行程・コース
天候
1日目 雨後くもり 2日目 晴れ後くもり 3日目 晴れ後くもり 4日目 朝のみ晴れ 5日目 晴れ 6日目 晴れ
登山口へのアクセス
バス
その他:
立山駅から称名滝行きバス。展望ベンチまでは坂を30分ほど登る。
この登山記録の行程
1日目
称名滝バス停(08:58)・・・大日岳登山口(09:12)・・・猿ガ馬場(10:19)・・・牛首(10:41)・・・大日平山荘(11:48/12:08)・・・大日小屋(15:16)
2日目
大日小屋(05:32)・・・大日岳(05:46)・・・大日小屋(06:03/06:23)・・・奥大日岳(08:44/08:58)・・・新室堂乗越(10:37)・・・別山乗越(11:58/12:13)・・・剱沢キャンプ場(12:45)
3日目
剱沢キャンプ場(05:28)・・・別山乗越(06:16)・・・別山(06:49)・・・別山北峰(06:54)・・・真砂岳(07:58)・・・富士ノ折立(08:42)・・・大汝山・・・雄山・・・一ノ越(10:11/10:27)・・・東一ノ越(11:19/11:27)・・・黒部平(13:54)・・・ロッジくろよん(14:45)・・・黒部湖キャンプ場(14:49)
4日目
黒部湖キャンプ場(05:12)・・・平ノ小屋(09:35/10:05)・・・刈安峠(11:54)・・・木道末端(14:03)・・・五色ヶ原キャンプ場(14:32)
5日目
五色ヶ原キャンプ場(06:31)・・・五色ヶ原山荘(06:50)・・・ザラ峠(07:30)・・・獅子岳(08:42/08:58)・・・龍王岳(11:15)・・・浄土山(富山大研究所前)(11:31/11:40)・・・一ノ越(12:10)・・・室堂山荘(12:57/休憩)・・・玉殿岩屋(14:21)・・・雷鳥沢キャンプ場(15:45)
6日目
雷鳥沢キャンプ場(05:44)・・・玉殿湧水(07:03)・・・天狗平山荘(07:54)・・・弥陀ヶ原(09:29)・・・弘法(10:43)・・・八郎坂下山口(11:10)・・・八郎坂登山口(12:58)・・・称名滝展望台(13:10)・・・称名滝バス停(13:52)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
テント泊縦走で二年ぶりの北アルプスへ。登頂よりも歩くルートにこだわった5泊6日の山の旅。
1日目 称名滝バス停~大日平~大日小屋
立山駅では土砂降り、称名滝バス停の休憩舎で雨具を装着し、6日間の旅が始まる。猿ガ馬場のベンチを過ぎると牛首のクサリ場が二ヶ所ある。その前後のクサリがない所の方が痩せ尾根で要注意。木道に出ると視界が開け、大日平山荘へと静かな湿原を進んで行く。木道が終わると沢道となり、雨は上がっても風が通らず蒸し暑い。何度か渡渉を繰り返し、高度を上げて行くのに景色があまり変わらない。きょう泊まる大日小屋は稜線にあるので、森林限界を越えれば近いと思うもなかなか越えられない。ようやく建物が見えたと思ったら大日岳との鞍部に出た。山頂は雲の中、登頂は明朝することに。
客室二間と食堂のこじんまりとした大日小屋、この日は半分弱の入りで、寝床は好きな場所をと。ウェブ予約での定員は従来と同数に設定され、感染対策として一人分ずつに間仕切りカーテンが取り付けられている。寝具は敷布団と封筒型の寝袋、毛布があり、枕は(見当たら)なかった。濡れた雨具等を干して、ランプのラウンジで熱いコーヒーをいただき、初日にして登り1500メートルの疲れを癒す。17時半からの夕食ではご飯とみそ汁はお代わり可。日没頃には剱岳にかかっていた雲がとれ、みんな窓を開けたり外に出て(風が冷たい!!)見入っていた。
2日目 大日小屋~大日岳~奥大日岳~剱沢キャンプ場
朝食はお弁当(ちまき3コにおかず3品と梅干し)、大日小屋には飲料水がなく、食事時以外はペットボトルを購入しなくてはならない。中身をマイボトルに移して空ボトルはお返しした。小屋から大日岳山頂までは15分ほど。雪渓を踏まずに行ける登山道が付いている。大日尾根は雪庇が出来やすく、安易に乗ると崩れるおそれがある。小屋にもどってザックを担ぎ、中大日岳へと登って行く。七福園と地図に記された辺りは自然がつくった日本庭園の様相。右手に弥陀ヶ原を見下ろしながら高山植物の花咲く稜線を歩いて行けば、今年もアルプスに帰ってこれたという爽快な気分になる。
奥大日岳の山頂(登れる方)は縦走路から少しはずれており、反対から来た人に言われなければ通り過ぎてしまうところだった。立山室堂方面に眺望が開け、やがて眼下に地獄谷が現れる。あいにく北側の剱岳だけが雲に覆われている。雷鳥沢との分岐である新室堂乗越を過ぎると別山乗越まで九十九折れのつらい急坂が続く。それでも雷鳥坂よりはましらしい。別山乗越には公衆トイレがあり、剣御前小舎との間が広い休憩場所となっている。ここからは6方向に道が分かれるので、目的地をよく確認のこと。剱沢キャンプ場は広くて、夜間トイレへ行くのに迷子になりそう。
早朝の大日岳でブロッケン現象を見ることができた(写真あり)。霧のスクリーンに自分の影が映っていることは、小学生でも知っている。昔、西洋ではこれを悪魔と思い恐れ慄いた。ところが日本では仏様が雲に乗って現れる「来迎」と捉え、たいへんありがたいものと思った。ここに西洋と日本の自然観の相違がよく出ており、また自分自身の影に恐怖したり感涙したりするのも人間らしくて、とても興味深い。
3日目 剱沢キャンプ場~別山~雄山~一ノ越~東一ノ越~黒部湖キャンプ場
夜明け前からすこぶる天気がよく、きょう剱岳に登る人は幸せだなあと後ろ髪を引かれる思いでキャンプ場を後にする。少々こだわりがあって、剱岳の初登頂は先人に倣って早月尾根からと考えている。なので今回は遥拝するだけにして、立山から黒部湖方面へと進む。6年前とは逆ルートで別山から登り始めれば、これぞ夏山という解放感いっぱいの青空が迎えてくれる。けれども真砂岳に近づくにつれて早くもガスが上がってきて、雲の中へと突入して行くことになったのは6年前と同じ。
山での出会いは一期一会。軽い挨拶から同じ方向へと進む間に打ち解け、聞けば読売新道から水晶岳を目指す10日間の山旅中という新潟のKさん。なんだか凄すぎて即座にルートが頭に浮かばない。基本テント泊なのにザックは13キロくらい、と。何かのルポでも書く人なのかそれとなく尋ねるも、とにかく長く歩いていたいだけと、まったく気負いがない。足運びは「すい、すい、ひょい、ひょい」と一定の歩幅で無駄がなく、歩く姿そのものが美しい。だからこそ10日間もの山行が可能なのだろう。私はといえば「どすん、ぱたん、よっこらしょ」、すべったり躓いたりで生傷が絶えない有り様。以前、島々から立山まで10日間の山行を計画してはみたものの、自分には無理と諦めた(二分割にした)。
一ノ越では降りて来た人これから登る人らがごった返し、どこぞのターミナルの様相。東一ノ越へと進むのは私一人。荒々しくもかっこいい龍王岳の東斜面を横目に、先程までとは打って変わった静かなこのルート。ほんの1時間で休憩にも適した東一ノ越に到達する。アップダウンも少なく、ここまで往復するのもいいだろう。だがこの先が難路であった。第一に登山道の荒廃。古い鉄杭や木材の残骸がルートを示すが、下草に隠され却って危ない。第二に道迷いの可能性。ペンキマークがある所ない所、おまけに枝や草が伸び放題で半ば藪漕ぎの様相。真昼の樹林帯はとにかく蒸し暑く、景色も望めない。上部の雪渓は消えていたが、ずっと標高を下げた所で三か所も雪渓が残っていた。そのうちのひとつ(写真あり)は空洞化がすすんで危なかった。さすがにもう黒部平に着くだろうと思ったその時、頭上を音もなくロープウェイが通過していく。駅に近ければモーター音がするはずなので、がっくり。きつかった。ここはもう二度と歩きたくない。長い長い下り坂からロッジくろよんの建物が見えて心底ほっとした。
4日目 黒部湖キャンプ場~平ノ小屋~五色ヶ原キャンプ場
森の中のキャンプ場で静かな朝を迎え、五色ヶ原へと登り返す。その前に、数多くの橋や梯子段がある湖畔を、平ノ小屋に至るまで約5kmの道のりである。片側が切れ落ちたトラバース道は気が抜けない。橋や梯子は新しく整備され、危なかったのは一ヶ所だけ。六連梯子を降りて八連梯子を登り返したり、清流の河原で人心地付いたりと、予想したより変化に富んだルートは楽しく歩けた。平ノ小屋では五色ヶ原から奥黒部ヒュッテへ向かうべく渡船を待つ昨日のKさんと再会、互いの無事と健闘を祈ってエールを交換。小屋のご主人としばわんこさんにもお会いすることが出来た。
ここから五色ヶ原までは1000メートルの登り。じりじり照り付ける陽射しも樹林帯の中はましかと思いきや、風も通らず我慢の歩みが続く。刈安峠を過ぎると木陰もまばらになり、さらに暑さが増す。少しでも日陰があれば立ち休憩を繰り返しつつ、ゆっくりじっくり標高を上げて行く。ところが後立山方面で雷が鳴り始め、太陽が陰り出した。こんなところで雷雨にあうのは勘弁してほしいが、風で体温も下がり少し楽になる。これも天の采配か。木道が現れて平坦な湿原地帯を30分ほど歩くとキャンプ場が見えてきた。ここはお花畑の中にテントサイトがある、天国のようなロケーション。2年前は夜中の豪雨に見舞われたが、きょうはお湿り程度で済んだ。トイレが洋式便器になっていたのが嬉しかった。
5日目 五色ヶ原キャンプ場~ザラ峠~獅子岳~龍王岳~室堂~雷鳥沢キャンプ場
今朝はゆっくり目に出発。ザラ峠まで下り、獅子岳へと登り返す。2年前は強い風雨で景色を楽しむ余裕もなかった。鬼岳東面の雪渓はまだしっかり残っており、軽アイゼンを装着したが雪渓の状態は日々刻々変化する。別山に近づくにつれて人も増え、ザックを置いて龍王岳をピストンする。山頂からの眺めが素晴らしかった。雷鳥沢キャンプ場は広く、あまり早く着いても暑いだけなので室堂平を散策して行く。室堂山荘の玄関表には何も書かれていないが、フロントで尋ねると風呂も食事も出来るとのこと。久しぶりの湯を満喫し、旧室堂山荘や玉殿岩屋を見学した。6年ぶりの雷鳥沢キャンプ場、夜は風がやや強く近くのタープがバタバタと煩かった。
6日目 雷鳥沢キャンプ場~天狗平~弥陀ヶ原~八郎坂~称名滝
いよいよ最終日。アルペンルートの乗り物を使わない計画で八郎坂を下山する。室堂ターミナル前の玉殿の湧水が美味いので汲んで行く。天狗平山荘の裏から弥陀ヶ原まで続く美松坂は、以前通った時に比べて荒れており、濡れた木や岩でスリップし何度か転んた。追分・弘法間は木道と車道を出入りする所さえ間違えなければ迷うことはない。ここも経費削減なのか草刈りがされておらず、足元が見えずらくて傷んだ木道で躓きそうになる。疲れもあったが八郎坂は難路であった。崩落個所以外でも滑りやすくて段差の大きい不安定な急坂が続く。その代わり称名滝の眺めはよく、称名廊下に続く滝口まで見ることが出来る。最後に称名滝のミストを浴びて、天気にも恵まれた旅を無事に終えたことに感謝する。
大自然に身を投じ、非日常に浸っていられるのもたった数日間。山を降りればたちまち現実に戻される。増え続ける感染者数と政治の無能無策。金、銀と躍る五輪の見出しがカネ(マネー)に見えるのは私だけではないだろう。
山にいると浮世で澱んだ心が洗われる。いつまでも居たいけれど帰らねばならない。むしろ、帰る所を懐かしく想うことが、旅をより充実させるのかもしれない。
フォトギャラリー:69枚
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
| 登山靴 | バックパック | スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
| 傘 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス | 着替え |
| 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | カメラ | 登山計画書(控え) | 健康保険証 |
| ホイッスル | 医療品 | 虫除け | 熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー | 非常食 |
| 行動食 | 軽アイゼン | トレッキングポール | 燃料 | カップ | クッカー |
| 【その他】 ヘルメット、携帯浄水器、体温計、除菌用ウェットティッシュ、マスク(予備) | |||||









































































