1口500円の南アルプス協力金、長野県側で6月から開始

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南アルプスの長野県側、伊那市、飯田市、大鹿村と山岳関係者からなる南アルプス(伊那谷エリア)山岳環境保全協議会(会長・白鳥孝伊那市長)は、6月から1口500円の協力金を登山者に求めることを、5月9日の総会で説明した。山域の登山口や山小屋など、18カ所に協力金(募金)箱を置く。このほか、携帯電話の使用が可能な登山口や山小屋には、QRコード付きの看板(現在のところ5カ所)を設置し、キャッシュレスでの募金も可能とする。

南アルプスのなかでも登山者の多い仙流荘のバス乗り場

協力金を募る山域は、北が鋸岳から南は光岳までの南アルプスの長野県側の山域。登山口では北沢峠へのバス乗り場の仙流荘(伊那市)、鳥倉林道越路ゲート(大鹿村)、芝沢ゲート(飯田市)など。山小屋では、北沢峠こもれび山荘、仙丈小屋、塩見小屋、三伏峠小屋、聖光小屋、光岳小屋など。また、大鹿村の道の駅などの観光施設にも協力金(募金)箱を設置する。

協力金は、登山道の維持・道標の設置、携帯トイレの普及、登山安全対策、高山植物の保護(ニホンジカによる食害対策)などに充てられる。この日示されたチラシ案では「近年、集中豪雨による登山道の荒廃、ニホンジカの増加に伴う高山植物の食害の深刻化など、様々な問題が発生し」たため、これまでのような行政や山小屋による環境保全活動が困難になってきたという。以前示された南アルプス全域での協力金の実施は先送りされた。

当初2025年度は実証実験とされる予定だったが、本実施となり、目標額も定まっていない。3市村のホームページや山小屋のSNS(交流サイト)で制度を周知すること、協力してくれた人にアンケートをして(キャッシュレス決済ではアンケート画面が表示)、制度を検証することとされた。

先行する北アルプス南部の協力金(利用者参加制度)では、松本市、安曇野市で1000万円を負担し、2021年の初年度に531万円、2年目は427万円が集まっている。南アルプス三市村は事業を実施するにあたり、総額200万円(伊那市120万円、飯田市20万円、大鹿村60万円)を負担し、ホームページやチラシ、ポスターなどの制作や募金者への協力証の政策経費に充てる。今年度集まった協力金は2026年度に活用する。集まった協力金の額や協力金による事業実績は、協議会のホームページで公表する予定だ。

(文=宗像 充)

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