行程・コース
この登山記録の行程
【1日目】
上高地バスターミナル(05:30)・・・河童橋(05:33)・・・明神(06:15)[休憩 5分]・・・徳沢(07:03)[休憩 7分]・・・横尾(08:00)[休憩 25分]・・・一ノ俣(09:20)・・・槍沢ロッヂ(10:00)[休憩 20分]・・・ババ平(10:55)[休憩 3分]・・・水俣乗越分岐(11:35)[休憩 15分]・・・天狗原分岐(12:50)[休憩 3分]・・・天狗原(13:40)[休憩 5分]・・・天狗原稜線分岐(16:45)[休憩 15分]・・・南岳小屋(17:30)
【2日目】
南岳小屋(07:20)・・・天狗原稜線分岐(07:50)[休憩 5分]・・・中岳(09:30)[休憩 15分]・・・槍ヶ岳山荘(11:20)[休憩 60分]・・・槍ヶ岳殺生ヒュッテ・・・グリーンバンド・・・天狗原分岐(14:20)・・・水俣乗越分岐(14:50)[休憩 3分]・・・ババ平(15:10)[休憩 7分]・・・槍沢ロッヂ(15:35)
【3日目】
槍沢ロッヂ(05:30)・・・一ノ俣(06:00)[休憩 5分]・・・横尾(06:50)[休憩 10分]・・・徳沢(07:55)[休憩 60分]・・・明神(09:45)・・・河童橋(10:30)・・・上高地バスターミナル(10:35)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
反省点だらけの9月の連休でした。
直前まで台風の影響が心配されたため、最悪の場合は山行そのものを中止するか、初日の南岳小屋を諦めて(翌朝の行動開始時間を早めるために)横尾かババ平までテント担いで行くしかないと考えていました。 やはり、山の中で「予約」に縛られるのは厳しいな…と思います。
前の週に、夫が腰を痛めてしまったこともあり、テントを担ぐなら私が…!と、覚悟を決めていましたが、幸い台風の進路もやや逸れて、2日目・3日目の天気は期待できそうでしたので、雨の中でも何とか南岳には辿り着きたいと、気合いを入れてのスタートとなりました。
上高地到着時、雨は殆ど止んでいましたが、長い道のりになるので念のためレインスーツは上下ともに着用。 ザックカバーも着けて、横尾までは傘も差しながら歩きます。
気温はたぶん15度前後はあり、歩きはじめから直ぐに暑くなってしまって、明神で上着を脱ぎました。
しかし、横尾から先は傘を畳むためにまた上着を着たり、雨の様子を見ながら再び脱いだり…と、なかなか落ち着かない数時間となり、槍沢ロッヂに着いたのは普段より遅い10時過ぎだったと思います。
実は今回、途中でどうしても南岳までは行けそうもないと判断した場合、ババ平まで戻ってビバークするしかないだろうと考えていました。
その判断基準が、①天狗原分岐到着が13時を過ぎた場合、②天狗池出発が14時を過ぎる場合…でした。
天狗池から南岳まで、地図によってコースタイムがかなり違っていることを考慮し、私たちにとって初めての道であることと天候とを考えれば、およそ3時間はかかるだろうと思っていたからです。
「天狗池出発14時」は、つまり南岳小屋到着予想17時頃を意味するので、ギリギリ…ということです。
実際、天狗原分岐到着は12時50分で(悩ましいところ)…天狗池到着が13時40分頃…。
どうしよう?と、一瞬の迷いはありましたが、このときはまだ「ここから(余裕を持って)約3時間」と信じていたため、夫の腰や足の具合にも大きな問題がないことを確認して先に進むことを決めました。
天候が、少し回復傾向を思わせる明るい空になったり、雨粒を殆ど感じないような状態になったりということも影響したと思いますし、アキノキリンソウやチングルマの大群落に美しく彩られ、時折オコジョが顔を出す素敵な岩の庭園を楽しんで歩いていたということもあったのでしょう、雨の中でもあまり不安になることはありませんでした。
…けれど、やはり雨は雨。
視界の悪さもあり、何度も立ち止まっては〇印や矢印を探したり、折れたり倒れたりして見えなくなっている竹竿を岩陰に見つけてホッとしたりという繰り返しで、どんどん時間が過ぎてしまいます。
岩を掴んでよじ登るような場所も、当然濡れているのでサクサクとはいかず、標高も上がってきているため無酸素運動が連続すれば息も上がり、少しずつペースも落ちてしまう…。
更に悪いことに、途中から雨がどんどん強くなってきました。
はじめのうち、1~2ミリ程度だったはずの雨が、時折5ミリ以上?と思われる強さに感じられました。
気温も低くなってきて、レインスーツの撥水機能も限界を超え、靴の中にも浸水が始まったことを感じます。
…ここも反省点。 念には念を入れて、レインパンツの下にゲイター(スパッツ)を着けるべきでした。
稜線へ出る手前の、「最後の梯子」に辿り着く前に、時間は16時を過ぎてしまいました。
もう、引き返すわけにはいかない場所と時間ですので、岩陰で思い切って濡れたシャツを着替えます。
これは、出発前に山の師匠からキツく言われていた、「稜線に出る前に必ず乾いた服に着替えろ」「濡れた状態で稜線上の風に曝されたら20分(コースタイム)でも低体温症になる」との教えに従ってのことです。
17時までの小屋到着は絶望的となりましたので、あとはとにかく慎重に、無事に進むことだけを考え、電波の通じる場所で南岳小屋に連絡をすることを目標に歩きました。
最後の梯子と鎖を登り切り、稜線上の分岐に辿り着くと、やはり強い風が吹いていました。
さっきまで、そよ風程度か場所によって4~6m程度の風だったのが、常時10m以上という感じでした。
着替えていたおかげで震えることもなく歩けましたが、もっと気温が低かったら厳しかったと思います。
そういえば、「この時季は霙もあり得る」とも言われていて、レイングローブその他も準備していました。
小屋到着は17時30分過ぎ。 濃いガスの中に色とりどりのテントがうっすらと見えてきたときには心底ホッとしましたが…予定よりも大幅に遅れ、これはもはやプチ遭難レベル…。
小屋の夕食時間は終了していたため、カレーと缶ビール(屋内では飲めないので扉の外で飲む)をいただき、疲れ果てて眠りにつきました。 やはり、1日で南岳小屋までというのは、晴れていて、体調万全だったとしてもギリギリ…私たちにしては無茶をしてしまったな…と反省しています。
翌朝は、いわゆる台風一過の澄み渡る秋晴れとなりました。
今回は、槍の穂先に登らなくても良いと夫も言うので、まだ濡れているザックや傘を天日に干しながら暫く小屋周辺を散歩し、遅めのスタートで中岳へ向かいました。
稜線上の風は、昨日以上に強くなっていましたが、360°どこを向いても大展望の中を気持ちよく歩き、のんびり景色を楽しんで…楽しみすぎて、ここでも予定時間を大きく遅れてしまいました…。
そして、槍沢ルートの下山にさしかかった頃、二人とも足の親指に異変を感じ……。
乾ききっていない靴を履いて長時間歩いたことで、親指の皮がふやけて剥がれそうになっていました。
一歩一歩痛みを感じるようになり、歩くスピードも再び落ちはじめて、コースタイム通り槍沢ロッヂに着けるだろうか?と不安を感じるようになったとき、ふと思い出したのが「入浴」の時間です。
「もしかして…17時までだった…?」
このままではマズイ!と、久々にスピードを上げて先を急ぎました。 結果、間に合ったのですが、足にも膝にも相当な負担がかかり、翌日は「いたたたたた…」と言いながら上高地へ向かい、車の乗り降りにも不自由するような状態で、SAでの休憩時も足を引きずる始末…。
後になって考えれば、たった一束の新聞紙の重さを嫌い、持ち物に加えなかったことは大失敗!でした。
初日の雨を軽く考えて(半日程度の小雨で回復するだろうと思い込んで)いたのが間違いで、ゲイター然り、丸めた新聞紙で靴の中の水分を軽減するという雨の日の基本然り…です。
「プチ遭難は上達の近道」…などとも言われますが、上達するより衰えていくスピードの方が速いかも……。
9月19日17時20分頃の地震の時、私たちは槍沢ロッヂの玄関ホールのテーブルでビールを飲んでいて、突然の大きな揺れに私自身も一瞬悲鳴を上げました。
地下で、いきなり掘削機か何かが「ガガガガガ」と音を立て、次の瞬間建物ごと大きく揺さぶられるような感じで、それが何度か続きました。
外に様子を見に行った方が「崩落だ!煙が上がってる!」と、槍方面を指して叫ばれました。
その後は、順次、小屋の方からのアナウンスがあったり、スマホで得た情報を共有したりという感じでしたが、何度も余震が繰り返される中でも、皆さんとても落ち着いた様子だったと思います。
余震は夜中中続き、翌朝は玄関の床や上り框のところに、何人もの方が寝袋で横たわっていました。
(ババ平から避難してこられた方々でしょうか…?)
上高地までの道にも、所々落石の跡が見られるような状況でしたが、釜トンネルは無事だったようで、河童橋付近も沢渡も久々の賑わいを見せていました。
フォトギャラリー:33枚
初日の写真は、これ一枚だけですが…天狗原は本当に綺麗でしたので、写真に残せなくて残念でした。
南岳小屋の朝。 滝雲が綺麗です。
獅子鼻岩よりキレットを望む。
もう、ここを歩くことは望めないでしょう…。
でも…回り込んで、少しだけ下ってみました。
チャーシュー麺、2000円ナリ。 前回食べ損ねたので、今回はこれを食べに来ました! 厚切りのチャーシューは、食べ応え十分です!!
賑わっていた穂先。 渋滞というほどではないにせよ、やはり多くの人が連なっているのが見えました。
落石のあと。
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | ダウン・化繊綿ウェア | ロングパンツ | 靴下 | レインウェア |
| 登山靴 | バックパック | スタッフバック | スパッツ・ゲイター | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
| 傘 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス | 着替え |
| 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) |
| ナイフ | 修理用具 | ツエルト | 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 |
| 虫除け | 熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー | 非常食 | 行動食 | テーピングテープ |
| トレッキングポール | ストーブ | 燃料 | ライター | カップ | クッカー |
| カトラリー | |||||
| 【その他】 携帯トイレ、予備マスク類、除菌グッズ、ゴミ用チャック付ポリ袋、座布団、顔汗シート、日焼け止、体温計、インナーシーツ | |||||




