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(マミ谷右岸尾根)高丸山(イモリ谷左岸尾根)ワンデイハイク

マミ谷、マミ谷右岸尾根、ツバノ尾根、高丸山、イモリ谷、イモリ谷左岸尾根、唐松谷、唐松谷林道、日原( 関東)

パーティ: 1人 (加藤キーチ(モンターニャ) さん )

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行程・コース

天候

曇天、日が差したりガスったり。やや風あり。

登山口へのアクセス

その他: 立川駅近くのネットカフェに前泊。
行き、
立川駅04:47から乗り継いで06:54東日原バス停
帰り、
東日原バス停16:17から乗り継いで19:00新宿駅

この登山記録の行程

※スマホのGPS機能が変調です。Huawei製スマホは省電力機能を優先するあまりバックグラウンドで動作する登山用GPSアプリと相性が良くないようです。ログの精度は著しく低下しています。
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(丸ガッコは地理院地図の表記)
07:00~東日原バス停スタート
08:28~富田新道・唐松谷方面分岐(日原林道から唐松谷への下降点)~08:32
08:42~唐松谷渡渉点~08:54
09:03~桧尾小屋跡
09:07~マミ谷(唐松谷東隣、高丸山に突き上げる)渡渉と右岸尾根へ取り付き~09:10
09:44~標高1050m付近
10:09~標高1300m付近
10:28~標高1490m付近、ツバノ尾根(日原川~P1399)と合わさる
10:50~高丸山~10:55
11:16~石尾根からイモリ谷左岸尾根への下降地点(千本ツツジの次のピーク)
11:32~標高1550m付近
11:46~(P1394)
12:03~唐松谷(左)とイモリ谷(右)を見下ろす地点、標高1220m、出合いまで70m
12:32~出合いに下りる~12:50
13:15~唐松谷林道に上がる
13:34~富田新道分岐
13:52~日原林道に上がる
15:16~東日原バス停フィニッシュ

コース

総距離
約22.7km
累積標高差
上り約2,816m
下り約2,816m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

前々週に続き「最後までヒリヒリしっぱなしのハイキング」を試みたが、やりすぎた。なんとか自力で帰って来たものの「他人に迷惑をかける」ぎりぎりのラインをかろうじてこちら側に踏みとどまった、という程度のお粗末な内容だった。猛省する。
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● 登ったマミ谷右岸尾根、降ったイモリ谷左岸尾根、ともに吉備人出版の「奥多摩登山詳細図」に掲載のないオフトレイル(=バリエーション)です。くわえてヤマレコの「みんなの足跡」でもドットはつきません。
眺望を求めて登る、植物を観察しながら歩く、仲間とのおしゃべりを楽しむ。ハイキングのスタイルはハイカーの数だけあるかと思います。難しいルートを選びチャレンジするのはひとつの嗜好であり、他人の嗜好に引っ張られる必要はありません。用がなければすみやかにこのページを閉じていただくようお願いします。
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○ 概略
マミ谷右岸尾根を登る~ミスの許されない下部急斜面はツバノ尾根と同様に難しかった。
イモリ谷左岸尾根を降る~イモリ谷の出合いへ降りる最後50mの急斜面が危険。対岸を唐松谷林道へ上がる急斜面はさらに危険。愚かな記録者は初見のルートを道具モタズで歩いたが、ここは準備が必要、つまりハイカーの領域の外だと思う。
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○ マミ谷右岸尾根
日原林道から下降し唐松橋で日原川を渡る。「富田新道・唐松谷方面は右へ」の道標を直進し、唐松谷左岸に下り渡渉点を探す。早朝まで降り続いた雨のせいで水量やや多く手間どった。桧尾小屋跡からマミ谷への下降も踏み跡あり。マミ谷は幅も水量もなく渡るのに問題はなさそう、その前に尾根を観察して下調べの机上演習と照らし合わせてみる。
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地形図では西(正面)のマミ谷寄りは等高線が狭く、東(反対側)に回りこめばややゆるむ。下部を東へトラバースする誘惑と戦いつつ、目の前の急斜面にそれなりのルートが見えたつもりになり、とりかかる(写真7)。
右の眼下につねにマミ谷を眺めながら木の根を頼りに登る。根っこを求めて九十九に高度を稼ぐ道中は、踏み跡とは呼べないまでも人が通過した痕跡があるように感じられた。木の根が途切れればピッタリと立派な倒木があらわれる(写真9)。石や岩をつかんだ記憶はほとんどない。登りはじめて30分、標高1020mで危険地帯は脱した(写真11)。まだ四つ足からは解放されないが。
本来はザレているだろう斜面が、降雨後とあってやや締まっていたのは助かった。いっぽう木の根は滑りやすく、得失相半ばというところか。
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地形図のとおり尾根はやや複雑、降りなら簡単に間違いそうな地形は登りでも単純に歩けばすむものではない。進行方向を確かめつつ、曇天なのに明るい尾根を歩くのはすばらしく楽しかった。
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(参考)
20210609 桧尾根
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=221999
20201206 ツバノ尾根
https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=210149
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○ イモリ谷左岸尾根
石尾根の、千本ツツジの次のピークが尾根の下降地点にあたる。
下りはじめは尾根の幅があり茫としており、傾斜もゆるい。テープ・標識・標石類はみかけなかったが、倒木を踏みこえた痕跡はあったような気がする。標高1550m付近から斜面が急になり、尾根も狭くなってゆく。ヤセてはいない。
やがて唐松谷とイモリ谷を左右に見下ろすあたりから傾斜がどんどんキツくなる。腰をおとして木の根をつかまえたり・後ろ向きになって出合いに下降しているころには唐松谷の対岸(左岸)が見渡せるのだが、こりゃあムリかもしれないな、と思う。傾斜が予想以上なのだ。登れなければ唐松谷林道に上がれない。一服しながらデッドラインを13時半に決める。それまでに谷から出られないようなら尾根を引き返す。
出合いまでの100メートルの危険度はツバノやマミ右岸下部の急斜面を降るかのようだ。木の根を探し、掘り当て、イモリ谷寄りに慎重に降った。
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12時半、なんとか出合いに降りる。まず、振り返って下降してきたルートを頭にたたきこんでおく。対岸にとりつけません、下りてきたルートも登り返せません、では話にならない。
それから「渡渉」なんてものはあきらめることにし、シューズのままザブザブ流れの中に入る。脛まで流れに洗われながら水をすくって喉をうるおし、気を落ち着けるために一服する。喫煙具はvapeだから、火もつかなければ煙もでなければ吸殻も残らない。しばらく蒸気を吸い吐き出し、周囲を眺め、その景観と雰囲気に魅了される。もしかしたらこの狭い渓谷に閉じこめられるかもしれないのに。
https://youtu.be/O8APLB-NwIA
(最初と最後に写るのが降りてきたイモリ谷左岸尾根)
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12時40分、偵察に動く。唐松谷を数十メートル、ランニングシューズでは登る気にならない小滝まで上がってみるが、右手(左岸)にとっかかりは全然ない。上流は壁のようだった。次に下流方向。出合いから250m降った地点で野陣尾根が南に少し張りだしており、等高線の間隔も余裕がある。机上演習では唐松谷林道への登り返し有力候補だな、としていた。ところが向かう途中で谷は幅を狭め、見える範囲で三連の小滝になっている。飛び込める高さだが沈んだときは腰上だろう。あきらめて引き返す。
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出合いまで戻り正面のルンゼ状を眺める。出合いに下りたときから気づいていたが、「弱点」といえばここくらいしかない。いわゆる泥と小石と落ち葉のルンゼ、傾斜は相当ある。立ち木はなし、ということは根っこも望み薄、両側の岩がどれだけしっかりしているかは不明。手を突っ込み足を蹴りこみ、岩につかまりながら……あそこまで上がれれば、傾斜はゆるむ。
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十分に観察してからルンゼに取り付いた。湿った土と落ち葉が味方になってくれたようだ。乾いていたら全然ダメだっただろう。岩は崩れたりはがれたりしっかりしていたり、探れば伸びた木の根に当たることもあった。少しでも傾斜をゆるめるために狭いルンゼのなかを右にゆき左にゆき、少しずつ高度を上げ、安全地帯に抜けることができた。
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○エピローグ
計画ではそのあと唐松谷林道を下り、分岐から富田新道を上がりなおし、野陣尾根のP1708からゴンエ谷右岸尾根を大雲取谷に下降するつもりだった。P1708のデッドエンドが13時45分、17時台のバスで帰るプランだ。
13時半に富田新道分岐に着いたとき、19時近い終バスもあるし押してみようかと考え光の速度で却下した。
あんたはこれから長い林道を反省しながら歩くべきだろう。
反対する声はあがってこなかった。
うつむきながらとぼとぼ歩き、みっともないなと思う。誰が見ているわけでもないのに。うつむきながら、とぼとぼと。。。

ふいに、ジーノ・パオリの歌が流れてきた。30のとき拳銃自殺を計るもどうしたことか致命傷にならず、心臓付近に残った弾を取り出すのはリスクが大きすぎるから、86になる今日まで弾を埋めたまま歌い続けている。

しばらく人に会う気がしなかった
「もううんざりだ」って言いたくなかったから
しばらく出歩かなかった
うつむいて周囲と目をあわさない
表情を見られないように
ずっと希望がもてなかったのに きみと出会って
.
ほほえみでぼくをこの世に引き戻してくれた
ただほほえみだけで
ぜんぜん予期しなかったほほえみで
見返りを求めないほほえみで
ぼくは座りこみ涙を使い果たした
泣きに泣いた

メロディーをえんえんと口ずさみ、うつむいて歩く。面の皮が厚いこっちは全然泣けなかったのだが。
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https://youtu.be/YW9rkZhlkcI
『無償のほほえみ』ジーノ・パオリ、1991年。
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(了)
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(追記)
もちろん先行者の記録はある。奥多摩オフトレイルを歩くなら自然とたどりつく『花のひかり』。私見だが、この人の後を追いかけるのは危険だ。
マミ谷右岸尾根~
https://yamaarchive.web.fc2.com/2003.11.22.htm
イモリ谷左岸尾根~
https://komado.tea-nifty.com/blog/2014/11/post-9bef.html

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フォトギャラリー:48枚

1.
東日原バス停。珍しくグズグズせずに歩き出すが、それでも最後尾。

2.

3.
林道から唐松谷への下降点、自転車はよく見るがついにキックボード。近々電動にお目にかかるんだろう。振り返って。

4.
唐松橋と唐松谷、水量多め。

5.
唐松谷を渡渉する。先々週桧尾根を歩いたときのようにスムーズに行かず、奥の倒木を利用した。

6.
いったん桧尾根を桧尾小屋跡まで登る。左方に踏み跡、マミ谷へ降りる。

7.
細い流れのマミ谷と右岸尾根。傾斜がゆるい「かもしれない」向こう側=東にまわろうか迷ったが、写真正面を右上に上がった。

8.
基本は木の根、ときどき潅木につかまって。振り返って。

9.
この倒木はありがたかった。おなじく。

10.
おなじく。

11.
とりあえず危険地帯は脱出。まだ四つ足だが。

12.
傾斜が落ち着いて、尾根の風景。

13.
おなじく

14.
おなじく、振り返って。

15.
左側=東をツバノ尾根が上がってきた。

16.
ツバノ尾根との合流点、都水道局の標石あり、振り返って。

17.
高丸山へ上がった。

18.
千本ツツジ。

19.
千本ツツジの次のピークからイモリ谷左岸尾根の下降をはじめる。
林班界標識があるということは、この尾根も巡視で歩いているのだろうか。

20.
降りはじめ。広く緩い。振り返って。

21.

22.
標高1550m付近、進路と平行な大きな倒木を過ぎると傾斜が増す。

23.
だんだん細く。

24.

25.
尾根末端部まで岩や崖で危険、という場所はなかった。振り返って。

26.

27.
こういう場所はのんびりしたいが。
振り返って。

28.
出合いはまだ見えないが、左に唐松谷を見下ろす。深い。

29.
同時に右のイモリ谷も。こちらのほうがまだ緩い。

30.
イモリ谷を観察しながら下降する。

31.
が、結局出合いを見下ろす尾根末端までまっすぐ来てしまった。ここからがたいへん。

32.
四苦八苦しながら出合いに降りたところ。下流方向。

33.
降った尾根を振り返って。

34.
前の写真を撮ったときに気づいたが、倒れた標識あり。望遠で撮らず近づいて確認すればよかったな。

35.
唐松谷。

36.
写真は飛んでいる。
「泥と落ち葉のルンゼ」を上がり、ある程度目安がついたところで下方を撮影。

37.
ありがたかった木の根。

38.
人心地がついたあたり。

39.
唐松谷林道。

40.

41.
爪の泥は2日たってようやく落ちた。

42.

43.
桟道はどれも蝋を塗ったみたいに滑った。脇を歩く。

44.
富田新道と出合う。

45.
振り返って。

46.

47.
唐松橋に戻る。

48.
キックボードは消えていた。

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装備・携行品

【その他】 ラ・スポルティーバのアキラ。タイツにモンベルのショートパンツ。終始モンベルのメリノウール1枚、ペツルのヘルメット、ブラックダイヤモンドのハーフフィンガーグローブ。ザックはフェリーノの17リッターにヘッドランプ・スマホ(カメラ+GPS)・バッテリー充電器と予備電池・雨具・ロールペーパー・エマージェンシーシュラフ。キャメルバックのハイドレーション2L・調理パンみっつ・非常食。スタート時重量5.0kg。

みんなのコメント

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  • 初めまして 時々アップされる奥多摩の記録懐かしく拝見させていただいています。
    今では 奥多摩の主をはじめ 奥多摩を好んで歩いていいた人たちが随分様変わり
    して来たように感じています。その中で 長くコマドさんは元気に歩かれていて
    記録を参考にされる方もいらっしゃいますが 彼の記録は後追いすると 痛い目に
    あう確率が高いと思います。現実に何人か 手ひどい目にあった方も知っています。
    亡くなられた方もいらっしゃいます。無理のない範囲参考にされると良いと思います。
    M氏も元気そうで 最近は中央線の方にも行かれているようですね。

  • いっきさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
    コマドさんの記録は植生など随筆的な要素にカモフラージュされて緊迫感が少ない文章ですから(笑)、現場に踏み込んでみるとギャップが大きく戸惑います。その点に気づけると良いのですが、そうでないと……困ったことになりそうですね。亡くなったかたもいるという話、聞いています。
    別のハイカーなんですが、非常に難度の高いところを「カンタンでした」「快適なハイキングでした」。山の記録の残し方はつくづく難しいとさいきん考えるようになりました。ネットの情報を頼りに登り始めるビギナーが増えている(だろう)ことを考慮すると、なおさらです。
    今のところ、思い切り引き気味に「ここは危ないぞ~」「これだけ歩けないと無理だぞ~ここは」ってやってますが、それが良いのかどうか。試行錯誤が続きそうです。

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