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紅葉と落ち葉の絨毯 鈴鹿の奥座敷イブネを巡る

武平峠、三人山、東雨乞岳、雨乞岳、イブネ、クラシ、国見峠、御在所岳( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 4人 (Yamakaeru さん 、ほか3名)

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 武平トンネル西駐車場を目指す。実際には、そこから滋賀県側に300mほど下った駐車場を利用。鈴鹿スカイラインの武平峠(武平トンネル)が目印。トイレはなし。御在所岳の近くにはコンビニはないので、山に近づく前に買い物やトイレを済ませておくことをお勧めする。

この登山記録の行程

武平トンネル付近の駐車場(07:28)・・・登山口(07:32)・・・沢谷峠(07:58)・・・三人山・・・東雨乞岳(09:11)・・・雨乞岳(09:21)・・・杉峠(09:48)・・・イブネ(10:18)・・・イブネ北端(10:26)・・・クラシ(10:34)・・・イブネ(10:50)(昼食~11:34)・・・杉峠・・・<千草街道>・・・コクイ谷出合・・・国見峠・・・御在所岳(14:22)・・・武平峠・・・武平トンネル付近の駐車場(15:20)

コース

総距離
約16.3km
累積標高差
上り約1,598m
下り約1,598m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

もし、自分が深田久弥だったら、きっと鈴鹿山系の一つを百名山に選んでいたと思う。それくらい鈴鹿山系を愛してやまない。また、それだけ魅力溢れる山がいっぱいあり、それぞれにユニークな特徴があって変化に富んでいるのが素晴らしい。とりわけ今回の目的地、イブネとクラシは大のお気に入り。最近では、鈴鹿の奥座敷とか鈴鹿の雲の平ともか呼ばれている。雲の平かどうかは別として、逆に無理に例えなくても、十分、ブランド力を持った素敵な場所だ。
山仲間と合流して鈴鹿山系へと車を走らせる。御在所岳と鎌ヶ岳の間にある武平峠のトンネルを、少し滋賀側に下ったところにある駐車場に車を停め、そこを起点に大きく円を描きながら周遊する予定。
トンネル付近には小さい駐車場が幾つか点在しているが、御在所岳や鎌ヶ岳の起点にもなるのですぐにいっぱいになる。鈴鹿スカイラインは路駐禁止で取り締まりもされているので、早めに来て駐車場を確保することをお勧めする。
駐車場から少し降ったところにある登山口からアプローチを開始する。まずは三人山経由で東雨乞岳を目指す。いざ行かんと元気よく踏み込んだものの、いきなり道を見失ってしまった。この季節にもなると下草もなく歩きやすいので、そのまま気にせず直登していく。きっとそのうち登山道に合流するだろう。
かなり強引に斜面を登り登山道に合流。雪面でもないのにキックステップを使うとは思わなかった。登山道に入ると、もう快適。水平に森を抜けていくようなコースが続く。
もう遅いとあきらめていたが、所々に赤や黄色に染まった樹々が目を楽しませてくれる。尾根を登っている時に、特徴的な鎌ヶ岳とそこから連なる峰々のシルエットが横手に見えた。ギザギザとまるで鋸の歯のよう。鎌尾根か。
いつ三人山を過ぎたのか、気がついたら大きな斜面の前に立っていた。あまりにも縦走が気持ち良くて、あっという間に東雨乞岳にたどり着ていたようだ。真正面に実に挑戦的な斜面が空の方まで延びている。ここ最近運動不足が続いていたので望むところ。ガツガツと一気に登ってやる。
少し肌寒いが、風が汗を拭ってくれて心地よい。一定のテンポを保って軽快に登っていく。笹の原っぱへと植生が変わり一気に視界が開けた。空と境界を争うように広がる笹の原っぱ。その中を1本の道が延びている。テンションMAX。
笹の原っぱの頂点に登りきった時、東雨乞岳と書かれた看板が目に飛び込んできた。久しぶりと看板にご挨拶。山頂は360度の眺望。御在所岳の頂もよく見えている。ゆっくり眺望を楽しみたかったが、山頂は尋常じゃないくらい風が強い。冷たい風が半端なく、顔も上げていられないほどだったので、早々にお隣の雨乞岳へと向かう。
身体がすっぽりと埋まってしまいそうな笹の中を進む。小高いところから振り返ると、笹の草原のだらかな斜面が海のように美しくうねっている。2,000m級の山を歩いているような感覚だ。
雨乞岳の山頂からは綿向の頂にある大きなケルンがはっきりと見えた。今日の天気なら十分もピストンも可能かと、気持ちがよくて見ているだけで、どこまでも歩いて行けそうな気分になる。
雨乞岳からは一旦、大きく降って杉峠へと向かう。特に杉峠手前は、急斜面でザレているので滑らないよう注意が必要だ。
一方、杉峠からイブネまでは緩やかなアップダウンで、素敵な縦走路が待っている。尾根というより広い森の中を歩いているようで解放感がたまらない。
最後の丘を登りきると、鈴鹿の奥座敷イブネの摩訶不思議な風景が広がっている。緑のコケが絨毯のように埋め尽くされていて、ビロードの中を歩いていくよう。毎回、日本庭園のようだと表現するが、緻密に設計されたかのような奇跡の風景を見るたびに、特別な場所にやってきたと実感する。こんな素敵な場所があることを日本中の登山者に知ってもらいたいと思う反面、そっと大事に見守ってあげたいとも思う。
いつものようにクラシまで行き、戻ってきて少し早めのお昼ご飯とする。イブネは風が強い場所なので、樹木の陰に場所を確保する。今日は、先輩がTVで感銘したというカップうどん「赤いきつね」の美味しい食べ方を再現してくれるとか。カップにお湯をそそぐのではなく、鍋でうどんを煮込み煮込み汁とともにカップに戻す作り方らしい。確かに、直接煮込むと麺が透き通って弾力が増す。また、煮込んだスープがトロミたっぷりで、カップ麺とは思えない高級感が出てくる。今度、自分もどこかでやってみよう。
さて、食事を終えて登山再開。円を描くように時計回りでやってきたので、その円を完成させるべく今度は御在所方面へと向かう。イブネから直接尾根伝いで降りることもできるが、一部荒れているので一旦、杉峠まで戻って千草越えの旧道「千草街道」を使って根の平峠方面へと向かうことにする。
今回のコースはどこを歩いてもお勧めだが、個人的には杉峠からコクイ谷出合までが特に気に入っている。歴史を感じつつ、森の中をハイキングしているようなコースでとても歩きやい。沢を何度か渡渉するが、それほど危険な場所もない。峠から降って標高を下げ谷合を進むことから、紅葉が真っ盛りの場所もあって落ち葉を「サクッ、サクッ」と踏みしめながら、秋を感じることができて最高だった。
歩きながら、古道として使われていた昔に想いを走らせる。一日、どれだけの人がここを歩いたのだろうか。千草街道と言えば、織田信長。越前侵攻の際、浅井長政の離反を受けて、体制を整えるべく一旦本拠の岐阜に戻るために千草街道を使った。その時、杉峠から滋賀県側にある「杉谷善住坊のかくれ岩」と呼ばれる場所で、2発の狙撃によりかすり傷を受ける。その場所から杉峠までは約2時間。まさに今歩いているところは狙撃を受けて数時間しか経っていない直後の場所となる。その時の信長はどんな思いだったのだろうか。一度あったなら、二度目の待ち伏せがあってもおかしくはない。守りも薄く、逃げ場のない山道で、緊張の中、命を懸けて歩いていたに違いない。そんなことを想いながら歩くと、苦手だった歴史も楽しく思えてくる。
大きな沢を渡渉してコクイ谷出合へ到着。ここで時計と地図を見ながら相談。少々荒れているが、クラ谷・沢谷峠方面へ最短で戻るルートがある。一方、御在所岳に登って戻るコースもある。こういった時、心強いのはさすが我ら最強の山仲間。ここまで歩いてきた距離も気にせず、更に遠回りで且つもう一つ山を登らなければいけない御在所岳方面のコースを躊躇せずに選択する。気分が乗っていたので、その選択に大賛成。
根の平峠方面へと向かう途中で分岐して小さな沢に沿って国見峠へと進んでいく。国見峠へのルートは少し荒れているが、目印はしっかりしているので見落とさないよう注意して進めば問題はない。ちょうど一年前にも同じルートを歩いたが、思っていた以上にルートをよく覚えていた。
沢の突き当りにある藪を抜けると笹の草原に出る。国見峠へ到着。恐竜の頭のような大きな岩が目印だ。正確に言うと峠はもう200m程先にあるが、ここから涸れ沢沿いに御在所岳の山頂へと直登できる。岩がゴロゴロして登りづらいが、山頂まで最短で行けるため、お勧めだ。
山頂に到着すると、いつもながら多くの観光客であふれていた。登山の恰好が不釣り合いなくらいなので、遠慮気味に登頂の記念撮影だけして早々に山頂を去る。
折角なので望湖台にも立ち寄る。本当の山頂と呼ばれているところで標高もこちらの方が若干高く、岩の上に立つと鈴鹿の山々や琵琶湖方面がよく見渡せる。実際に今日歩いた場所を目で追ってみると、雨乞岳からイブネ、クラシとぐるりと円を描くように歩いてきたのが分かる。なかなかの達成感だ。
降りは、鎌ヶ岳方面へと降り峠から武平トンネルの脇へと下山して、駐車場へと戻る。晩秋の一日、温かい陽射しにも恵まれて、仲間と思いっきり遊んだ大満足の一日でした。

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装備・携行品

みんなのコメント

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  • 信長も急登好きだったかなぁ

  • それはもう絶対に好きだったでしょうね。
    急登ハンターです。 :)

  • 久々に4人でいっぱい歩いて楽しかったです。これから雪山シーズン楽しみです(^.^)

  • 12月のダイトレも楽しみにしてます。
    今日見せて頂いた金剛山のシルエットを見ただけで、ワクワクものですね。

登った山

御在所岳

御在所岳

1,212m

雨乞岳

雨乞岳

1,238m

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