行程・コース
天候
初日、晴れ時々曇り 2日目、晴れのち時々曇り
登山口へのアクセス
その他
その他:
新穂高ロープウェイ駅までは自家用車。西穂高口までロープウェイ
この登山記録の行程
【1日目】
西穂高口駅(13:40)・・・西穂山荘(14:50)
【2日目】
西穂山荘(04:30)・・・西穂独標(05:37)・・・西穂高岳(07:20)・・・西穂独標(09:00)・・・西穂山荘(10:15)・・・西穂高口駅(12:25)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
9月13日(土)
先週の木曽御嶽山に続き秋の山行第2弾、西穂高岳です。
夏の天候不順から抜け出し、ここにきてようやく天気が安定し山日和となってきました。
ところが、これが後々すごい体験をすることになろうとは・・・。
今回のコースは新穂高ロープウェイを使い、西穂高口駅から西穂山荘で1泊。翌早朝から西穂山頂を目指すルートです。まぁ、西穂を目指すルートとしては一般的でしょう。実は西穂高は昨年に続いて2回目で、前回は奥さんと当時小5の娘と3人でしたが、あまり経験もなかったので独標までとしました。娘も独標への取り付き部は、それなりに怖かったようです。(詳細はYAMAKEI-ONLINE登山記録「小学5年生と行く穂高入門編 独標」をご覧ください)それもあったのか今回、娘は「うーん…パス!」。親としては少々残念ながらも「まぁ、独標から先は、小学生にはちょっと厳しいかな」とも思い今回は夫婦二人の珍道中となりました。
初日は西穂山荘で泊まるだけなので、12時から13時くらいのロープウェイに乗るつもりで、自宅はゆっくり出発です。ところが3連休の初日。行楽地に出かける車で高速道路はところどころ渋滞。思った以上に時間がかかりました。新穂高温泉郷もロープウェイの新穂高温泉駅前の駐車場は満車で入場制限中。もともと第2ロープウェイのしらかば平駅から乗るつもりだったので、私たちは第2駐車場へと急ぎ12時30分に到着です。
身支度を整えて、しらかば平駅には13時過ぎに到着しました。券売所で乗車券を購入すると「荷物を計りに載せてください。ちょっと超えてますねぇ。」と手荷物料金を支払い。「こんなの去年あったかなぁ?で、いったい何kgだったら追加料金がかからなかったんだろう?」など考えながら改札口の列に。13時15分発のロープウェイに乗車します。三連休の初日、人出が多く通常30分間隔で運転するところを15分間隔で運転していました。このロープウェイ2階建てのロープウェイで定員は121名(60名+60名で1名はガイドさん?)ですが満員です。ここでふと疑問が・・・。確かに乗客の中には観光客もいますが、半数は登山客です(つまり60名くらい)。これが15分毎に運航しているということは相当な登山者が上っているはず。「この時間に上がるってことは、独標までだとしても日帰りは難しいだろう。みんな西穂山荘泊?うーん・・・まさかね」などと考えているうちに標高2,156mの西穂高口駅に到着です。この日の天気は晴れでしたが、やはり午後になりガスが発生、晴れていたら見える槍ヶ岳や西穂のピークは見えません。確か去年も似たような天気だったような・・・。本当はロープウェイ駅で昼食をとる予定でしたが、渋滞で思いのほか時間がかかってしまったため、昼食は持ってきた行動食とし13時40分、西穂高口を出発です。
西穂高口~西穂山荘
当たり前ですが、昨年歩いた道なので、それなりに見覚えが。しばらく歩くと、これまた見覚えのある避難小屋。相変わらず不気味です。西穂山荘までは標準タイムで1時間半ほどですが、メインは明日のため今日のところは極力汗をかかず、できれば明日も同じ服装で西穂を目指したかったため、こまめに着替えながらゆっくりとしたペースで進みます。先週の御嶽山の登山道とは違い、整備はしてあるものの石がゴロゴロとした道なため、逆にステップを刻むことができ、膝や腰には優しい登山道となっています。
14時50分、西穂山荘が見えてきました。「なかなかいいペースで登ったなぁ」と思って山荘前まで歩いていくとビックリ!山荘前が人で溢れかえっています。「なんじゃこりゃぁ!」テン場もビッシリと張られ一炊の余地もありません。嫌な予感的中です!山荘の中に入ってみると、こちらも人でごった返し、スタッフの女の子がバタバタと走り回っています。「履物に名札を付けて下足入れに入れてくださーい!」「○○様と△△様、××様、館内をご案内しま~す」「宿泊の方はこちらに1列に並んでください」様々な声が飛び交っています。私も早速靴を脱ぎ、受付前の列に並び順番を待ちます。自分の順番が近づき、前の人たちのやり取りが耳に入ってきます。「ご予約は?」「していません」「何名ですか?」などと。そして従業員の衝撃的な一言「本日はかなりのお客さんが宿泊されます。1組の布団に3名で寝ていただきます」「???」。最初、言っている意味が分かりませんでした。しかし、受付を済ませてスタッフに部屋へ案内され「この布団の真ん中と左端を使ってください」と説明され「おいおい、ホントにここに寝るの?」と思い奥さんと顔を見合わせます。6畳の部屋には1列に布団が3組、枕が6個、これが2列用意してありました。私たちが指定された列には既に4名の先客がくつろいでいましたが、スタッフに「すいません、もっと向こうに寄ってください。もっとお願いします」と促されていました。でも「それ以上は無理だろう」と思い、少し空いたスペースに2人座ります。ただ、私たち2人が入ったことにより、ほとんどスペースのなくなった空間に、あと3人入るというのだから尋常ではありません!「訪れる登山者は受け入れる」という山小屋の使命があるとは言え、物理的に無理なような気がしました。隣のおじさんも「分かるけど、事前に予約した人はもう少し何とかしてほしいなぁ」とぼやいていましたが、その気持ちは十分わかりました。後で分かったことですが、この3連休は北アルプス過去15年で最高の人出だったそうです。結局、我々の部屋の宿泊者は13人となりました。とは言っても6畳に13人ですので、厳しいことには変わりありません。よって、どのように寝るのか話し合いです。13人で2列なので6人と7人に分かれて寝るしかないと話している中、食堂が解放されることとなり、若者二人が食堂へ。最終的に11人が6人と5人に分かれて寝ることとなりました。
9月14日(日)
翌朝3時30分、早々と布団を抜け出て出発の用意をする人で、部屋の外はガヤガヤ。あまり眠れませんでしたが、それでも3時半は早すぎるため、もう少し寝ようと試みますが、どうしても眠れず4時に起床です。部屋の外に出るとトイレの前には長蛇の列。山荘内のトイレは諦め外のトイレへ。今回、西穂へは極力荷物を持って行きたくなかったので、西穂アタック用に購入した小さめのザックに奥さんの荷物も一緒に詰めます。
西穂山荘~独標
4時30分、西穂高岳山頂に向けて山荘を出発です。山荘前から丸山へ続く道にはヘッドライトの明かりが点々と連なります。私たちも両側にハイマツが茂った道へと進んでいきます。この時間、最も気温が下がる時間帯ですが、Tシャツの2枚重ねにユニクロのウルトラライトダウン、薄手のアウターを着こんでいるので、全く気になりません。黙々と前の人に続きます。ふと前の人を見るとハーネスを付けています。どうやら奥穂に縦走するようです。この時間に山荘を出る人はジャンダルムを通って奥穂に縦走する人が多くいます。実は私たちが早く出たのも、この人たちについていくのが目的でした。もちろん奥穂まではついていきませんが、独標から先は未知の領域だったため、彼らの通るルートを参考にしようと思ったのです。山荘前の坂を登り振り返るとハイマツの陰からチラチラと明かりが漏れているのが見えます。丸山を通過する頃は真っ暗ですが、東の空は少し明るくなってきています。丸山から先はダラダラと登っていく稜線を進みます。独標近くになるとあたりも明るくなり、ヘッドライトが無くても歩けます。そして独標直前でご来光となりました。しかし、相変わらず早朝とは思えない登山者の数です。
独標~西穂高岳山頂
5時45分、独標(11峰)到着です。昨年は結構ビビッていた直前の基部ですが、今年はなんなくクリア。やっぱり、この1年で経験値が上がったのか・・・。ですが、ここからが本番です。昨年、独標からピラミッドピーク方面の下りを覗いたときは、正直「俺には関係ない世界だねぇ~」と思っていましたが、まさか1年後に挑戦するとは・・・。独標よりも先を目指そうという人は、全体の3~4割程度でしょうか。私たちも少々緊張しながら、ピラミッドピークへ続く下りに踏み出します。が、実際に下り始めると「ん?思ったより怖くない?って言うか、そんなに難しくない?」実は事前にネットやDVDなどで情報を収集していましたが、「独標の下りが結構怖い」などと書かれている人が多かったので、かなり身構えていましたが、身構え過ぎたせいか割とすんなり降りられ、ちょっとビックリ。それでも「気を抜いてはいけない!」と気持ちを引き締め、ピラミッドピークを目指します。
山頂までは大小のピークを登ったり下ったりです。独標が11峰なので主峰まで10のピークを越えます。しばらく進んで後ろを振り返ると、ちょうど朝日に照らされた独標越しに焼岳、乗鞍岳がとても美しい。行く手にはピラミッドピークに続く岩稜の痩せた尾根が続きます。尾根を挟んで長野県と岐阜県に分かれますが、西穂までの道は岐阜県側を巻く道がほとんどです。鎖も所々設置してありますが多くはありません。気を付けて進めば大丈夫です。1か所、岩を超える時に足場が窪んだ穴ひとつ(結構有名)という場所もありますが、さほど心配しなくても大丈夫です。10峰、9峰と進み、6時15分、8峰のピラミッドピークに到着です。前方を見ると西穂山頂の雄姿が秋晴れの青空に映え、朝の少し冷たい心地よい風が吹きすぎていきます。ただ、その下の登山道は結構エグイ道なっています。痩せた尾根なので、ところどころ交互通行になりますが、この時間帯は山頂方面に向かう人がほとんど。
ピラミッドピークから40分、6時55分、チャンピオンピーク(4峰)に到着…とは言ってもピラミッドピークのように道標はなく、石に消えそうな字で「チャンピオンピーク」と書かれているだけで、うっかりとすると見過ごして通り過ぎてしまします。おまけに、ゆっくりと休んでるスペースもないためスルーです。チャンピオンピークを超えると山頂まではすぐです。3峰、2峰を超え、いよいよ主峰の基部までやってきました。ただ、この山頂までのルート、かなりのもの。山頂まで一気に上がっているうえ、途中から逆層のスラブ岩が続きます。岩の割れ目が少なくスタンスをとるところが、あまりありません。「こりゃぁ、登りはいいけど帰りはキツイなぁ…」などと考えながら7時20分、ついに西穂高岳(2,909m)登頂です!!!やはり、この時間に登ってきて正解です。360°の大展望です。前穂、ジャンダルム、槍ヶ岳もクッキリ!感動です!しかし今回はここまで。ここから先は、まだまだ修業が足りません。ただ、ガイドの人とロープでつないで、奥穂方面に下っていく人が結構いることに驚きです。
最後に
今回の独標~西穂、心配したほどではありませんでしたが、常に緊張はしていました。ところどころに難所もありますし、気を抜くところはありません。帰りに年配のベテランの人が、何でもない鞍部のところでつまずいて、あと一歩で滑落するところをそばにいた人たちにリュックをつかまれて間一髪セーフという場面がありました。また、山頂直下のスラブ岩のところはスタンスをとるところが極端に少ないうえ、滑ったら止まらず切れ落ちた谷底まで一気です。また、時間帯によっては登ってくる人と下る人で混み合います。互に声を掛け合って交互に行き来しないと途中でお見合い!なんてこともありますので気を付けてください。
フォトギャラリー:43枚
1年ぶりに西穂高口にきました!
去年はここで登山届を出しました。今年は駅のポストに入れました。
避難小屋。いつ見ても不気味
去年に比べ、あっという間に西穂山荘到着です
うわっ!すごい人!!
テン場もいっぱい。この日は午前中で全て埋まったそうです。
なかなか寝れない山荘を抜け出し、いざ出発です!
丸山を過ぎるころ、東の空がオレンジ色ににじんできました
乗鞍岳を背に焼岳も目覚めます
独標到着!
いよいよ未知の領域。独標の下りです。行けるかなぁ…
下から見るとこんな感じ。意外と順調に下りられた(^^♪
独標を降りたところ。結構深いです
結構荒れてんなぁ
でもペンキマークはバッチリ、ルートに迷うことはありません
朝日に照らされる独標、焼岳、乗鞍岳。綺麗!
なかなか高度感ありますなぁ(^-^;
各ピークにはNoペイントが
小刻みにアップダウンを繰り返します
岐阜県側のハイマツが稜線まで生えています
結構、登山者が増えてきました。ハーネスを付けている人は奥穂へ縦走するのでしょう
8峰です。ん?ここは…
やったぁ!ピラミッドだーーー
真ん中に見える一番高いところまで行くんです。よく見ると人が…
みんなガンガン行きますなぁ
これだけ切れていて、道幅が狭いところは、さすがに鎖をつかみます
当たり前ですが、あと6つ!
まだまだ道は長い!それにしてもガレてるなぁ
先行した人たちが登っています
4峰。かならずしもピークを超えるわけではなく、巻いていくところもあります
よく来たなぁ…
うわっ!あれ、道あるの???
おし、行くぞーーー!
やったぁ、チャンピオンだ!あれ?道標は?
ピークではなく壁に書かれていました。ピークはきっとのこの道の上
2峰が見えてきた。あれを超えれば!
よっしやぁ!あと1つ
最後の上り!この時間は登る人ばっかり
おぉぉぉ!ついに来たぞ!
感激!!!今まで一番の達成感です!
前穂とジャンダルムが見えます
槍ヶ岳の展望が最高です!
下りはこんな感じ。ルートは少ないので上り下り順番に通りましょう。谷に向かって右側に行き過ぎるとスタンスが取れなくなれます。
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
| 登山靴 | バックパック | スタッフバック | ヘッドランプ | タオル | 帽子 |
| グローブ | サングラス | 着替え | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 |
| 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ | 健康保険証 | 熊鈴・ベアスプレー |
| 行動食 | トレッキングポール | GPS機器 |




