を2人で分け合って飲み、「途中に水場があるから、そこまで我慢だ」と言いながら下降を続ける。しかし、水場は無く(気付かずに通り過ぎたか?)、やがてガードレールが樹間から見えて登山口の林道に出る。
 睡眠2時間で11時間の長丁場はさすがに堪えたが、雨飾山荘まで1時間、さらに登山口まで1時間歩かないと下界へ帰還出来ない。靴を脱いで暫くの間足を解放してやる。腰を上げると直ぐに車が遣って来て、手を上げると停まり「乗せて下さい」とお願いする。新潟県白根の人で、「迷い込んでしまった。町に出るには如何行けば良いんですか?」と聞くので、「この道を行くと小谷温泉へ出ますよ」と幸便に教える。
 雨飾山荘の手前で「厚かましいんですが、10分ほど遠回りして登山口まで乗せて貰えませんか」とお願いすると、「好いですよ」と快諾してくれる。「筍は食べますか?」、「大好きです」、「じゃ、少しですが上げます」、「わあっ!どうも有難う」 明るいうちに車に帰り着いて大助かりで、笹ヶ峰を抜けて妙高高原へ出て高速に乗る。

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登った山

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