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白川郷の雪景色と五箇山のかんじきウォーク

白川郷 五箇山( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (すてぱん さん )

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行程・コース

天候

1日目:雪 2日目:曇り時々雪

登山口へのアクセス

バス
その他: まいたびの貸切バスで移動

この登山記録の行程

「まいたび」のツアーの集合場所は、竹橋の毎日新聞社

コース

総距離
約1.9km
累積標高差
上り約170m
下り約259m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

合掌造りの集落の雪景色と里山歩き。雪深い山里で、かつての暮らしぶりや、日本海の暖流から湧き上がった水蒸気が山岳にぶつかって豪雪をもたらすことを肌で感じるこんな旅もいかが?

<白川郷の合掌造り集落>
合掌造り集落の雪景色をこの目で見たいと思っていた。年に4日だけ行われる白川郷のライトアップイベントに合わせて、「まいたび」がツアー行うので参加してきた。自分が調べた限りでは、この時期に自分で合掌造りの住居に宿泊を予約するのは困難で、「まいたび」のプランだけが白川郷集落内の宿泊が組み込まれているようだ。おまけに(本来ならこちらがメインだろうが)同じく合掌造りの集落で有名な五箇山でかんじきを履いて雪山ウォークもできる。

新宿を出発してバスで中央高速を進むと、山に差し掛かるたびにガスがかかり、山に囲まれた盆地に出ると再び晴れることを繰り返す。海と山と、それが織りなす天候の変化を実感しながらバスは西へと進む。甲府盆地はよく晴れて八ヶ岳や甲斐駒ケ岳がよく見える。松本平は晴れだが、そこから見る北アルプスは、上部がガスに覆われている。東側は晴れているのだから、山一つで天候は大きく変わるものだと改めて思う。野麦街道を上高地方向に進むと雪がちらつき始める。まさか釜トンネルを素通りすることがあるなんて。すぐそこに上高地や穂高の山々があるというのに。複雑な気持ちを乗せてバスが安房峠を越えて飛騨側に下っていくと、雪は一段と深くなるが、高山市街は再び晴れ。偶然通りかかった造り酒屋さんで見学や大吟醸酒の試飲をさせてもらったり、食事の注文に苦労している中国人家族の通訳をしたり、なんだかいつもとは違う「山旅」だ。

高山から再び山に差し掛かると文字通りの豪雪地帯。それでも地元の方に言わせれば、「今年は少し雪が少ないかも」というのだからすごい。世界遺産の白川郷、それも年に4日だけというライトアップイベントだからか、駐車場に向かう道路は諦めて引き返す車も続出する渋滞。どうやら見学許可を事前にもらう必要があるらしく、一般車両が駐車できるのは午後3時までに制限されていたらしい。集落内も中国からの観光客を中心に外国人観光客でごった返している。いささかげんなりだが、小さな子供から大人まで雪に大はしゃぎしている中国人観光客を見ているとなんだか微笑ましく感じた。外国で見たことのない景色や体験をすれば、誰だって興奮しますよね。集落の様子は写真で。

合掌造りの民宿は、内部はリフォームされていて暖かく快適。合掌造りの住居がどのようなものだったかは、内部が公開されている重要文化財の和田家住宅(300円)などを見学すると、イメージが膨らむ。

<五箇山に移動して雪の里山歩き>
翌朝は観光客が嘘のように消えた静かな集落内を散歩した後、囲炉裏が切ってある広間で朴葉みそやマスの甘露煮などの郷土料理で朝御飯をいただき、バスで五箇山へ移動。いよいよメイン(?)の五箇山かんじきウォークに出発。

かんじきを履くのは、蔵王に登って以来二度目だが、スノーシューに比べて浮力に劣るものの、軽く取り回しがいいこと、下りが確実であることなど利点もたくさんあることを再認識。自分がどれくらいトレースが期待できないような雪山に行くのかわからないけれど、実はアルミ製のかんじきを持っていたりもするのだけど、あれこれ考えながら歩いた。それにしても膝まで沈む深雪をラッセルするのは大変。これまで雪山登山も何度かしたが、いずれも人気のあるコースでトレースもしっかりついていた。雪山でトレースがなければ、ルートファインディングはもちろん体力的にも負担が大きく、自分で計画するときにはよくよく考慮しなけらばならないなと思った。でもね、新雪を歩く楽しさが大きいのも、また事実ですよね。

ガイドさんは時折立ち止まって、豪雪地帯での暮らしを子供時代の思い出話なども絡めて話してくれるのだが、それもまた興味深かった。厳冬期の白川郷や五箇山集落は、昭和30年代くらいまでは陸の孤島だったそうで(道路が整備されている現代でも容易に想像できる)、タンパク源が不足する。おまけにウサギは農作物を食べる害獣で、捕獲して耳を一対持って行けば役場から報奨金も出たのだという。だから子供時代は、雪の裏山に罠を仕掛けてうさぎ獲りをするのが、ご馳走やお小遣い、さらには冬の楽しみだったのだという。罠の仕掛け方、舞茸採りの極意、ウサギとテンの命をかけた知恵比べ・・・。

イヌワシの話も興味深かった。かつては薪炭を取るために雑木の枝打ちをしたため、新芽がちょうど深く積もる雪の上に出たのだそうだ。うさぎはそれを食べる。さらにうさぎを餌するイヌワシも生息できた。ところが人が森に入らなくなると新芽は高い梢に吹いてうさぎには届かず、うさぎは数を減らし、イヌワシもまた減ってしまったのだという。屋久島に行ったときにも、人とは何かを壊す(変えてしまう)代わりに別の何かを作り出しているのだなと感じ入ったが、これも似たような話であるように思う。

年明け以来、なかなか山に行けていないし、今回も登山と呼べるほどのものではないけれども、公共交通機関でのアプローチが一層困難になる積雪期、経験が足りていない雪山を味わうにはこうしたツアーを積極的に活用するのもありだと、改めて感じました。

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フォトギャラリー:44枚

まさか釜トンネルを眼前にやり過ごすとは(いや予定通りなんですけどね)・・・なんか複雑

昼食休憩で立ち寄った高山の旧市街。こちらは晴れ

さすが造り酒屋さん、囲炉裏も切ってあって、広壮な構え

美酒の条件は、水、米、それに寒い気候だとか。酒蔵の人は仕込み中は納豆を一切口にしてはいけないという話も面白かった。

学生時代に国際ワークショップの余興で高山を訪れた時に、ここから精霊流しを眺めた記憶がある

白川郷の合掌集落に向かう駐車場待ち渋滞

駐車場から集落に向かう橋も人でいっぱい

中国人観光客は大人も子供も雪に大喜び。わかる気がします

今日の宿は合掌造りの民宿

お世話になる民宿「源作」の玄関

重要文化財の和田家住宅

合掌造りの屋根裏。蚕などを飼っていたのですね。とても大きなスペース

カイコガの繭

こちら和田家旧宅では内部が公開(入場料300円)されている。とても立派な仏間

こちらも重要文化財、明善寺

明善寺から合掌集落の遠望

ライトアップされた合掌造りの集落を展望台から眺める。
シャトルバスで城跡の展望台に登るが、乗車には整理券が必要でこの日は482枚のみ配布。すごい人混み

翌朝、早い時間から宿のそばを歩いてみる。あんなにたくさんいた観光客も嘘のように消えて、静寂な夜明け前の集落

誰もいなくて、なんだか得した気分

昨日の喧騒が嘘のよう

バスで五箇山に移動して、かんじきを履いて雪歩きへ

フカフカの新雪の中、城跡の里山に登る。

かんじきを履いていても膝まで潜ってしまう

子供の頃、貴重なタンパク源、遊び、小遣い稼ぎとして、いかにウサギを獲ったかを話をしてくれるガイドさん

大きなサルノコシカケ。わかりますか?

花魁のように足を運ぶのが、深い雪を進むコツだそうです

新雪の中、トレースをたどるのと先頭でラッセルするのは負担が大違い。でも楽しい

テンの足跡だそうです

くろば温泉で昼食と風呂に入り、東京に戻ります

五箇山相楽集落の合掌造りの住居

途中休憩に立ち寄った平湯温泉。ここを通過するとは(いや、当初の予定通りなんですけどね)・・・やはり複雑。

5年ぶりに全面結氷したという諏訪湖

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • すてぱんさん、こんにちは!。

    2月に雪歩きを企画されていると伺っていましたが、これでしたか~!!
    こんな貴重な体験が出来るバスツアーがあるのですね。

    雪に埋もれた合掌造りの集落の様子、まるで絵葉書を見るようです。
    ワカンを着けてラッセルする機会は二度と来ないと思いますので、ちょっとノスタルジックな気分にさせて頂きました。

    枝打ちの新芽とウサギとイヌワシの一節には、成るほどっ!と、思わず膝を打ってしまいましたが、それにも益して膝を打ったのは、まさかの釜トンネル直前左折!の件でしょうか。(笑)

  • ガバオさん 、コメントありがとうございます。

    釜トンネルネタに食いついていただき、ありがとうございます。
    バスで白川郷を目指す以上、安房峠を越えることはわかっていたのですが、実際に釜トンネルの前を素通りするときには、「俺は一体何をやっているんだ?」と思わずにいられませんでした。

    おそらく後世の歴史家は「レイテ湾謎の反転」と並べて論じることでしょう!(爆笑)

  • すてぱんさん こんにちは。
    白川郷の雪ぶとんをかぶった茅葺き集落の景色。凛とした青い写真から…美しさも、厳しさも感じられます。
    ライトアップは、年4回しか行われていないのですね。…知らなかったなぁ〜
    昨年の雲竜氷瀑に続いて…冬の風物詩を楽しませていただきました。
    諏訪湖の5年ぶりの全面結氷で御神渡り神事があったそうです。

  • やぎやぎ さん、コメントありがとうございます。

    観光客は皆、雪布団をかぶった合掌造りを期待してくるけれど、そもそもあの形は雪が落ちやすいように作ってあるもの。雪下ろしもするし、気温が上がれば屋根から落ちるのが普通なのだそうです。まあ、そういう意味では雪が降っているときに訪ねることが出来て幸運?でした。

    御神渡りは、湖面近くからでないと見えにくいのだそうで、PAからではどれがそれなのかわかりませんでした。神事は是非見て見たかったですねえ。

    三連休は、低気圧の接近する上に気温も上がりそうで、標高が高いところは雪崩や雨に濡れた後で稜線上での低体温症リスクが高そうですし、低いところの雪景色もちょっと難しいですかね。

  • すてぱんさん、こんにちは。

    白川郷・五箇山ツアー、お疲れ様でした。

    「まいたび」がこんな企画を組んでいたとは驚いてしましました!本文に書かれて
    おられる通り、ツアーで無ければ今の時期に現地泊は無理ですよね。
    積雪とわかんを使ったラッセル?は関東の低山と違って雪質も良く楽しい雰囲気が
    伝わってきます。私も機会が有れば参加したく思いました。

    それにしましても、釜トンネルと平湯温泉BTを通るとは都内から岐阜に向かうには
    安房トンネルを通るのが都内からの最短コースで有るのは理解出来ますが、すてぱんさんが「うっ!」となってしまう気持ちも理解出来ます。

    出来れば「上高地スノーハイク」もプラスして欲しい所ですね。

  • すてぱんさん、こんばんは!

    すてぱん@BCから抜け出されて白川郷に行かれたのですね!復帰、おめでとうございます♪
    混んでいるとはいえ合掌造りの集落はとても素敵ですね!観光客のお相手をしたり、いつもと
    違った山旅もいいですね。

    今や大人気の観光地となった白川郷、松本に住んでいるときになんで行かなかったんだろう
    ・・・と後悔しております・・・泣

    釜トンネルで上高地もいいですよね。確かに直前左折は残念ですが、白川郷も十分羨ましい
    ですよ!

  • 西東京猛虎会 さん、コメントありがとうございます。
    雪はふかふかでした。
    ツアーに参加された方々は、お年が高め、私は間違いなく最年少であったと思います。まあ、観光に雪の里山歩きがおまけ程度について企画でしたからね。でも、雪の合掌造り集落を尋ねるという念願が叶いました。

    この時期の上高地をスノーシューで歩くのもとても楽しそうですよね。

  • すー さん、コメントありがとうございます。

    合掌造り集落は、イベントがない落ち着いた時期にまた訪ねてみたく思いました。人が集まると増える楽しみもありますが、混雑では感じ取りにくくなる魅力もありますからね。
    いつでもいけると思うと、結局いかずじまいになりやすいのは良くわかります。私は、「東京タワー効果」と呼んでおります。
    「山は逃げない」とも言いますが、さしずめ「いつまでもあると思うな槍ヶ岳」と考え、天候などの条件が許せば積極果敢に登ろうということでしょうか?(笑)

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