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倉手山(梅花皮荘から山頂往復/飯豊連峰の絶景)2019

倉手山( 東北)

パーティ: 1人 (ブナ太郎 さん )

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行程・コース

天候

快晴

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 梅花皮荘への橋の手前に十数台の駐車スペースがあります。この時期、飯豊山荘への舗装道路は、まだ通行止めになっています。

この登山記録の行程

梅花皮荘(8:15)・・・倉手山登山口(8:38)・・・ヒメコマツの尾根(9:52)・・・倉手山山頂((10:32)【休憩1時間6分】・・・倉手山登山口(13:02)・・・梅花皮荘(13:29)

コース

総距離
約7.4km
累積標高差
上り約761m
下り約761m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 飯豊連峰の絶景を見るのに、倉手山以上の場所はないと言われている。梶川尾根や丸森尾根を下るときに正面に見える小さな山塊が倉手山で、いつかここに登って飯豊連峰を正面から眺めたいと思っていた。
 ただし、倉手山に登るには時期を選ばなければならない。夏場は倉手山よりも飯豊本山や北股岳に登りたいし、冬場には標高952mの倉手山でも雪は深く、わたしには登るほどの技量はない。
 倉手山に登るのは晩春から初夏の残雪期しか選択肢はない。そんなことから、今年の10連休のうちの一日、5月4日に倉手山への山行を計画した。この日の東北地方はどこも快晴の予報で、おそらく山頂から胸の空くような展望が望めるはずである。

 先日、南陽・米沢間が開通したばかりの東北中央道を使い、小国へ向かった。この日は小玉川地区で、熊祭りが開催されるという。マタギの集落は、東北地方にも数少ないが、ここは未だにマタギの風習が大切に伝えられていると聞いた。倉手山の登った後は、熊祭りも見てみよう。二重の楽しみにワクワクしながら、8時前に梅花皮荘に着いた。駐車場は、熊祭りの準備のためか、すでに数十台の車が止めてある。登山者の車は、梅花皮橋の手前の小さな駐車スペースに止めるのがよいようで、こちらに愛車を移動した。
 天気は予報通り快晴である。飯豊連峰は真っ白だが、周囲の低山は新緑が美しい。深い緑に染まった小玉川の流れも清冽である。

 梅花皮荘からは舗装された車道を歩く。飯豊山荘に至るこの道は、まだ通行止めとなっている。道の片側には、数メートルの圧雪があるところや、谷の部分を覆う雪崩の後などがあって、車での通行はまだ安全とはいえない。
 車道を二十数分歩いて登山口に着く。登山道から川を渡った先に、広い駐車場があるが、車は一台も止まっていない。ここからも雪を冠った飯豊連峰がきれいに見える。

 登山道は、飯豊連峰の例に漏れず、急登から始まる。木の階段から木の根が露出した道に変わっても急な登りが続く。周囲にはカタクリやイワウチワが見えるが、もう見頃は過ぎている。アカヤシオやアズマシャクナゲは咲き始めである。右手の樹間から、対岸に飯豊の山々が顔を覗かせる。
 つづら折りに登って数十分もすると、右手に倉手山が大きくなってくる。緑がせり上がって山頂部近くまで届きそうだ。周囲にはタムシバの白が目立つようになる。

 残雪が出て、ブナの二次林を抜けると、見晴らしが広がる。振り返れば、小玉川地区を眼下に見下ろす。右手には樽石峠、その先には朝日連峰が白く輝いている。ここは飯豊と朝日の両方を見ることができる山なのである。
 残雪を踏み、尾根に乗り上げる。ここからは痩せた尾根を鞍部に下っていく。尾根道にはヒメコマツが目立つようになる。右手には朳差岳が大きく見える。尾根のアズマシャクナゲはまだ蕾だが、タムシバが満開である。青空に残雪の白とタムシバの白が映える。左は切り立った崖で、谷を見下ろす。新緑は、今盛りである。

 鞍部まで下って登り返すと、大量の残雪が現れる。この急斜面が一番の難所だろう。アイゼンを付けようかどうか迷ったが、踏跡がしっかりついているので、付けずに登った。ゆっくり、慎重に高度を稼ぐと、右手に夏道が現れたので、そちらに移った。夏道にはイワウチワが満開だった。

 10時30分少し前に、広い山頂に着く。ブナの木が散在する広場は深い雪に覆われていた。なだらかな斜面をゆっくりと登ると、目の前に飯豊連峰の巨大な山塊が姿を現した。この迫力は、この場に立った人間でなければ分からないだろう。左から飯豊本山、烏帽子岳、梅花皮岳、北股岳、地神山、地神北峰、朳差岳と続く延々たる稜線に圧倒され、しばらくの間、黙って見惚れた。
 山頂には十数人の登山者が休んでいる。圧倒的な景色を前に、誰もが清々しく微笑んでいる。山はいい。そう思わせる景色がここにはあった。正面には飯豊連峰、反対側には遠く朝日連峰が見える。広場はとても広いだけでなく、残雪期のため小学校の校庭ほどの雪の原を自由に闊歩できる。

 山頂では1時間と少し休み、飯豊の山並みを見ながらおにぎりを頬張り、コーヒーを飲んで、青空とブナの木を見、山座同定を楽しみ、新潟から来た女性二人と話をし、山のありとあらゆる楽しみを満喫して下山した。
 下山時も空は青く澄み渡り、白い山々と青空、新緑、イワウチワの葉の深緑にピンクのフリルの花びら、タムシバの白など、鮮やかで清々しい色彩を楽しみながら、13時2分、登山口に降り立った。

 倉手山は、やはり飯豊の山である。急登から始まり、残雪とブナ、ヒメコマツのやせ尾根歩き、山頂直下の急登、山頂からの360度の眺め、花と緑など、短い行程ながら、飯豊の魅力を凝縮した山旅だった。
 なお、楽しみにしていた熊祭りは、残念なことに、下山した時にはすでに終わっていた。小玉川地区に、数百人の人手があったらしく、パトカーも二台、駐在していた。主催者は皆、後片付けに忙しいようである。祭祀に使われた熊の毛皮が5枚残っていたので、取り外す前に写真に収めた。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • ブナ太郎さん こんばんは。
    俺達が登った時にはトレースなしでしたが、
    現在はまだトレースが残っていいたのですね、天気が良かったのですねこの間は、
    山頂の一角の雪がない所での休息写真が、目に付きました、
    残雪期以外での花は飯豊山同様に綺麗なのでしょうか、何せ初めて登った倉手山、今の時期以外の時期に興味を抱いておりて来ました次第です。

  • スーさん、こんばんは。
    コメントをありがとうございました。スーさんの記録は事前に読ませていただき、雪の状態を参考に今回の山行を計画いたしました。「参考になった」の一票は私です。ありがとうございました。
    今回は二週間後の山行でしたが、もうアイゼンは必要ないほど雪どけが進んでいました。山頂からの絶景は、相変わらず素晴らしく、これからはこの構図に新緑が加わってくるのでしょうね。
    花も素晴らしく、カタクリ、イワウチワ、タムシバの後は、アズマシャクナゲが主役になりそうです。
    わたしは今年、対岸の山々から倉手山を見る予定です。飯豊には、イイデリンドウなど、固有の花もあって、これを楽しんでいます。

登った山

倉手山

倉手山

952m

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倉手山 山形県

山頂から望む飯豊山の大パノラマが魅力

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
5時間20分
難易度
★★
コース定数
22
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