行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
折立(07:40)・・・三角点(09:15)[休憩 9分]・・・太郎平小屋(11:49)[休憩 20分]・・・薬師峠(12:25)
【2日目】
薬師峠(05:41)・・・薬師岳山荘(07:08)[休憩 29分]・・・薬師岳(08:51)[休憩 14分]・・・北薬師岳(10:28)・・・間山(12:11)・・・スゴ乗越小屋(13:18)
【3日目】
スゴ乗越小屋(05:53)・・・越中沢岳(09:30)[休憩 12分]・・・五色ヶ原山荘(13:10)
【4日目】
五色ヶ原山荘(04:54)・・・ザラ峠(05:43)・・・南峰(09:20)・・・北峰・・・室堂ターミナル(10:20)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
前回(島々~折立)に続いてテント泊縦走の山旅。
●一日目 折立~薬師峠
前半の樹林帯の登りは雨の影響で滑り易くなっていた。森を抜けると曇り気味ながら一気に広がる景観に胸が躍る。
2週間前と比べてお花はほぼ終わりを迎えていた。一斉に開花しては虫たちが飛び交う高山の短い夏を惜しむ。虫が少なめなのはテント者には助かったが。明るい月夜、明日の好天に期待が高まる。
●二日目 薬師峠~薬師岳~スゴ乗越
最初は沢沿いの急登、やがて開けた場所に出ると木道のある薬師平である。ここで早くも眺望が広がり、池塘や高山植物も楽しめる。
薬師岳山荘で小休止、小屋内のトイレ利用は要300円。いよいよ山頂を目指す。もう隔てるものは何もなく、どこでも歩いて行けそうだが過去には遭難も起きており、無用な踏み荒しは避けて九十九折れの登山道をゆっくりと登って行く。最高の登山日和のなか北アルプス全体を見晴るかしながら高度を上げる。危険個所もなく、ここは北アルプスでいちばん登り易くて絶景が期待できる山かもしれない。山頂の祠に旅の安全を祈願する。見下ろすカールの全景に感嘆し、穏やかな緑の山々と鋭く切り立つ岩峰が隣り合わせる山岳風景を堪能。じっさい1時間も歩くとがらっと変わる箱庭的な景観は日本ならでは。
だが、ここからが核心部。北薬師岳へ続く稜線は切れ落ちたやせ尾根のアップダウンが続き、緊張を強いられる。予定通りヘルメットを装着して行く。富山県は山のグレーディングを公表していないが、薬師岳~浄土山間は所によりグレードCに相当する。
少しガスが出てきたが稜線歩きを満喫し、じょじょに高度を下げて樹林帯に入るとスゴ乗越小屋が見えてくる。大きな小屋が多い北アルプスで、これぞ山小屋という風情。ネパール風のスペシャルカレーをいただく。ここも新しくバイオトイレが導入され、テント泊も利用毎に要100円。
●三日目 スゴ乗越~五色ヶ原
実際のスゴ乗越は小屋から樹林帯を100m余り下った所にある。そこだけが露岩の広場となっており、深い山中にひとり佇む孤独を実感することができる。森林限界を超えたアルペンな岩山ばかりでなく、このような豊かな森を歩くことができるのも縦走ならでは。ここからスゴの頭までが急登だが、次の越中沢岳はさらなる急登。背中の重荷(別名ザック)が堪えるうえ、登山道が狭くすれ違いにも気を遣う。立山方面から南下してくる人たちと、ちょうどこのあたりですれ違うのだ。越中沢岳を超えると五色ヶ原はすぐそこに見える。ここまでとは打って変わって穏やかな高原の様相だが、霧が出ると迷いやすいため数ルートルごとにペンキマークがある。木道が現れたあたりから雨が降りはじめ五色ヶ原山荘に到着するも、残念ながら昼食営業は行っておらず、雨の中をとぼとぼと15分ほど離れたテント場へ向う。
旅の目的のひとつだった五色ヶ原でのキャンプだが、あいにくの天候で降ったり止んだりを繰り返しながら、ちょうど寝入った20時頃から猛烈な雷雨となる。雨粒がテントに叩きつけ、たちまち床下に水たまりができる。ゴーゴーという音がする。はじめはジェット機の音が雲間にこだましているのかと思ったが、すぐそこの橋もない沢が急流と化して轟音を立てているのだ。近くへの落雷こそなかったが、目を閉じていても稲妻が光るとドキドキする。と、ダブルウォールの内側に次々と水滴が浸み出している。外の換気口がきちんと閉じられてなかったのだ。水滴を雑巾で拭きとっては絞るを繰り返し、日付が変わる頃ようやく小康状態となり、静寂が訪れた。
●四日目 五色ヶ原~室堂バスターミナル
ヤマテンの予報では昼前後から風雨が強まり、翌日も荒天とのこと。雷鳥沢でもう一泊して八郎坂から下山の予定を、室堂までに変更。ほとんど眠れなかったが軽く朝食をとり4時前から撤収開始、夜明けを待って歩き出す。
[ザラ峠で歴史に思いを馳せる]
戦国時代の佐々成政「さらさら越え」、明治に入ってからの立山新道(針木古道)、越中と信濃を結ぶ数々の歴史の舞台となってきたザラ峠。そこに実際に立ってみるとその地形から成程と思う。一方、富山側の赤茶けた大規模な崩落跡を目の当たりにして、数十年前までは登山者で賑っていたであろう峠道、さらには立山カルデラの土石流災害など、けして悠久ではない変わりゆく大自然の姿にも思いを馳せる。
獅子岳には梯子・クサリ場あり、鬼岳東面の登山道上の雪渓はすでになくなっていた。このあたりから雨が激しくなり、カメラは仕舞って歩くことに専念する。ラスボスのような龍王岳を見上げる最後の登り、風雨は強まり時々顔を上げてはペンキマークを確認するのが精一杯。さすがに行き交う登山者もなく、同方向は二人、すれ違いはゼロ。獅子岳から前後するソロの方と声を掛け合うもフードに激しく当る雨音でよく聞き取れない。
ようやくの思いで浄土山南峰にたどり着く。北峰を経て室堂平へ至るルートはけっこうな急坂とよく滑る岩の連続。室堂方面から雨中の散策に来ては引き返す人たちも。室堂平の遊歩道まで来ると台風並みの暴風雨、ビニール合羽の観光客が風に煽られてキャッキャとはしゃぐのを横目に、ずぶ濡れのままターミナルに駆け込んだ。こうして4日間の旅は終った。後日判明したのだが八郎坂は土砂崩れのため24日時点で通行止めとなっている。強行しなくてよかった。
フォトギャラリー:36枚
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
登山靴 | バックパック | スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
傘 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス | 着替え |
地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | カメラ | 登山計画書(控え) | 修理用具 |
健康保険証 | ホイッスル | 医療品 | 虫除け | 熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー |
非常食 | 行動食 | テーピングテープ | トレッキングポール | 燃料 | カップ |
クッカー | |||||
【その他】 ヘルメット |