高機能、発揮できてる?登山ウェアのメンテナンス①レインウェア編

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夏山、秋山シーズンが終わった今は、無雪期の登山グッズをメンテナンスしたい季節。登山中の雨や風から身を守るレインウェアの状態はどうなっているだろうか。これから出番が増えるダウンウェアも、汚れたりへたったりしていないだろうか。機能性を損なうことなく快適に使い続けるために、自分でできる手入れの方法を紹介しよう。第1回は、レインウェアの基本メンテナンスについて解説する。

文=山と溪谷編集部、写真=田丸瑞穂、協力=モンベル

レインウェアのメンテナンスの実際

登山中の雨や風から身を守るレインウェア。防水透湿素材の機能性を損なうことなく快適に使い続けるためにはどうすればいいだろうか。

レインウェアに洗濯は欠かせない

レインウェアは登山靴やザックと並んで、登山の三種の神器とも言われる。雨による濡れや、森林限界を越えた稜線などでは風による冷えを防ぐなど、登山中に使用頻度の高い重要なアイテムだ。

一方で、高機能素材を使っているがゆえに「自宅で洗っていいのか」「どれくらいの頻度で洗濯すればよいのか」と悩む人も多い。ずばり、レインウェアは自宅の洗濯機で洗える。そして、小まめに洗濯するのが理想的だ。機能を低下させる原因は、使用後に放置すること。汚れたと思ったら、その都度メンテナンスを行なおう。レインウェアの機能の低下は、皮脂や土汚れがウェアの表生地や裏地に付着することで生じる。皮脂の汚れが付着すると透湿性が低下し、ウェア内部の蒸れを処理できなくなる。また、土汚れに加えて、ウェアが擦れると撥水機能が低下し、表生地が水を含むようになる(裏地に浸透するわけではない)。透湿性と撥水機能が低下することで、蒸れたり、雨の冷たさが伝わったりと不快に感じるようになる。

だからこそ、初期性能を維持し、快適に使い続けるために、定期的な「洗濯」と「乾燥(熱処理)」を行ない、透湿性と撥水機能をケアしよう。

ゴアテックス以外の防水透湿素材も手入れ方法は同じ?

近年は独自開発した防水透湿素材を使用するメーカーも多い。しかし、撥水性や透湿性などの機能が低下する主な要因は、いずれも皮脂や土汚れであるため、同様の方法で対処できる。

防水透湿素材は外側から水を通さず、防水性が低下することはない。しかし、雨水を弾く撥水機能はコーティングなので劣化する。勘違いしやすいが、「防水=水を弾く」ではない。

メンテナンスの対象=防水透湿や撥水機能を備えたアイテム

  • レインジャケット、パンツ
  • レインハット、キャップ
  • レイングローブ
  • トレッキングパンツ
  • ソフトシェル
  • ウインドシェル など

防水透湿素材を使ったレインウェアや小物のほか、防水透湿素材ではないものの撥水機能を備えたトレッキングパンツなどは同様の方法でメンテナンスできる。多くの登山ウェアに生かせる最も基本的なメンテナンス方法だ。

使用する道具

  • 洗濯ネット:ウェアを1~2着ほど入れられるサイズのもの
  • 歯ブラシ:使い古しの歯ブラシなど、部分洗いに適したもの
  • 中性洗剤:一般家庭で使われるものは弱アルカリ性が多く、専用洗剤が安心
  • たらい:撥水機能が低下しているときは撥水剤とともに使用する
  • 撥水剤:スプレータイプなど、より簡易的に撥水機能を回復できるものもあるが、今回はムラなく加工できるつけ込みタイプを使う
NEXT 準備・洗濯・乾燥の手順
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プロフィール

山と溪谷編集部

『山と溪谷』2024年5月号の特集は「上高地」。多くの人々を迎える上高地は、登山者にとっては入下山の通り道。知っているようで知らない上高地を、「泊まる・食べる」「自然を知る・歩く」「歴史・文化を知る」3つのテーマから深掘りします。綴じ込み付録は「上高地散策マップ」。

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