行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
矢祭町茗荷(みょうが)を目指す。バス停「真菜畑」から茗荷林道を進む。舗装区間は2km程度。今回は民家の手前にあった待避所(5台ほどの駐車スペース)を利用。前回は、さらに未舗装3kmほど進んだ突き当りにゲート封鎖された場所があり、その手前の駐車スペースを利用したが、今現在、伐採作業中で「駐車しないで」との張り紙があった。
この登山記録の行程
待避所(07:40)・・・林道奥のゲート(08:27)・・・登山口・八溝山看板(09:21)・・・八溝山・展望台(10:22)(昼食~11:05)・・・登山口・八溝山看板・・・林道奥のゲート・・・待機所(13:20)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
夏のパトロール。
そろそろ元気に咲いている頃だろうと、パトロールに出かけることにする。
目的は「森の妖精」と呼ばれる「レンゲショウマ」。
前に書いた文章をそのまま引用してみる。
漢字で書くと「蓮華升麻」。蓮華のような花に、サラシナショウマのような葉を持つことから名付けられた1属1種の日本固有の花。レンゲショウマ。
森の貴婦人と言えばオオヤマレンゲ。緑の中にあって純白のその花はまさしく貴婦人にふさわしい。しかし、個人的に貴婦人をイメージする花が他に2つある。一つは山芍薬(ヤマシャクヤク)。そしてもう一つがこのレンゲショウマ。どれも凛と咲いていて、同時にたおやかさと清楚感をあわせ持っている。森で出会った時の感動は言葉に表せない。レンゲショウマを擬人化して貴婦人と呼んだが、一般的には「森の妖精」とか「妖精のランタン」と呼ばれている。自生している姿はまさに奇跡と言える。最近では、その貴重な花の盗掘が問題になっている。盗掘は言語道断。一人でも多くの人に楽しみつつその保護の大切さを理解してもらうために、鑑賞の際にも踏み荒らすことなく注意して欲しいいものだ。
今回も、レンゲショウマを愛でに出発するが、実はこのコース、大好きなキツネノカミソリを筆頭に、夏の珍しい花で溢れている。なによりタマアジサイが豊富で、歩いている間、ずーっと淡い青紫したタマアジサイの花が目を楽しませてくれる。そんなところから、「タマアジサイロード」と勝手に呼んでいる。ただ、死ぬほど虫が多いので、苦手な方はしっかり防虫対策をされた方がよい。
なるべく距離を歩きたいと思ったので、ずいぶん手前に車を停めて、林道をゆっくり登っていく。
早速、タマアジサイが出迎えてくれる。名前の通り、直径2cm程の真ん丸の蕾が沢山ついている。タマアジサイは、打ち上げ花火をそのまま花にしたようだと思うのは自分だけだろうか。芸術的なこの花が大好きだ。真ん丸の蕾が、やがて時を迎えると天空で花火の大玉が破裂したかのように「パカッ」と割れて、中から青紫をぎゅっと凝縮した紫陽花の花が現れる。そこから空いっぱいに花火が広がっていく様をスローモーションで再現するかのように紫陽花が花開いていく。とてもドラマティックな咲き方をする花だ。
鮮やかなオレンジ色が目に飛び込んできた。遠目から見てもよく分かる、キツネノカミソリ。オオキツネノカミソリという種もあるが、これは普通のサイズ。細い花びらが剃刀に見える。地元では深田久弥も愛した文殊山でよく見かけた。元気の出るオレンジに、愛らしい名前。これも好きな花のひとつだ。
以前、駐車した林道奥の通行止めゲートのところに「伐採作業中につき、駐車禁止」と張り紙があった。「関係者以外、進入禁止」ともあったが、休日だからか作業をしている様子はなかったので、そのまま通過させてもらう。
中に入ると、大型の重機が何台も停まっていた。激しく行き交うためか、林道の路面が泥でぐちゃぐちゃになっていた。高く積み上げられた伐採後の木材。山を守るための大事な作業ではあるが、小さな花が踏みつぶされてしまわないかと心配になった。
木漏れ日の中、ボーっと白く浮かび上がるように、レンゲショウマが一凛咲いていた。
駆け寄ると他にも数輪。これから開花の準備をしている蕾も沢山ついていた。
今年も咲いていてくれたと、一年ぶりの再会に嬉しくなる。
会津磐梯山で見たミヤマオダマキもそうだが、品種改良してきた鑑賞用の花にも遜色ない、というかむしろ完璧な美しさを誇る優しい色&フォルム。こんな花が自然界に咲いているというだけで奇跡と言える。どうか来年も再来年も、末永く咲き続いて欲しいものだ。
林道の終端へ到着。
スタート時点から終始アブに纏わりつかれて今もブンブンと周囲を飛び交っている。既に数か所刺されてとても痒い。虫さえいなければ本当に良いところなのに。。。
福島県側から登る登山者は圧倒的に少ないようで、ここから八溝山へのルートは少々道が荒れている。初めての方は注意が必要だ。
看板に導かれるままに草をかき分け踏み入っていく。踏み入ってから、そういえば本当の入口は、看板手前左側だったと、前回も踏み込むなり迷ってしまったことを思い出す。
登山入口に目印を設置しておかないと、100%自分のように間違うだろうに。
戻ろうかとも思ったが、面倒だったので、左側の斜面を登り強引に登山道に合流する。
道は荒れているものの、一定間隔で設置されている赤いテープをしっかりフォローすれば、道に迷うことは無い。沢を何度か行ったり来たりと渡渉しながら、やがて左へと折れて尾根の一つから八溝山へと登っていく。尾根は少し登ると緩やかになり、軽いアップダウンを繰り返しながら山頂へと延びていく。
一面、笹の原。笹についた露で靴とパンツがしっとりと濡れてしまった。出る際に一度履いた半ズボンから履き替えたが、足元までカバーしておいて正解だった。
笹をかき分けるのに飽きた頃、行く手前方に車の影が見えた。森の中に車。一瞬びっくりするが。八溝山は山頂まで車道が通っていて気軽に観光客も訪れることができる。登山をする者にとって頂で車を見かけるものほど興ざめなことはないが、それだけ多くの人が訪れたくなる良い山という証拠とも言える。
車道を横切り山頂の展望台へと向かう。
八溝山にはお城の形をしたユニークな展望台がある。結構な高さがあるので、上から眺める景色は抜群。条件さえ良ければ栃木の山々まで見渡せることができる。また、風通しが良いので、大汗をかいた身体をクールダウンするにはもってこいの場所だ。
少し早いがベンチに座って昼食をとる。暑くても食べられるようコンビニで買った冷やし中華。先日の月山でも同じ選択だったが、夏はやはり汁物が有難い。
もう一度、周囲の山々を眺めて、下山の途につく。
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