『ウルトラライトハイキング』の第一人者、土屋智哉氏の知識と経験が一冊に!

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 最近、アウトドアの世界で耳にする言葉に「ウルトラライト」というものがある。この言葉を直訳すれば、「すごく軽い」ということになる。つまり、ウルトラライトハイキングとは、「すごくに軽い装備でフィールドに行く」という意味だ。

 登山者からすれば、そもそも最近の登山用具は非常に軽くできているので、「だからどうした?」と疑問に思うかもしれない。

 しかし、真のウルトラライトハイキングは、それほど単純なものではない。じつは「ウルトラライト」という言葉はアメリカのロングトレイルから生まれていて、何ヶ月もかけてトレイルを歩くための技術であり、その経験から生まれた思想でもあるのだ。

 その技術を日本の自然に合わせてアレンジしながら紹介してきたのが、この世界の第一人者の土屋智哉さんだ。土屋さんは東京・三鷹でウルトラライト・ギアを中心に販売する「ハイカーズデポ」というお店を立ち上げ、ウルトラライトの考え方を文字どおり「布教活動」している。

 その土屋さんが、小社より2月12日に『ウルトラライトハイキング』を上梓する。

 これまでアウトドア誌などで断片的な情報が掲載されたことはあった「ウルトラライトハイキング」だが、歴史や哲学とともに、日本での実践方法までを系統立てて紹介した本は初めてとなる。

 そこで著者である土屋さんに「ウルトラライト」の真髄を聞いた。


――そもそも、ウルトラライトハイキングとはなんですか?

難しい質問ですね(笑)。日本でもアメリカでも厳密な定義はないんですよね。
そもそも山歩きを意味する言葉自体、登山、ハイキング、ワンダーフォーゲル、バックパッキング、トレッキングと様々ですよね。そしてこうした言葉を明確に定義づけ、区分けして使っている人はほとんどいないのではないでしょうか。
その言葉を使う人それぞれが、自分なりの思いをこめて使っているのですから。定義づけ自体が無意味かもしれませんよね。
それと同じでウルトラライトハイキングも人それぞれだと思いますし、言葉にこだわりすぎるのもどうかと思います。でも、それでは答えにならないので、わたしにとってですが、

  • 「シンプルで軽い道具によるハイキング」
  • 「自然とのつながりに重きをおくハイキング」

これが核心だと思っています。

 

――ウルトラライトハイキングとの出会いは?

大学時代には探検部に所属、海外遠征もしていたのですが、思えばそのときから軽量化には熱心でしたね。セスナに搭載できる重量が決まっていたものですから、必要にかられて無駄なものをそぎ落とすようにしていました。
当時はお金もないですし、軽いものに買い替えるにも限度がありますから、必然的に無駄なものは持っていかないというスタイルを実践していたように思います。
いわゆるウルトラライトハイキングというムーブメントに出会ったのは2001年、もしかしたら2000年だったかと。アメリカのアウトドア総合展示会の会場でGOLITEのブースを見つけたのがきっかけです。
そこで配布されていたパンフレットや書籍に興味を持ち、帰国してからインターネットで調べたりして。意識的に取り組むようになったのはそれからですね。

 

――どんな人に読んでほしいですか?

手にとって読んでいただけるなら誰でも大歓迎です(笑)。道具を軽くしたい人というくくりすらあまり気にしていません。
どんな人に読んでいただいても、賛否両論、何かしら山登りに対して考えるきっかけになると思うのです。
日本ではライト&ファストやウルトラライトというムーブメントの背景すらアウトドアマスメディアで説明されてきませんでした。
1990年代以降のアメリカのアウトドアカルチャーの流れを書籍と言うカタチで語れること自体、意味はあるでしょうから。
アメリカのアウトドアカルチャーに興味がある人、ウルトラライトハイキングに興味がある人、もしくは懐疑的な人、山を登る全ての人にとって、何かひとつくらいはうなずける内容が提供できればうれしいです。


 小社刊『ウルトラライトハイキング』は2月12日発売。

 土屋氏の協力により、「ヤマケイオンライン」の登録会員であれば、気になる誌面の一部(14ページ分 2/9訂正:25ページまで)をPDFで閲覧できる。ぜひチェックしてみよう。
 (会員の方はログインした状態でこちらへ/登録がまだの方はこちらへ )

 なお、山と溪谷社直販サイト「インプレスダイレクト」および、アマゾンで予約を受付中。予約の方には、一部の地域を除いて、発売日当日にお届けできる。

 

■著者プロフィール

土屋智哉(つちやともよし)

 1971年、埼玉県生まれ。古書店で手にした『バックパッキング入門』に魅了され、大学探検部で山を始め、のちに洞窟探検に没頭する。
 アウトドアショップバイヤー時代にアメリカでウルトラライトハイキングに出会う。このムーブメントに傾倒し、自らの原点でもある「山歩き」のすばらしさを再発見。
 2008年、John Muir Trailをスルーハイクしたのち、幼少期を過ごした三鷹にウルトラライトハイキングをテーマにしたショップ「ハイカーズデポ」をオープンした。
 シンプルなハイキングスタイルと奥多摩・奥秩父の魅力を伝えようと奮闘中。

 

関連リンク

■ハイカーズデポ
■山と溪谷社の書籍紹介ページ

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