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飯豊本山(小白布沢)2017

飯豊本山・三国岳( 東北)

パーティ: 1人 (ブナ太郎 さん )

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行程・コース

天候

晴れのち曇り

利用した登山口

林道終点登山口  

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 桑ノ沢橋の手前に7、8台駐車できる広場がある。

この登山記録の行程

林道終点登山口(05:17)・・・君命水(06:03)・・・横峰(06:41)[休憩 3分]・・・峰秀水(07:04)[休憩 5分]・・・三国小屋(08:23)[休憩 10分]・・・切合小屋(09:50)[休憩 10分]・・・本山小屋(11:43)[休憩 3分]・・・飯豊本山(11:59)[休憩 26分]・・・本山小屋(12:38)[休憩 5分]・・・切合小屋(13:55)[休憩 5分]・・・三国小屋(15:09)[休憩 5分]・・・峰秀水(16:08)[休憩 3分]・・・横峰(16:23)[休憩 2分]・・・君命水(16:41)[休憩 3分]・・・林道終点登山口(17:13)

コース

総距離
約18.3km
累積標高差
上り約2,047m
下り約2,047m
コースタイム
標準13時間
自己10時間36
倍率0.82

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 飯豊本山山頂からの風景を久しぶりに見たくなった。初めて本山の山頂を踏んだのは5年前で,それ以降,飯豊連峰は北股岳を中心に歩いていた。3年前の秋に飯豊連峰の紅葉を楽しんだときには,大日杉から登り,姥権現の手前まで行って引き返したので,今回,本山の山頂は5年ぶりとなる。
 本来なら,飯豊連峰は少なくとも1泊,縦走するなら数泊が常識だという。だが,仕事の関係で日帰りが基本だった私は,飯豊も日帰りである。
 今回は最短の小白布沢コースを歩くことにした。このコースは一般的ではなく,林道を歩いて登山道に入る。ところが林道入口に進入禁止の立て札が立てられていて,その上チェーンが車の進入を阻んでいる。川入の民宿に泊まった人だけがここから登れると聞いたが,ネット上にはここから登った記録がいくつもあるし,ガイドブックにも紹介してある。看板には「事故が起きた場合の責任は一切負いません」とあるので,自己責任でここから登ることにした。

 山形側の大日杉から飯豊トンネルに入り,鉄橋を渡ってしばらく下ると,桑ノ沢橋の手前に7,8台駐車できそうな広場がある。ここに車を止め,5時8分に歩き出す。空には月が浮かんでいる。今日は快晴だ。
 広場から5,6百メートルで林道入口に着く。林道は国道と並行しており,その入口に例の看板が設置してある。チェーンを跨いで林道に入る。簡易舗装の上りが続き,土の道に変わってしばらく行くと広場がある。車が二台止めてあったが,作業用の車らしい。この広場の奥から登山道に入って行く。登山届の箱が置いてあるので,ここから登ることを禁止しているわけではないようだ。時計を見ると5時17分を指している。
 小沢を4本ほど横切ってブナの森に入ると,ここから急登が始まる。いかにも飯豊らしい道となり,ジグザグの登りが延々と続く。右手が開け,対岸に五段山が見えてくる。山腹に滝が流れ,葉山の山の内コースを思い出させる。そのうちに,ブナの大木の間から正面に稜線が見えるようになる。よく見ると,稜線の上に月が残っている。
 1時間強の登りを終え,傾斜が緩むと,道はぬかるみ,突然,整備された登山道に合流した。ここが横峰である。時刻はまだ6時41分で,急いだわけでもないのに,1時間半もかからずにここに来た。
 横峰からは右に進み,しばらくの間,平坦で歩きやすい道を行く。川入から上がってくる団体,単独の登山者をやり過ごし,道の感触を楽しみながらゆっくりと進んだ。しばらくすると,正面の樹間に三国岳が見えてきた。岩肌が荒々しく,三角形の姿は凛々しい。山頂付近に,沈もうとする月が見える。そうするうちに水場に着く。ここが峰秀水だ。水量が豊富で冷たく,火照る身体に流し込んだ。
 水場からわずかで五段山からの登山道に出会う。ここを左に進み,鞍部に下りて,ぬかるみを数カ所越えると,岩場が現れる。岩を登り,稜線に出ると「剣が峰」という標識が立っている。見上げると,山頂に続く稜線は,まるでゴジラの背びれのように険しく天に突き上げている。ここを登っていくのだ。
 岩場は狭く,平たい岩もあって,気が抜けない。雨の日や,風の強い日は通りたくないルートだ。何度か立ち止まって周囲の雄大な景色を眺め,また気を引き締めて岩稜を行く。
 こうして8時23分に三国小屋に着く。10人ほどが座れる広場には管理人さんがいて,出迎えてくれた。ここからの景色は最高だ。今日は大日岳もくっきりと見える。飯豊本山に向かうルートもしっかり確認できた。
 三国小屋から切合小屋までは,アップダウンの多い稜線上の道をたどる。左前方には大日岳,右には大日杉付近から地蔵岳への稜線を見ながら,金属の階段を登って七森に至り,ここから下って,また登り,右手に遠く御坪が確認できるところまで来ると,種蒔山は近い。このアップダウンは足に効き,攣り加減になったところを道端に咲くウメバチソウやミヤマコゴメグサに慰められ,何とか宥めて,種蒔山から切合小屋へ向かう。目の前には飯豊本山に至る広大な稜線が広がっている。
 切合小屋には9時50分に到着した。途中の休憩を入れて,およそ4時間半の行程である。ここでは水分を補給して,数分の休憩後,本山に向かった。ここから本山は見えず,まず標高1908mの草履塚を越える。草履塚への道は,雪が遅くまで残るところで,道端にはハクサンコザクラやミヤマリンドウ,チングルマなどが咲いていて,目を楽しませてくれるが,なかなかにきつい登りだ。沢を過ぎ,ザレ場を越えて,低木のえぐれた道に入ると,すぐに草履塚に飛び出る。ここからは目の前に大日岳が大きく見えるのだが,ガスがかかってきて,姿を見ることができない。山の天気は変化が激しい。
 ここからは鞍部に下り,姥権現を過ぎて,難所と言われる御秘所を越える。御秘所は岩稜だが,剣が峰に比べればたいしたことはない。ただ,切り立った斜面を覗き込むと,その高度感に驚く。
 御秘所を過ぎると,いよいよ最後のハードルが待っている。御前坂である。それほど傾斜がきつくもない,つづら折りの登りだが,これまでの疲労が溜まった足には,この登りは異様に辛く感じる。遠く山頂付近に積み上げられたケルンを時折確かめながら,一歩一歩踏みしめていくと,突然テント場に出て,目の前に本山小屋を見た。小屋の向こうには,本山から駒ヶ岳へ続く稜線が,ガスに巻かれている。その先にあるはずの大日岳は見えない。
 11時43分に本山小屋に着き,ザックを置いてサブザックに替え,本山山頂に向かった。この稜線歩きは達成感に溢れていて,素敵な時間を与えてくれる。右手の景色はくっきりしているが,歩く先はガスで覆われていて,ふと気がつくと山頂付近はすでに紅葉が始まっていた。
 11時59分。本山山頂に着く。3人の先客が思い思いの場所で休んでいた。腰を下ろしておにぎりを食べる。ガスが晴れるのを期待したが,20分経ってもガスは晴れない。仕方なく下山しようとしたそのとき,烏帽子岳方面のガスが一気に飛んだ。嬉しさを噛み締め,シャッターを切った。
 12時21分に山頂を後にし,本山小屋から御前坂を下る。途中,登ってくる登山者に道を譲るため,何度も立ち止まった。13時55分に切合小屋を過ぎて,ガスの稜線を三国小屋に向かう。展望はなく,やや肌寒い中を歩いて15時9分に三国小屋に着く。管理人さんに再会し,少し話をしてから剣ヶ峰を下る。慎重に下りて,16時8分に峰秀水で水分を補給する。
 横峰からの下りはさすがに飯豊連峰で,膝に堪える急斜面だが,梶川尾根や朝日の日暮沢と比較すると,それも長くは続かず,40分足らずでブナ林を過ぎた。小さな沢をいくつか渡り,沢で顔を洗って,登山道入口に着いたのが17時13分。ほぼ予定通りの行程だった。 
 このコースは相当にきついが,飯豊本山への日帰り登山ができる。来年,ヒメサユリの咲く頃にまた来ることにしよう。

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装備・携行品

登った山

飯豊山

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2,105m

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