| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.05.10
奥氷川神社境内でセッコクが咲き始め。雲取山など標高ある所はまだ氷点下の日もあります
東京都の西端、奥多摩町を中心に広がるいわゆる“奥多摩”は、首都圏在住者にとってなじみのある登山エリアだろう。車や電車、バスなどアプローチ方法はさまざまあるが、その大動脈となるのがJR青梅線。
立川駅から約1時間で奥多摩駅までを結び、新宿駅からも1本でアクセスでき、発着本数も多い。朝起きて「天気がよさそだから山へ行こう」といった気分のときに、山登りを可能にしてくれる、登山者にとって心強い存在である。
そして青梅線沿線の駅からは、すぐにアクセスできる山&コースが多いのも魅力といえる。駅から登れて駅に帰れるコースを選べば、日没時刻さえ気をつければ、帰路の時間をあまり気にする必要なく、マイペースに山歩きを楽しむこともできる。
そこで、今回は奥多摩エリアの中でも北東部に位置するJR青梅線沿線にある7つの山&コースをピックアップして紹介しよう。
なお、気軽に行けるからといって、無計画に山に入るのは危険だ。地図や装備、そして計画は万全に行ったうえで奥多摩駅や御嶽駅などの駅に設置されている登山ポストに、登山計画書を提出するのは忘れずに行ってほしい。
詳しい登山情報は奥多摩ビジターセンターのホームページが便利なので、奥多摩登山の際には事前に覗いておくことも忘れずに。
高水三山とは標高750~800mほどの高水山、岩茸石山、惣岳山の総称で、3つの山を巡る縦走が奥多摩の入門登山として人気の山だ。
この高水三山の人気の理由の一つが、駅から駅までコンパクトに縦走できることだ。軍畑(いくさばた)駅から、高水三山を縦走して隣の駅の沢井駅、もしくは2つ先の御嶽駅までの総タイムは4時間ほど。短時間で奥多摩の大自然を体感でき、山道から眺める山里ののどかな集落や深く連なる美しい森の景色に心身ともにリフレッシュできる。
また登山中には、由緒ある古寺社がいくつも祀られており、信仰の山という神聖な雰囲気も趣きある。下山後には駅周辺にある蕎麦屋や多摩川の渓流散策の楽しみも待っている。
高低図
青梅線の終点、奥多摩駅から直接アプローチできることで人気なのが本仁田山だ。標高450m前後の奥多摩駅から標高1224mへと一挙に標高を上げる登山道は急峻で、とくに山頂手前の大休場尾根は奥多摩三大急登のひとつとして登山者に知られるが、鳩ノ巣駅までのコースタイムは5~6時間、手頃な登山を楽しめる。
山頂からは新宿方面や奥多摩の山々、遠くには富士山も望め、展望が優れるているのも魅力。季節を問わずに歩ける山で、春や秋には山頂付近の落葉樹林やカラマツの新緑や紅葉も綺麗なのでおすすめだ。
体力や時間に余裕のある人は、途中のコブタカ山からさらに北へと進んで川苔山まで足を延ばすこともできる。
高低図
御岳登山鉄道のケーブルカーを利用した手軽な登山が人気の御岳山だが、観光道路を離れて歩くと、四季折々の魅力にあふれる奥多摩をより深く味わうことができる。鷹ノ巣駅や古里駅から登る/下山する登山も魅力的だ。
花の山としても知られる御岳山は、サクラやカタクリが咲く4~5月、8月のレンゲショウマの開花など、季節ごとの景色が楽しめる。
山道には危険な場所もなく、ベンチがいくつも設置してあるなど整備されており、初心者やファミリー登山に向いている。御岳山山頂には御岳神社があり、多くの参拝客で賑わっている。
高低図
奥多摩の険しい部分をガッツリ登りたい気分なら、奥多摩のシンボル、標高は1226mの大岳山を目指すのがオススメだ。大岳山は広葉樹からなる自然林のゆったりとした尾根道もあるが、奥多摩駅から鋸尾根を利用して登れば、ハシゴや険しい階段が続く急登が味わえる。
山頂を過ぎたところには大きな岩を越えたり、鎖場を通過したりする難所もあり、登り応えも十分。人気の山なのでよく整備されているが、ロングコースなのでしかりとした準備と十分な時間の余裕を持って登りたい。
オススメの季節は新緑や紅葉の頃で、鋸山から大岳山までの主要縦走路はブナやミズナラなどの明るい自然林で美しい。また、4月には大岳山から御岳山の間でミツバツツジが開花を迎える。山頂からの丹沢や富士山の眺望も必見だ。
高低図
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2024.05.10
チゴユリやスミレが咲いています。夏鳥が渡ってきました。防寒具の用意とともに水分補給に注意
| 東京都奥多摩ビジターセンター
2024.05.10
奥氷川神社境内でセッコクが咲き始め。雲取山など標高ある所はまだ氷点下の日もあります
奥多摩の山々の東端付近に位置する日の出山は、展望がよいことで知られる。西側は大岳山や御岳山がそびえ、東側は新宿のビル群やスカイツリーの眺望と、広く展望が望めるのが楽しい山だ。
そしてその名の通り、東側に遮るものがないので日の出を楽しめることから、お正月には初日の出めあての登山者も多いという。
人気の御岳山から1時間ほどなので併せて登ることが多いが、緩やかな金毘羅尾根を南下して歩いて、五日市線の武蔵五日市駅を目指すルートもオススメだ。
春には美しくツツジが咲き、梅雨時期はあじさいの名所の南沢あじさい山を訪れるのも楽しいだろう。また、美肌の湯として人気のつるつる温泉に下山するルートも検討できる。
なお、かつて日向和田駅周辺にあり梅の季節には多くの花見客で賑わった吉野梅郷は、2014年に感染病によりすべて伐採されていて、現在は再生を目指している。
高低図
青梅丘陵は青梅市北側を東西に延びる丘陵で、奥多摩の入り口にあたる。標高500m弱の雷電山と三方山をハイクする里に近く整備された山道だが、歩く人は多くなく、賑やかな奥多摩の山々と比べて静かな山歩きができるのが魅力だ。
春のシャガやサクラの花、秋の紅葉と、四季の移ろいも見所だが、城址や矢倉台といった史跡もあり、青梅の歴史に想いを馳せながら歩くのもいいだろう。青梅駅の近くには郷土博物館もあるので、下山後に立ち寄りたい。
高低図
奥多摩の自然といえば、多摩川の渓流の美しさも忘れてはならない。なかでも鳩ノ巣渓谷は絶景を誇り、古里駅から白丸駅へ向かう間が大多摩ウォーキング・トレイルとして整備され、誰でも間近に渓流の美しさを感じることができる。
距離にして5㎞、時間にして2時間半と短いが、渓流沿い以外にも川苔山や本仁田山を展望する尾根道や美しい白丸湖など、変化する奥多摩の景色に大満足できるはずだ。
高低図