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知床半島縦走

羅臼岳( 北海道)

パーティ: 6人 (1357 さん 、ほか5名)

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行程・コース

天候

雨/晴れ後曇り

登山口へのアクセス

マイカー
その他: オンネトー野営場を早朝に出発して岩尾別温泉にレンタカーを置いて登り、羅臼平で幕営する。
カムイワッカ出下山してバスを待っていると車が拾ってくれ、5人を回収して宇登呂へ走り、縦走の乾杯をして国設野営場にテントを張る。

この登山記録の行程

岩尾別温泉(9:05)羅臼平(12:40~13:10)羅臼岳(14:05)羅臼平(14:40/5:15)サシルイ岳(6:40)オッカバケ岳(8:00)二つ池(8:20)南岳(9:20)知円別分岐(1,495m、10:30)第一岩峰下(1,450m、11:40)硫黄岳(12:40)川原(975m、14:30)カムイワッカ(250m、16:20)宇登呂野営場(18:30)

コース

総距離
約20.4km
累積標高差
上り約2,327m
下り約2,295m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 早起きして、雌阿寒温泉から岩尾別温泉へと100余kmを飛ばす。知床五湖への道から外れて岩尾別川沿いの道を登って行くと路側帯には沢山の車が停まっており、「車を置きに下まで戻る事になるのかなあ」と心配しながら運転するが、ホテル前の駐車場にタイミング好くスペースが出来る。
 ポーチで雨を避けて身支度していると、「奥に山小屋が在るから、そちらで遣って下さい」と邪険にされ、「ホテルと言えるほどの代物では無いくせに」と不愉快になる。小屋ではガスボンベを売っており、念のために小1個を購入する。
 本降りとは言えないにしても好転しそうな雲行きではない天気の中を沢山の人が登って行くのに煽られ、「斜里岳を諦めれば1日余裕が出来るのだが、出来れば当初の計画通り3山を全うしたい」と我々も出発する。
 雨具を着て樹林の中を登る。尾根から左へトラバースして暫く行くと『弥三吉水』の水場だが、雨と汗で濡れそぼった体は水を欲せず、一休みして前進する。極楽平の緩い地形を進み、雪の詰った大沢沿いにぐいぐい高度を上げる。
 我々は遅い出発組だったが、この付近では登山者が詰って雪渓の上に途切れ勝ちに続き、雨で腐った雪に足元が滑って苦労しながら登っている中高生の集団登山も見られる。傾斜が落ちて両側が開けると羅臼平で、「取り敢えず、ここまで登って来た」と気が緩む所だ。小雨模様の中で腰を下して一本立て、食事を取る。
 ザックを置いて水筒を持ち、羅臼岳へ向う。傾斜が急になる付近からは這松が消えて露岩の間のお花畑となり、花に気を紛らせながら1時間ほどで山頂に着く。
 途中の岩清水で水筒を満たして羅臼平へ帰り、大岩の横にテントを張って一息吐く。α米の担当は自分だが、お湯が湧いた段になって車に置き忘れた事に気付き、皆に平謝りする。有り合わせの食料を掻き集めて何とか夕食を済ます。

 雨は上がっている。羅臼岳の上の方は薄いガスが懸っているが、天気は確実に好くなってきており、元気が湧いて来る。昨夜、灯油用のポリタン(30年ほど使って-+いた)が破損したので空になったペットボトルに移し替えてテントの外に置いていたのだが、沢口さんが起掛けに水と間違って一口飲んでしまい一騒々になる。
 雨露に濡れた道を三ッ岳の鞍部へ登ると、登山道がサシルイ岳へ向って這松の間に伸びており、手前の窪地には5~6張りのカラフルなテントが出発の順備中である。周辺にはお花畑が広がり、エゾキスゲ、チドリ、エゾツツジ、チングルマなどが渾然一体となって咲き、見事と言う外ない。
 サシルイ岳から沢沿いの雪渓上を緩く下り、背丈ほどの這松の間を西へ折れて標高点1,319m付近にある小沼に出ると周りに草原が開け、お花畑を眺めながら一本立てる。縦走路からちょっと足を伸ばしてオッカバケ岳を踏み、二ッ池へ向って下り、浅い池の周りに点在する小岩に腰を下して休憩する。水面には漣が立ち、海辺に居るかの様な錯覚に陥るが、夜間に食料を入れて置く為の鉄箱がヒグマへの注意を呼び覚ます。
 南岳目指して登ると直ぐに尾根に出る。左側は噴火口の急斜面になっている筈だが、ガスで全く見えない。這松の間の道を忠実に歩き、山頂を踏んで下ると、知円別岳まで草原の間に道が続く。視界も無く、疲れも加わって花にもそれほど感激しなくなってくる頃、「風が強くて硫黄岳へは行けない」と十数人が引返して来る。「ザイルがないと通れませんよ」と前進する我々を咎めるようにも聞えるが、引返すのは時間的に問題だし、「自分で確認しない事には納得できない」と先へ進む。
 知円別岳北東のガレた斜面を横断して岩稜に出ると強い南西の風に襲われる。「強烈だなあ!」と諦めそうになるが、「風上側の斜面を尾根の背から少し下って歩けば行けそうだ。風の遮蔽物になっている前方の岩まで辿り着けば何とかなるだろう」と女性の腕をとって1人ずつ前進させ、尺取虫よろしく少しずつ硫黄岳へ向って前進する。
 這松や潅木が散発的に生えている岩稜を700mほど進むと1,550mの岩峰が聳え立ち、道は東斜面を下降する。無風状態となり、緊張感から解放されて大休止する。加瀬さんがザックの中からコッヘルを出し、破顔一笑、その中のメロン1玉を取出して嬉しげに掲げると女性陣から歓声が湧く。
 メロンの甘味を堪能し、元気を出して岩峰に登るとガスの切れ間に三角形の硫黄岳がヌッと聳え、独特の印象を与える。火山特有の複雑な地形の凹地の縁を通って硫黄岳の基部へ向うと、強風で吹飛ばされそうになる。2つの岩峰の間を通る風が漏斗効果で圧縮されて威力が倍加して、先ほどの比では無い。大岩の陰に身を寄せて一休みする。
 「せっかくだから頂上に登ろう。次の機会は無いよ!」と声を掛け、有志4人で硫黄岳の頂上を目指す。風上へ向って登るのは至難の業で、風の息を見計って少しずつ前進し、硫黄岳東側の風下に回り込んで一息吐く。急な岩場の薄い踏跡を登り、頂稜を這う様にして山頂に立つと知床半島の山並と海岸線が雲の下に伸びており、「北の果てに遣って来たんだなあ」と感慨を誘う。海岸線には道路も無く、見える限り人工物の無い原始の知床半島が視界を占める。
 ウブシノッタ川と硫黄川を分ける尾根は風化して崩壊が進んでおり踏跡が乱れて判り難いが、硫黄沢の源頭に入ってしまうと沢筋を下る一本道で迷う事は無い。途中からV字谷を埋める雪渓が現れて思い掛けない雪上歩きを暫くの間楽しみ、楽して下る。
 やがて雪の下から流れが現れて川原の大岩を縫って下るようになるが、思う様にはスピードが上がらない。標高1,000m付近で左岸の尾根へ上がってよく茂った這松の間の見通しの好い尾根道を下る。人工の手の加わらない旺盛な這松が視界一杯に広がり、尾根の先はオホーツクの海に落ちて蒼く深い海が広がっている。振り返ると、硫黄岳の鋭角三角形の頂が高く見えている。
 やがて新噴火口の荒涼とした地形が現れ、地面の輻射熱と夏の陽射しで頭が熱くなる。更に高度が下がると硫黄採取の為に付けられた軌道の跡の良い道になり、雑木林の中を行く。左にカムイワッカ川の涼しげな流れを見下ろしながら歩くが、知床林道の登山口までは、まだ結構な距離がある。
 バスの時間待ちに知床大橋を見に行くが、来合せた車が「岩尾別温泉へ行く」と言うので、頼んで乗せてもらう。カムイワッカ川の橋の袂ではワラジ屋が店開きをしており、沢山の人がナメ床の沢を嬉々として歩き、水と戯れている。
 宇登呂町の国営キャンプ場にテントを張った後、町営の温泉に入ってさっぱりする。夕食に街へ降りて行き、港で教えて貰った魚の美味い店に入って生ビールで乾杯する。花咲ガニは「峠を越えて羅臼町へ行かなければ無い」と言われるが、油の乗った北海道一のホッケやウニ、新鮮な魚を堪能して大いに盛り上がりすっかり出来上がってしまう。

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装備・携行品

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登った山

硫黄山

硫黄山

1,562m

知円別岳

知円別岳

1,544m

サシルイ岳

サシルイ岳

1,564m

羅臼岳

羅臼岳

1,661m

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