行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
高松自動車道さぬき豊中ICを降り、国道11号から県道35号、県道271号を経由して県道21号に出て北上。県道234号に直進して「マリーナ東」交差点を東に折れる。
そこから二つ目の信号のあるX字路を北に折れる。現在はもしかすると「ふれあいプラザにお」の標識が出ているかも知れない。
プラザを過ぎても尚、北上して行き、最上部の妙見宮の駐車場(参道石段前)「西駐車場」に駐車する。
この登山記録の行程
西駐車場(30分)妙見山(5分)千貫岩(25分)西駐車場
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
本来、私は1998年2月に死ぬはずだった。その年の1月中旬から固形物が食べられなくなり、毎日、ゼリー飲料とスポーツドリンクしか口にできなくなった。日に日に身体は衰弱しき、それが約3週間も続いた。
病院へ行かなかったのは、「拒食症」と診断されるのが怖かったからである。そんな病気は精神が弱い者がかかるもの、と思っていたため、自己のプライドが許さなかったのである。
そして2月10日、「死ぬ前にもう一度、山に登り、自然に触れたい」と思い、一睡もしないまま(拒食症からくる睡眠障害)翌日の未明、ザックを持って車に乗り込んだ。
山に登りたいと思ってもこんな身体ではまともな登山ができる訳がない。そこで軽いハイキング程度で登れる山やコースを選んだ。
それが荘内半島の妙見山(319.9m)と紫雲出山(352.4m)、そして半島の突端、三崎へと続く「四国のみち」だった。それらを選んだ理由は、海の見えるコースを歩きたかったため。海原が広がるコースは心の癒し度も高い。その三ヶ所を全部辿れるかどうかは、最初の妙見山で判断できる。
高速に乗る前、念のためコンビニで弁当を買っておいた。
尚、当時と今とでは道路も一部変更されている箇所があるため、交通アクセスは現況のものを記載した。
妙見宮の駐車場に到着したのはまだ7時台。当然人っ子一人いない。
早速急な石段を上り始めるが、予想に反してなぜか足は軽やかに上がる。いったいこれはどうしたことだろうか。妙見宮の神が手助けしてくれたのだろうか。
疲れを全く感じないまま妙見宮に至る。本堂の屋根には何十トンもありそうな巨岩が覆い被さり、付近の巨石群とあいまって異様な空間を創り出している。
この社は吉祥院の奥の院であり、弘法大師がこの地で求聞持の法を修していた時、妙見菩薩が示現し、その御告げから大師は妙見菩薩の像を岩に刻み、一宇を建立した。
社殿上の巨岩沿いの小径は折り重なる巨石の洞穴「開運の洞穴」へと続いている。この洞穴をくぐると祈願が成就するというが、身体は土まみれになりそうなので遠慮した。それにこんな私に開運がある訳がない。
境内には休憩舎もあり、そこからは南方の仁尾の町並みや七宝連山、燧灘の眺めが素晴らしい。
妙見山頂へは宮の左の「千貫松」の道標に従う。登っている途中、野良犬がいたが、私の姿を見ると逃げて行った。
宮から20分足らずで稜線に出て、そのすぐ右が山頂。と言っても、ただの登山道脇の広場で、草木が茂って山頂たる風情はない。ここは展望がないので、西の千貫松方向へ尾根道を進む。この道は明るく、両側に松が生え、道に岩肌が露出するなどして気持ちがいい。
数分で「星の石」という巨石に着く。石の上に上ると、燧灘に浮かぶ大蔦島、小蔦島を始めとする島群や、霞に屹立する雪を被った赤石山系等がまるでスクリーンに映し出されるかのように、眼前に展開される。妙見宮からの景色の比ではない。
そこから少し下った所には「千貫岩」があるが、かつて石の上に千貫松が生えていたことからその名称がついた。
帰路、山頂から東に延びる尾根道を辿ってみたが、これはすぐ藪化していた。すると、犬の威嚇するような鳴き声が聞こえてきた。往路見かけた犬だろう。飼い主に裏切られて捨てられたものと思われることから、人間に対する警戒心が強いのだろう。その鳴き声は悲しくもあった。
下山後は半島最高峰の紫雲出山に向かう。分県登山ガイドには大浜や箱峠からの登山コースが解説されているが、流石にこの身体ではそれらのコースを登ることはできないため、山頂直下まで車で上がった。因みに箱峠からのコースはそれから10年以上経った花見時期に登った。その登山記録は投稿済。
駐車場からは一般車両の通行が禁止されている車道を山頂まで歩く。山頂へは10分もかからない。
山頂には立派な展望台や古代の遺跡館等もあるが、まだ開館前のため、静まりかえっている。
展望台からの眺めは、瀬戸内海特有の海霧が発生していたため、絶句するほどに美しい。普通の海霧は雲海のようになるのだが、この日は霧状になっていた。燧灘、備後灘、詫間湾と瀬戸内海の島々、半島の各漁港、そして妙見山の時よりも更に幻想的に映る赤石山系を始めとする高山群は独特の海霧のせいで、まるで蜃気楼のように映り、海上アルプスの観さえある。愛媛県新居浜市の工場の煙突群から立ち上る煙さえ、魔法のランプから湧き出る煙の如く神秘的に見える。勿論、魔法のランプを目にしたことはないのだが。
兎に角、この展望台からの景色は、香川県一の絶景であることは間違いない。
この時、既に自分が拒食症であることは忘れていた。そして三崎のハイキングコースのある浦島太郎が晩年過ごした仁老浜へと移動するのである。
尚、当時、地形図にコースを記していなかったため、当記事のコース図や図示箇所が一部、実際とは若干異なるかも知れない。
フォトギャラリー:15枚
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
登山靴 | バックパック | 水筒・テルモス | 帽子 | グローブ | 地図 |
コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ | ナイフ | ホイッスル |
医療品 | 行動食 |
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