南アルプス市芦安山岳館が90年前の登山地図を復刻・販売

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南アルプス市はこのほど、同市の芦安山岳館が誇る山岳資料・図書コレクションの中から、2021年度の収蔵品整理の際に発見された昭和6(1931)年の登山地図を復刻した。

復刻された古地図『五万分一 白根山近傍図(四色刷)』。サイズは縦63cm、横88cm

復刻された地図は国土地理院の前身・陸地測量部が発行した『五万分一 白根山近傍図(四色刷)』。91年前に発行された昭和期の希少な古地図で、主に明治~大正期の三角測量により作られた地形図だ。

陸軍参謀本部の陸地測量部(現在の国土地理院の前身)の測量技師たちは、全国の山に登り、選定された三角点の位置に標石を埋め、測標を建てて全国の地形を地形図に写し取っていった。刊行された地形図は、大正期に盛り上がりを見せた日本の近代登山を後押しし、昭和に至るまでの長い期間にわたって全国の登山者たちに愛用され続けた。

日本第2位の高峰である南アルプス北岳に三角点が設置されたのは1904(明治37)年。この年は、「南アルプス」の名付け親でもあるウォルター・ウェストンが1902年に続いて2度目の北岳登頂を果たしており、その著書にも測量の様子が記されている。

ウェストンの北岳登頂から120年を迎えた今年、「初登頂のころの地図がほしい」との登山者のリクエストを受けて、南アルプス市が芦安山岳館に保存されていた古地図の復刻を決定した。

北岳周辺。記載されている山小屋はまだ北岳小屋(現北岳山荘)のみだ

現在の南アルプス市域を中心とした「白根山近傍図」の地図上には登山道のほか、山小屋の位置も記されるなど、近代登山を意識しての意趣が見られる。山岳エリアのほか、市街地なども掲載されており、現代の地図と比較するのも興味深い。

復刻版は限定300部。芦安山岳館で1部400円(税込)で頒布している。

 

お問い合わせ

南アルプス市芦安山岳館
TEL 055-288-2125
https://www.minamialps-net.jp/

 

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