脚に負担をかけない歩き方をマスターしよう!-トレッキングポール編-
トレッキングポールは正しい使い方をしなければ、かえって体に負担がかかる。前回の「歩き方 基本編」に引き続き、プロ山岳アスリートの小川壮太さんにポールを使った歩行術を教えていただいた。
文=大関直樹
登山道でのトレッキングポールの使い方
1. 登りでは、体の横でポールをコントロールする
ポールを使った歩行に慣れてないと、いざ登山道でポールを使うときに、体の前でコントロールしがちだ。これは、自分の視界に入る位置でポールを操作しようとするためだが、前にポールを出す動きは肩や首周りに疲労が蓄積しやすい。
「ポールの操作は、なるべく日常生活での歩行の動きを崩さないようにすることが大切です。体の前ではなく横で構えて、肘を軽く曲げグリップを軽く握り、手の腹や小指などコントロールします。ポールを上に持ち上げないようにしましょう。斜度が緩やかで軽快に歩ける場所では、4歩進むごとに2回程度、ポールをつくのがよいでしょう」
2. 下りでは、体の面(幅)よりも外側でポールを構える
下りでは、体の面の中にポールグリップが入らないように注意。体の面の内側にグリップが入った状態だと、滑ったときに、みぞおちや肋骨、顔などにポールのグリップが当たってケガの原因となる。
「体の面からグリップを外に逃がすような形で操作をしましょう。そして、ポールには寄りかかり過ぎず、左右のバランスを整えるための杖として使います。実際に下るときは、両方のポールが突くラインの真ん中を通過するイメージで歩くとよいでしょう」
下りでは、転倒への恐れからポールに体重をかけ過ぎてしまう人が多いが、かえってバランスを崩しやすくなる。リズムよく歩行できるように、ポールに体重をかけ過ぎないように心がけよう。
3. 段差のある登りは、ポールでバランスを整える
大きな段差のある登りも、あくまでも脚部が主導だ。大きな段差では体の軸が左右にぶれやすいが、ポールで左右のバランスを整えることで、脚は直進方向に力を使うことに専念できる。
「ボールでバランスを整えながら、大臀筋やハムストリングスで進行方向に体を押し上げてみましょう」
大きな段差では、片方ずつポールを突くのではなく、両方のポールを一緒に前に出して、歩行の推進力を上げるのも効果的だ。
4. 段差のある下りは、足を下ろす前にチップを接地させる
大きな段差の下りでは、ポールのチップを先に接地し体のバランスを安定させてから、足を下ろす。ただし、チップを下に突こうとして体が前傾してしまうと、バランスを崩してしまうので注意しよう。
「体を前傾させずにポールが届くところを探し、安定したらポールの間をうまく通過していくイメージで下りましょう」
今回は、小川さんにトレッキングポール脚に負担をかけにくい歩き方を教わった。
「加齢で膝関節などが痛くなって、登山を諦めてしまう方も少なくないかと思います。しかし、体の使い方を見直したり、普段使えてなかった体の部位の動きを習得したりすることで、痛みが軽減することもあります。それではみなさん、フィールドでお会いしましょう!」