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乗鞍剣ヶ峰 爆風の先に御嶽山の雄姿

乗鞍岳(剣ヶ峰)( 北アルプス・御嶽山)

パーティ: 4人 (Yamakaeru さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

曇り・暴風

登山口へのアクセス

マイカー
その他: カーナビには「三本滝レストハウス」をセット。この時期、無料。ただしトイレも閉鎖されているようなので事前に済ませておくことをお勧めする。

この登山記録の行程

三本滝レストハウス駐車場(04:02)・・・避難小屋(06:47)・・・コロナ観測所(08:03)・・・肩ノ小屋(08:23)・・・剣ヶ峰(09:23)・・・大雪渓・・・昼食・・・三本滝レストハウス駐車場(12:33)

コース

総距離
約11.4km
累積標高差
上り約1,382m
下り約1,383m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

いつもの如く睡眠不足による一抹の不安はあるものの、一方で、久しぶりの残雪登山にテンションはMAXまであがっている。今回は山仲間と残雪の乗鞍岳を目指す。「てんきとくらす」もAを指していて、絶景も期待できるとあれば、あがらない訳はない。

高速と下道を駆使して乗鞍岳に3時過ぎに到着。当初、国民休暇村からの出発を考えていたが、直前の情報でその上の三本滝レストハウスまで、車が通れるのを知る。
林道脇にはたっぷりと積雪があったが、路面は綺麗に除雪されていてノーマルタイヤでも問題なく登っていく。今年は暖冬だったため生活面では雪を見ずに終わったためライトで浮かび上がる雪がとても新鮮だった。
気温の上昇を予想して、早めに動くべく4時過ぎにはヘッドライトを点けて歩き出す。満月に近い大きな月が空にあって、ほんのりと足元が明るい。
スキー場のリフトに沿って急な斜面を登っていく。カチカチに凍っている上に壁のような斜度があるため最初からアイゼンを履いておくべきだったと後悔する。斜面を登り切ったところで、先が開けるのかと思ったがここで舗装道路が横切っていて、次の斜面には一旦雪の壁を降りて、道を横断しなければならない。
スタートしたと矢先にこれでは興ざめだが、グッドタイミングなのでアイゼンを装着する。結果的に本格的な登山がスタートするまで、計2回の道路を横切った。
スキー場のコースがそのまま登山道として沿うように登っていく。林間コースとなっていて、暗くてよく見えないが両脇にはダケカンバと思われる樹々が並んでいる。日の出が近づいてきたようで、徐々に周囲の輪郭が現れてきた。振り返ると、折り重なった山々の向こうから真っ赤に染まった太陽が昇ってきた。1日が始まる。改めて正面を見ると2つの頂が見える。おそらく右側が剣ヶ峰で、左が屏風岳だろうか。
林間コースなので、なだらかな道が多いのかと勝手に思ったが、意外に急な斜面が点在している。スキーで来たなら変化に富んだ面白いコースとして楽しめるのかもしれない。
森林限界を抜けて視界が開けると同時に雪原ゾーンに入る。とてつもなく広い空間とその奥には先ほど見た剣ヶ峰と屏風岳の他にもいくつかのピークがそびえている。乗鞍岳のピーク達だ。立山のように乗鞍岳は単独での名前でない。主峰の剣ケ峰(標高3,026m)を筆頭に摩利支天岳や富士見岳等のいくつかのピークによって成っている。
そのピークの手前の斜面下に小さな小屋が建っていたのでまずはそこを目指すが、歩いても歩いてもなかなか届かなかった。距離感が計れないほど大きな雪原ということか。
雪原を進む途中にふと右手を見ると、遥か向こうに白い頂の山塊が見えた。手前は硫黄岳だろうか。穂高の山々に尖ったところは紛れもなく槍。雲に紛れて霞んでいるがその圧倒的なスケール感は半端ない。神々の頂だ。
小屋で一休みをして急斜面に備える。
登りの時に見た剣ヶ峰は左側に見えていたが、まずは右側のピークに向かってアプローチする。キックステップで小気味よく登っていく。日差しが出てきたせいか表面が少し溶けかけてきたのを感じる。このまま青空が持ってくれればいいが。
その願い虚しく、ピークにたどり着く頃には空も怪しくなり、何より冷たい風がゴーゴーと唸り声をあげ激しく吹きつけるようになってきた。
時間が許す限りピークを踏んで帰ろうと思っていたが、エッジに立つと身体ごと持っていかれそうな勢い。これではピークを繋いで歩くのは危険だと判断した。
仕方がないので、とりあえず風を避けるため摩利支天岳の斜面をトラバースしながら、コロナ観測所のドームを目指す。そこから斜面を降って肩ノ小屋まで移動する。
肩ノ小屋は剣ヶ峰とドームのあった摩利支天岳とのコルに位置する。
暫く待ってみるが相変わらず風の弱まる気配はない。上に行けばいくほど強まる危険性もあるが、行けるところまで行って危険だと判断したら即座に引き返すこととする。以前、常念岳の山頂手前でテント装備を担いだまま吹き飛ばされそうになったことを思えば、まだ立って歩けるだけましだが、山での風は瞬時に変化するため1秒後にいきなり倍の風速になってもおかしくはない。ピッケルを刺しながら一歩いっぽ慎重に登っていく。
長い登りを終え、一つのピークを乗り越えるとその先に剣ヶ峰の祠が見えてきた。あと少しだ。風と寒さで心が萎えていたが、頂(ゴール)が見えると俄然元気になる。
祠の手前をぐっと登り切ると目の前に成端な三角形の大きな山が飛び込んできた。中腹より上は一見してまだ豊富な雪が残っていることが見て取れる。
「うぉー富士山だー」と瞬時にそう思ったが、ロケーション的にそれは有り得ない。一呼吸ついて御岳山だと気づく。ゲンコツのような特徴的な御岳山を普通なら間違うはずがないが、剣ヶ峰からの角度だと、こんな山容も持っていたんだと驚くくらい綺麗な三角形をしていた。
いつもは遠くに見えている御岳山がこんなに間近にあるなんて。まるで旧知の友人に再開したように嬉しく思える。久しぶりに登ってみたくなった。
暖かくなってきたとはいえまだ剣ヶ峰の山頂は極寒の世界。鳥居と祠が氷で覆われていた。特別な世界にやって来た証と、その風景をカメラに収め再び暴風の中、帰路につく。
予想外の暴風の中の登山になったが、なんとか剣ヶ峰も踏めた。端麗な御岳山にも、神々の頂・穂高の山々も拝めた。まずまず以上の登山だったと思う。次回は初夏の頂を踏んで見たいものだ。

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みんなのコメント

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  • 風の七変化を体感した感じですね。

  • 人を寄せ付けない厳しい風だったけど、それさえも楽しかった登山でした。

  • さすがに乗鞍、爆風でしたね。風邪に風できつかったですが雪山を堪能しました(^.^)

  • ダブルかぜですね。でも、風邪をおして強風に打ち勝つ登りは流石でした。

登った山

乗鞍岳

乗鞍岳

3,026m

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