• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

雲を突き抜けて空に届くまで 富士山(富士宮ルート)

富士山( 関東)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 新富士ICで高速を降りて、富士山スカイラインを目指す。富士宮登山口はスカイラインの一番上の駐車場から。富士山スカイラインは元々有料道路だったが、現在は無料で開放されている。富士山のシーズン(山開き期間)は、何kmも路駐が並ぶほど。シーズン前の今は現在は駐車場が満杯になることはないが、日の出も早まっているので、早めの到着を
お勧めする。トイレは駐車場のところに1か所。当然、登山中のトイレはないため、ここですませておくこと。

この登山記録の行程

富士宮登山口場駐車場(04:51)・・・六合目・雲海荘(05:10)・・・新七合目(05:50)・・・元祖七合目(06:29)・・・八合目(07:04)・・・九合目・萬年雪山荘(07:55)・・・九合五勺(08:39)・・・富士宮口頂上(09:21)・・・剣ヶ峰(09:42)・・・富士宮口頂上(10:23)(昼食~11:34)・・・九合五勺・・・九合目・萬年雪山荘(11:57)・・・八合目(12:25)・・・元祖七合目・・・新七合目・・・六合目・雲海荘(14:02)・・・富士宮口五合目(14:15)

コース

総距離
約9.5km
累積標高差
上り約1,516m
下り約1,516m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

本当はGW明けで計画していたが、予定が定まらずキャンセル。しかし、このまま1年流してしまうのは嫌だったので、梅雨時期前の晴れ間を狙って決行することにした。
夜通し高速を飛ばして、3時半に富士宮登山口場駐車場に到着。シーズン前なので車はまだ少ない。いや、シーズン前だからむしろ多いと表現すべきか。
富士山スカイラインは、無料開放で24時間アクセスができるため、登山者にはとてもありがたい。富士宮の登山口は、そのスカイラインの一番上にあり、標高2,390mと日本で一番高い駐車場と呼ばれている。これは富士山の4ルートの中でも最も高い位置にあり、そのため最短で富士山に登れるコースであり、また、富士山の最高点「剣ヶ峰」にも一番アクセスしやすい特徴を持っている。
少し仮眠をとろうと思ったが、気持ちが高ぶって結局眠れなかった。そうこうしているうちに、どんどん空が明るく、朝日で山肌が赤く染まっていく。身支度をし終わる頃には、すっかり青空が広がっていた。見上げると雲一つない青の中に、白く丸く大きな月がまだ残っていた。きっと、今日は最高の景色が楽しめるぞ!と気分も上々。
トイレを済ませていざ出発。まだ開山前のこの時期は、富士宮口五合目のゲートも閉じている。ほかの登山者にならいゲートを乗り越える。そこから先は、非日常的な冒険の始まり。ただし、一定以上のスキルと経験を以て自己責任だ。
季節も5月から6月に入り、厳しさも緩和されつつあるせいだろうか。多くの登山者が訪れていた。事実、数日前に積雪があったらしいが、今年は全体的に雪解けも早く、六合目の雲海荘から眺めた山頂方面(山頂は隠れてまだ見えない)にはほとんど雪が見られなかった。
下を振り返ると、駐車場がどんどん小さくなっていく。駐車場のさらに下には雲海が広がっている。真っ白な雲の海に島のように顔を出しているのは、日本二百名山の1つ愛鷹山(あしたかやま)。標高1504.2mの一番高い部分は越前岳に当たる。
高山病に備えて、深い呼吸を意識しながら、できる限りペースを落として歩く。所々、登山道をクロスするように林道のような道が延びている。いわゆるブル道だ。それを見るだけで懐かしさが込み上げてくる。あの日は、季節外れの強烈な低気圧で市内の樹木がくの字に曲がる程の暴風が吹き荒れていた。入山が禁止された富士山に唯一入る手段としてなんとかブル道を使って登ったのを覚えている。山の天気は恐ろしいというが、独立峰の富士山は普通の山以上に天気の変化で登山の難易度が大きく変わる。
合目の節目にいくつもの山小屋を越えていく。山小屋はどこも厳重に閉鎖されていて、人気のない小屋はとても小さく見えた。
見上げると小さな鳥居が見えた。ウエルカム鳥居!と個人的にそう呼んでいる。8合目過ぎにあって、登山道はここから斜度を増して行く。近づくと鳥居の付近から残雪があって、壁のように上の方まで続いていた。でも、よく見ると横には夏道も露出しているので、どうやらギリギリまでは夏道でも登れそうだ。夏道でも良かったが、せっかくなのでアイゼンを装備して、雪の壁にとりつく。まだ気温もそれほど上がっていないので、雪の表面も固い。念のために12本を持ってきて良かった。当初予定の5月の上旬であれば凍っていてアイゼンも効かないかも知れない。
いつしか夏道も雪の壁に合流して、他の登山者もアイゼン装備となっている。斜度はどんどん増して、山頂付近の薄い空気で呼吸もままならず、一歩一歩がきつい。
山頂まで雪が続いているのかと思ったが、実際には手前で途切れていた。アイゼンを外して、片手でぶら下げながら最後の数10mを登る。ゴールの鳥居をくぐるとついに山頂。振り返ると、ミルクのような純白の雲海が広がっていた。ところどころ夏のような雲が雲海から立ち上っている。これだ。この風景が見たかった。
山頂にある神社「富士山本宮浅間大社」に手を合わせる。神社の正面の鳥居は、まだ半分くらい雪の中にある。左側には富士山の最高地点である剣ヶ峰と、そこにある日本で最も高い位置にある建造物、測候所が見える。
休憩もそこそこに剣ヶ峰へと向かう。神社の裏側に周ると、富士山のお鉢がくっきり見えた。目線でお鉢をぐるりと一周する。昔はものすごく大きな円周に見えたのに、天気が良くてはっきり見えているせいか、今日はとても小さい円周に見える。
富士山の標高3,776 mはそれすなわち剣ヶ峰の標高。最後の急な坂を登ると、どんな強烈な風雪にも、過酷な気象条件にも耐えうるよう当時における日本の技術の粋を集めて作られたと言われている測候所が建っている。実は今日、ザックには一束の花をぶら下げて登って来た。以前、ここでお世話になった方へ献花をするためだ。まだ厚い板で封鎖されている測候所のドア前にそっと花を置いて手を合わせる。「久しぶりに富士山にやってきました。お元気ですか。」と。時が流れるのは本当に早いものだ。
測候所の脇には剣ヶ峰の標識が建っている。その横に立つと事実上、日本で最も高い位置。富士山どころか、日本全体が見渡せるようで最高の気分になる。測候所の横からは雲海の中に南アルプスの一部が顔を出しているのが見えた。あの南アルプスでさえ、眼下に見えるなんて、なんと富士山の圧倒的な高さだろうか。
神社の方に戻り、昼食をとる。コーヒーを沸かし、雲海を眺めながらサンドイッチにかじりつく。午後になり、雲がだいぶ上がって来た。時々、ガスが山頂の方まで立ち上ってくる。これからは眺望もどんどん条件が悪くなるだろう。早めの登山で絶景を堪能出来て本当に良かった。
いつまでも非現実的なこの世界を堪能していたかったが、そういう訳にもいかず、名残惜しいが山頂を後にすることにした。今度来るとしたら日の出目的もいいかも。富士山。いつかまた。それまで暫しのお別れ。

続きを読む

フォトギャラリー:14枚

すべての写真を見る

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

  • 真っ直ぐに上がって真っ直ぐに降りてくる、富士山ならではですね。いつものジグザク、グチャグシャとは違いますね(◎^^◎)

  • 日本のてっぺんから自分を見つめ直して見ました。

  • 富士の頂からの雲海は格別です。
    実際にみる景観は行った人にしか味わえない特権ですね。

  • RAICHOさん、コメント有難うございます。同感ですね。よく言われるように登る山ではないのかも知れませんが、あの雲を突き抜ける感覚は富士山ならでは。そしてその絶景は格別だと思います。

  • 私も富士山は登る山ではないと思ってましたが、登ってみて考えが変わりました。3000m以上は呼吸がきつかったけどそれ以上の感動を味わえました。企画、ありがとうございました。

  • こちらこそ有難うございます。あの空間と絶景を共有できて嬉しかったです。

登った山

富士山

富士山

3,776m

よく似たコース

富士山 山梨県 静岡県

富士宮口五合目から宝永山往復 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
4時間5分
難易度
★★
コース定数
14
富士山 山梨県 静岡県

富士宮口五合目から宝永山に登り、水ヶ塚公園に下る 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
縦走
歩行時間
6時間45分
難易度
コース定数
21
富士山 山梨県 静岡県

須走ルートで富士山に登り、砂走りで下山 1泊2日

最適日数
日帰り
コースタイプ
往復
歩行時間
10時間40分
難易度
コース定数
42
登山計画を立てる