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春を背負って残雪の火打山と妙高山を巡る(一日目)

火打山、妙高山( 上信越)

パーティ: 4人 (Yamakaeru さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 妙高高原ICで高速を降り、県道39号線で妙高笹ヶ峰キャンプ場を目指す。登山口は右手側にあって木製の屋根付きゲートが目印。登山口前にも駐車スペースはあるが、直ぐにいっぱいになるため、反対の左側にある駐車場が広くてお勧め。トイレはこちら側にある。

この登山記録の行程

笹ヶ峰登山口(06:15)・・・黒沢橋(07:26)・・・十二曲・・・オオシラビソ林・・・富士見平(09:04)・・・高谷池ヒュッテ(09:47)・・・テント設営・昼食(09:56~11:44)・・・天狗の庭(12:00)・・・火打山(2,462m)(13:02)・・・雷鳥平(13:35)・・・天狗の庭(14:19)・・・高谷池ヒュッテ(14:40)

コース

総距離
約10.6km
累積標高差
上り約1,392m
下り約602m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

待ちに待ったGW。恒例のテント背負っての山旅。今年は、仲間も増えて総勢4名。行先は自分の提案から火打山と妙高山に決定。雪山でのテント泊が条件なので、テント場を中心に山容が異なる2つの日本百名山にアタックできるという立地から選定した。なにより個人的には、以前に登って強烈に心に残った妙高山の雪景色をぜひ見てみたいと思っていた。
仕事を終え、買い出しと荷物の準備をするが、興奮しすぎて入りきらないくらい荷物が膨れ上がり、結局、何度もパッキングをし直す。その後、2時間ほど仮眠をしてから出発。日も替わり、時間は4月29日、1:00。旅の始まりだ。
高速を飛ばして新潟へと向かう。上信越自動車道に入った辺りからポツポツとフロントガラスに水滴が当たるようになってきた。妙高高原ICを降りる頃にははっきりとした雨になり、加えて信号機が見えない程の濃霧。妙高高原ICから登山口の笹ヶ峰キャンプ場まではコンビニがないので、少し戻って一番近いコンビに立ち寄る。コンビニの人曰く、この時期には珍しい濃霧だとか。天気予報は晴れだったのに、あまりのギャップに大丈夫かと不安だったが、笹ヶ峰キャンプ場に向かうにつれ徐々に霧も晴れていき、ついに笹ヶ峰放牧場のところで、霧を突き抜けた。一瞬、パッとはれた視界の先に白く輝く高妻山が見えた時は車の中に歓喜の声が上がった。前方には火打山だろうか、同じように真っ白な頂が見える。青い空に白が映えてとにかく身震いするくらい美しい。あー、一刻も早くその世界に飛び込みたいとアドレナリンもMAXとなる。
笹ヶ峰登山口に到着。意外に車は少なく、登山口脇の駐車場に停めることが出来た。
火打山と妙高山の両方をアタックする場合、笹ヶ峰登山ルートを使うのが一般的。一日目の今日は、先週くらいから営業が始まったばかりの高谷池ヒュッテのテント場を起点として火打を目指し、二日目に妙高を目指す計画。
登山口には立派な屋根付きの門がある。現実と非現実の境界にあり、いざ登山が始まるぞ!というシンボルのようでカッコいい。門に設置されたポストに登山届を提出し、一歩を踏み出す。目の前にはいきなり雪の世界が広がっている。いよいよ旅の始まり。ザックがずしっと肩に重く、実感が湧き上がってくる。
暫くは緩やかなブナ林を縫うように歩く。本来は綺麗に整備された木道に沿って歩くコースだが、今は雪の下。代りに赤いテープを目印に進む。
沢の音が聞こえてくる。雪解けで水量が増しているのか、勢いが凄い。笹ヶ峰登山ルート唯一の水場、黒沢だ。ここまではほぼ水平移動だったが、黒沢橋を渡ると徐々に斜度がついてくる。斜面を回り込むように歩き、尾根にとりつく。十二曲りと呼ばれる急斜面を九十九折りに登るポイントだが、今は雪の壁として立ちはだかっている。ザックの重さが一層堪えるが、滑落しないように一歩いっぽ登っていく。
尾根に出ると展望が開けて、眼下には人工湖が見える。尾根沿いに高度を上げて進んでいくと、植生がオオシラビソに変わっていく。枝がモコモコっとした葉でふさふさしていて、森全体がクリスマス・ツリーのよう。全部の樹に飾り付けをしたら楽しいだろうなあ。シラビソは名前程しかよく知らなかったが、実はシラビソとオオシラビソがあり、その違いは葉の付き方にあるという。先ほどのモコモコっとして枝を覆い隠すような葉の付き方をしているのオオシラビソの特徴で、特に日本海の豪雪地帯の山岳によく見られるのだとか。そのオオシラビソの林を登り切ると、一気に展望が開けて富士見平に到着する。富士見平は火打山と妙高山への分岐点になっている。火打山へは前方に見える黒沢岳に向かって左へと回りこみながら進む。この付近から焼山や火打山がはっきりと左側に見えてくる。夏場は岩がゴロゴロした登山道で歩きにくかった記憶があるが、今はいまで雪の急斜面をトラバースする結構危険なコースで気が抜けない。白樺に似ているが若干色が付いているのはダケカンバだろうか。整ったダケカンバの林を縫うように歩いていくと、仲間から「見えたっ!」と声が上がった。火打山の存在が大きくて気が付かなかったが、その手前の丘に特徴的な三角形をした高谷池ヒュッテの屋根が見えた。懐かしい。
高谷池ヒュッテに駆け寄り、テント場の申し込みをする。なんとこの時期は一人100円という破格の値段。綺麗な水洗トイレもあって、こんな素敵な話はない。
一通りの説明を受けて、高谷池の看板近くにテントを設営する。高谷池はCNNによる「世界で最も美しい場所」にも選ばれている湿地帯に池が点在する美しい場所で、天狗ノ庭の池に映る「逆さ火打山」も有名だ。前回来た時に、小高い場所に腰を下ろして暫く眺めていたのを覚えている。
ヒュッテの脇にテント場用の水場があるが、この時期は雪の下かと思っていたが、ちゃんと掘り起こされていた。ただし、チョロチョロとしか出ていなかったので、あれを待つよりは雪を溶かした方が早いかも知れない。
テント設営後、お昼を食べて、いざ火打山へ。
雪原となった高谷池を抜け、天狗の庭に入る。雪の下の池が、薄っすらと青く透けていて神秘的に見えた。高谷池から天狗の庭にかけては花の名所となる。雪解けにはさぞ綺麗なことだろう。
夏道であれば尾根沿いに登り山頂を目指すが、冬道は直接、斜面をショートカットしながら徐々に高度を上げて行く。ここから先は自分にとって未踏。近づく山頂に心が躍る。改めて山頂を見上げると、遠くから見た時の優しい感じとは異なり、厳しい急登が待ち構えている。左手側には白馬岳等の後立山連峰が見える。それを背景にして急斜面を登っていく仲間の勇姿が、映画「春を背負って」のワンシーンのようにカッコいい。
火打山の山頂に到着。標高2,462m。振り返ると、雲海が広がる中に、明日の目的地、妙高山が見える。その反対側には、手前から影火打とその奥に焼山。焼山からは白い煙が噴気しているのが見えた。
「うーーーーーーーーん、来てよかった」の一言。降りるのが勿体ないが、今日の楽しみは山頂だけではない。暫し感動とともに山頂の風景を堪能した後、雪上キャンプの楽園を目指し下山する。
帰りは雷鳥平を通りながら尾根沿いに降る。できれば冬の装いをした純白の雷鳥を見たいと、聴覚・視覚をフル活用しながら注意深くハイマツ帯を探すが、影も形もなかった。こればっかりは仕方がない。楽しみは別な機会にとっておこう。
テント場に戻り、スコップで雪を掘り起こしてテーブルと長椅子を作る。持ち寄った食材に、ビール・ワイン・梅酒を並べると、もうそこは立派な「Bar高谷池」。「乾杯!」の声に囲んだ輪の中央でビールの缶が重なる。
「いやー、ザックが重かった」とか「火打の眺望凄かったよ」とか山談義でお酒が進む。絶景の中、陽はまだ高いというのに、なんとも贅沢なひとときか。
宴会途中からそのまま夕食に突入。鍋に各自持ってきた食材を入れて、グツグツと煮込む。お酒が美味しい。ご飯が美味しい。仲間との会話が楽しい。この時間はお金じゃ買えない。。。 :)
山でのアルコールは酔いやすい。お腹もいっぱいになったので、夕方にはまだ早かったが、各自、テントの中に潜り込む。「明日は何時って言ってたっけなあ?」と記憶もだいぶ曖昧。
少し眠り酔いが収まったでので、テントの外に出る。ちょうど夕陽が山に沈みかけるところだった。白い山が真っ赤に染まる瞬間を期待してカメラを握ったが、染まり切る前にあっさり沈んでしまった。
トイレをしてもう一度、テントに入る。まどろみのかな、周囲でも夕ご飯が始まったのか、楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
10時頃、目が覚める。背中が冷たいと思ったら、マットがずれて、直接、雪の上で寝ていた。起きたついでに星空を見ようと動き出す。ライトを点けなくてもテントの中が見渡せるくらい明るい??。カメラを持って外に出るとその理由が分かった。天頂にまんまるの大きな月が出ていた。今日は珍しく雲一つない夜空だったので、満天の星空が楽しめたであろうが、あいにく満月が邪魔してあまり見えなかった。代りに、満月で照らされて夜に浮かび上がる遠くの山々がとても神秘的だった。

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みんなのコメント

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  • もう一回行こー!

  • まさしく天空の楽園だね。花の夏も紅葉の秋もいろんな景色がみたいものだね。

  • 最高の天気とロケーション、そして楽しいキャンプ思思い出に残る雪山山行になりました。(^-^)

  • いやー楽しくて仕方なかったですね。毎年、GWは旅をしたいですね。(^-^)

登った山

火打山

火打山

2,462m

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