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大菩薩嶺(丸川峠経由/裂石周回)

大菩薩嶺2057m( 関東)

パーティ: 2人 (イガドン さん 、ほか1名)

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行程・コース

天候

利用した登山口

大菩薩峠登山口  

登山口へのアクセス

バス
その他: JR中央本線塩山駅から山梨交通バスで大菩薩登山口バス停下車。

この登山記録の行程

山梨交通バス大菩薩峠登山口バス停(08:10)・・・丸川峠入口・・・千石茶屋(08:35)・・・上日川峠(09:25)[休憩 10分]・・・福ちゃん荘(09:55)[休憩 5分]・・・富士見山荘・・・大菩薩峠(10:40)[休憩 85分]・・・賽ノ河原(12:20)・・・大菩薩嶺(12:50)[休憩 20分]・・・丸川峠(14:10)[休憩 15分]・・・丸川峠入口・・・山梨交通バス大菩薩峠登山口バス停(16:20)

コース

総距離
約14.5km
累積標高差
上り約1,448m
下り約1,448m
コースタイム
標準7時間10
自己5時間55
倍率0.83

高低図

標準タイム比較グラフ

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登山記録

行動記録・感想・メモ

【回想】久々の2000m超の山行ということもあり興奮のせいか3時30分には目が覚めた。床から出て早速朝食を作り出した。今年度から山の日は食事を含め、親の手を借りずに全てを賄うことを決めた。今朝も黙々と朝食の準備にとりかかった。新聞配達のバイク音が聞こえた頃に朝食は出来上がり、食事を終えると空は明るくなっていた。予報では曇天だったが早くも太陽が顔を覗かせていた。
雅美のおふくろさんから「いま出ました。」との電話をいただいた直後に、雅美が到着。新小平駅まで自転車で向かった。早朝の旧青梅街道は行き交う車もなく、道の中央を手離し運転しながら急いだ(危ないけど、若い頃は体幹がしっかりしていた証拠だ)。駅前の駐輪場に停め、塩山駅までの1,380円のキップを買い改札を入った。地下にプラットホームがあるJR新小平駅は静まりかえっていた。そういえば、本年4月1日付で、国鉄(日本国有鉄道)は分割民営化により、地域ごとに6社(国鉄清算事業団を含むと7社)に分割され、首都圏エリアはJR東日本(東日本旅客鉄道株式会社)に生まれ変わった。民営化後はじめての遠出となった今日は変化を感じることが多かった。武蔵野線も中央線も、先頭と最後尾の車両(運転席と車掌席の扉)の横には白い大きな「JR」の文字が貼られていた。
高尾駅から中央本線に乗り込んだ。車内では近況報告も兼ねた雑談は続いたが、天候もトンネルを越えるたびに青空が増えていき、塩山駅に着いた時には上空の雲はかなり少なくなっていた。JR塩山駅ではオレンジカードを購入。大菩薩登山口である裂石行きのバスに乗車した。バスに同乗する登山客はゴールデンウィーク初日にしては混雑しているわけではなく好条件の山行になるのではと予想された。一方で、東の空からは初夏並みの強い日射しが照りつけ始めたため、山中もかなり暑くなるだろうと心配された。
バスは20分ほどで登山口の裂石に到着。水筒の水を満タンにして出発した。歩き始めてしばらくすると正面に大菩薩嶺を仰げる場所に出る。車道のうちは嶺に向って一直線に進む感じだ。バスの登山客のうち最後に出発したのは我々だったが、老夫婦の一行を抜いたのを皮切りにハイペースで歩いたところ、いつしか全員を追い抜きトップに立っていた。仙(千)石小屋では「大菩薩嶺」の鈴付きキーホルダーを購入し早速ザックの側面に取り付けた。歩を進めるごとに風鈴のような涼やかな音色を奏でることになる。春山は思ったよりも暑く、歩行中は飴玉を舐め続けて喉の乾きを防いだ。上日川峠までの道は急登で、しかも登山道自体も窪みぬかるんでいる箇所も多く歩きづらかったがハイペースは維持された。上日川峠を通過し緩やかな林道を進んだ福ちゃん荘で小休止した。
大菩薩峠へ向けてここからがいよいよ本番。天候は崩れる心配はないが、眺望という意味ではいまいち。春山特有の霞がかかった感じで、富士山も肉眼ではわずかに確認できるもののカメラを向けられるほどクリアではなかった。勝縁荘の少し先の大きな岩には化石があるのを発見した。しばらく登った樹林帯で休んでいると、下から我々よりわずかに年少と思われる女の子が登ってきた。彼女は塩山駅からのバスにも同乗しており、こちらが挨拶すると満面の笑みを浮かべて応えてくれた。この大菩薩に彼女が単独行で来ていることには驚いたが、かなり山慣れしている感じだった。一旦前に出た彼女を追うようなかたちで続いたが、ハイペースの我々に先を譲ってくれた。横を通り過ぎるとき、汗ばんだ彼女の強くそして優しい芳香を感じた。前に出て少し離れてもしばらくは余韻を引きずりながらの登りになった。彼女の残り香を許しを得ずに感じているのは罪なことのように思えた。雅美も私も硬派なので口には出さなかったが、春山を彩る素敵な一輪の花に出会えた瞬間だった。
そのうち上の方が明るくなってきて大菩薩峠らしき建物が見えてきた。前を行くご老人に「ここが大菩薩峠ですか?」と伺うと、「そうだよ。」と教えてくれた。当初予定よりも50分も早く大菩薩峠に到着した。かなりのハイペースだったことがわかる。中里介山の小説にもなった有名な峠だけに多くの登山者でごった返していた。風もなく穏やかな天候のもと、大菩薩峠の標識近くに陣取り、EPIガスバーナーで湯を沸かし味噌汁をつくり、持参した赤飯と合わせて昼食を摂った。先ほどの彼女も遅れて峠に着いたが、単独行なので話相手もいない様子で何となく物悲しげにも見えた。峠には1時間半ほど滞在したので当初予定とほぼ同時刻の出発となった。辺りを見回すとすでに彼女の姿はなかった。最後に見た寂しげな表情に、何か次善の行動を取れなかったのかと悔恨の思いを引きずりながら峠を後にした。
峠から少し登った場所に中里介山の文学碑はあった。峠の混雑ぶりはゴールデンウィーク中だけが理由ではなかった。『大菩薩峠』の作者中里介山にちなんだ介山祭が行われていたからだ。毎年4月29日に開催されるらしくたまたま遭遇したわけだ。遭難者の供養の一環として登山者に柏餅を配る団体の方々から我々も1つずついただいた。急登の先には岩の多いピーク、親不知の頭に出た。振り返ると大菩薩峠から一気に登ってきたことがわかる。すぐ先の広々とした賽の河原には避難小屋があり、そこからカヤトの尾根上を登り切ると展望の良い雷岩。そこから樹林帯に入り緩やかな道の先に、木々に囲まれた大菩薩嶺山頂があった。ちょうど我々が到着したと同時に出発しようとした親子が、鳴らしている携帯ラジオをそのまま置き去りしそうになり、傍らの老夫婦に呼び止めてられていた。「大菩薩嶺」と書かれた木製の看板の前で記念撮影。暖かいせいかレンズの周りに小さい虫が近寄り、追い払ってもなお群がり何度もやり直しで苦笑するしかなかった。
丸川峠への道は急下降の連続で、しかも木陰にはまだうっすら残雪があり、先に歩いた人たちによって踏み固められた雪に滑らないよう恐る恐るの歩きになった。また途中、突然の頭痛に襲われ、10分程度登山道脇で横になるハプニングも起きた。起き上がっても頭痛は回復しなかったが痛みに耐え下ると、草原状の明るく開けた丸川峠に着いた。峠の小休止ではチョコレートをかじり元気を取り戻した。この先は途中から比較的平坦な道になったが、今度は暑さとの闘いとなった。ところどころにある白樺の木は本来涼しさを感じさせてくれるはずだが暑いものは暑く視覚の効果はなし。やがて沢の音がしてくると水を求めて急ぎ歩いた。10分後にミゾ沢にぶつかり、火照った顔から両腕、両足までをクールダウンした。そのまま沢沿いを下り、車道まで来ると振り返りざまに今日歩いてきた大菩薩嶺の全容を望むことができた。晴れ渡り素晴らしい光景だった。バス停手前の雲峰寺に立ち寄った後、バスに乗りJR塩山駅へ向かった。雅美は駅前で土産を購入していたが、私は山梨の名産品試食コーナーでいくつかつまみ歩いた。
塩山駅の上り線ホームでは、地元の若者の集まりなのかクラッカーを鳴らし、特急あずさに乗る友人を見送っていた。我々はあずさの後の普通電車に乗車した。塩山を出発してしばらくは大菩薩嶺を眺め、笹子トンネルを過ぎると日は傾きはじめた。大月に着くころにはいつもより夕焼けが一段ときれいに見えた。車窓ごしに紅に染まった夕空を眺めつつ今日一日を振り返ると、何か大きな忘れ物をしてしまったのではないかと心から思うのだった。

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登った山

大菩薩嶺

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2,057m

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