山の編集長・萩原浩司直伝! 山の写真を撮るときのポイント3選

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山の写真をきれいに、美しく撮りたい! けど、イマイチ自分が撮った写真には自信がない・・・。そんなふうに思ったことはありませんか? 天気や雲など“その瞬間だからこそ”撮れる写真もありますが、しっかりとポイントを押さえれば、誰だって、スマホでだっていい写真を撮ることができます。今回は、「山の編集長」として知られる山と溪谷社の萩原浩司が3つのポイントを解説します。

文・写真=萩原浩司

目次

ポイント①
構図の工夫と粘りで名作をものにしよう

いい写真の条件とは、ピント・露出・構図がしっかりしていること。ただし、最近のカメラは優秀なので、ピントも露出もカメラ任せで問題ありません。重要なのは構図なのです。自分がいちばん表現したいと思っている被写体を、どのように切り取ると効果的なのかを考えて、構図を工夫してみましょう。たとえば山頂の位置を左右どちらかにずらして空間を作り、動きを出す。雲が動いていたらベストの位置に来るまで粘る。立ったまま構えるのではなくしゃがんで撮影角度を変えてみる、など。アングルをほんの少し変えるだけで写真の印象は大きく変わるものです。「あと一歩の工夫と粘り」で名作をモノにしましょう。

作例:笠ヶ岳と影槍。槍ヶ岳山頂より
作例:笠ヶ岳と影槍。槍ヶ岳山頂より

ポイント②
夜の写真撮影にも挑戦してみよう

夜の写真撮影で重要なのは「カメラを固定すること」。月や星のかすかな光で写すためにはスローシャッターが必要になるため、ブレない工夫をしなければなりません。そのためにはしっかりとした三脚の使用が必須です。しかし三脚が手元にない場合には、安定した場所にカメラを置いて、リモコンやセルフタイマーを使ってシャッターを切る方法もあります。最近のカメラは夜間撮影に強い機種もありますので、まずはダメもとで積極的に夜の撮影に挑戦してみてはいかがでしょうか。

作例:北穂山頂から見た天の川と奥穂高岳
作例:北穂山頂から見た天の川と奥穂高岳。撮影時は岩のうえにカメラを置いてセルフタイマーで撮影した

ポイント③
山の高さを見せたいのなら空の面積を切りつめよう

山の高さ、ボリューム、そして力強さを表現したいと思ったら、まずは空の空間を小さくして足元から天辺までをしっかり写し込むことを考えてみましょう。山全体を見せたいがために、画面中央になんとなく山体を配置してしまうと、どうしても空の面積が大きくなり、また、山頂部分がセンターに落ち着いてしまって、それだけで山そのものがこじんまりとした印象になってしまいます。いちばん見せたいと思っている主題には、できるだけ近く寄ることが写真撮影の基本といえるでしょう。

作例:北穂山頂から見た天の川と奥穂高岳
【残念な例】山頂付近をセンターに配置すると、空の面積が広くなって山が小さく見えてしまう
作例:北穂山頂から見た天の川と奥穂高岳
【いい例】剱御前付近から見た剱岳。空の面積をせまくした結果、山の力強さが表現できた

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プロフィール

萩原浩司(はぎわら・ひろし)

1960年栃木県生まれ。青山学院法学部・山岳部 卒。
大学卒業と同時に山と溪谷社に入社。『skier』副編集長などを経て、月刊誌『山と溪谷』、クライミング専門誌『ROCK&SNOW』編集長を務めた。
2013年、自身が隊長を務めた青山学院大学山岳部登山隊で、ネパール・ヒマラヤの未踏峰「アウトライアー(現地名:ジャナク・チュリ/標高7,090m)」東峰に初登頂。2010年より日本山岳会「山の日」制定プロジェクトの一員として「山の日」制定に尽力。
著書に『萩原編集長危機一髪! 今だから話せる遭難未遂と教訓』、『萩原編集長の山塾 写真で読む山の名著』、『萩原編集長の山塾 実践! 登山入門』『萩原編集長の山塾2 登山力』など。共著に『日本のクラシックルート』『萩原編集長の山塾 秒速!山ごはん』などがある。

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