• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

西吾妻山の頂でスノモンコーヒーと極上のひと時

西大巓、西吾妻山( 東北)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 参考になった

行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: スキー場「グランデコスノーリゾート駐車場」を利用する。3000台と言われる大きな駐車場。スキーシーズンの土日・年末年始は1,000円。夜間も解放されているが、駐車場にトイレはないため注意。

この登山記録の行程

グランデコ・パノラマゴンドラ山頂駅(08:55)・・・西大巓(10:11)・・・西吾妻山(11:10)・・・天狗岩・吾妻神社(11:34)・・・西吾妻山(12:00)(昼食~12:42)・・・西吾妻小屋(12:52)・・・西大巓(13:35)・・・グランデコ・パノラマゴンドラ山頂駅(14:18)

コース

総距離
約9.0km
累積標高差
上り約903m
下り約902m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

3.11に福島入りをして、いつもの道の駅「猪苗代」で、車中泊をしながら暮れゆく会津磐梯山を眺める。実は、自分と山の間には、3.11東日本大震災との関りが大きい。
久しぶりに、当時を想い出しながら山に登ろうと思ったのが今回のきっかけだった。
目指すは、西吾妻山。
諸事情あって、トレーニング的な登山を除き、ここ暫く山から遠ざかっていた。そうこうしているうちに、気がつけば一番大事な時期を逃し、周囲はすっかり春山シーズンに突入していた。ただ、完全に春山になってしまう前に、なんとか西吾妻山だけは登っておきたいと思っていた。頭に描くは、憧れの真っ白な雪原に広がる圧巻のリトルスノーモンスターの風景。もっとも、直近の記録を見る限りでは、既にスノモンの多くは溶けかけていて姿を消しつつあった。
翌日、5時に起床。
福島県側登山口のグランデコまでは車で30分強もあれば着くので、急ぐ必要はなかったが、アドレナリンが出ているせいか早くに目が覚めてしまった。1月上旬にも会津磐梯山へ登るために、道の駅「猪苗代」で車中泊をしたが、その時にはテントブーツを履いても指先が痛くて眠れなかったのを覚えている。それに対して昨晩は特別な対策をしなくても快適に眠ることができた。ここ数日、5月並みの気温が続いているらしい。
6時半ごろにグランデコ第1駐車場へ到着。
だだっ広い駐車場に前泊の車が数台停まっているだけだった。駐車場代金の1,000円を支払い、誘導係の人と少し会話をしてみると、先週が登山者のピークで、ゴンドラの待ちが凄かったという。「今日はもう大丈夫ですよ」という返事に複雑な思いで「有難うございます」と答えた。
7時に建物のメインゲートがオープンしたので、待ちきれず荷物を背負ってチケット売り場まで移動する。暖房が効いているかと期待していたが、人影もなく建物の中は冷え切っていた。車に戻るのも面倒だったので、そのままチケット販売が開始される8時まで、ゆっくり待つことにした。
8時5分前。チケット売り場の横に並べられていた自動発券機のカバーが外された。インターネットで事前に調べていたので、カード専用の発券機と知っていたが、手前の機械だけ形が違う。画面をのぞき込んでみると「現金、電子マネー対応」と書いてあった。
あとから来た人が、普通にその発券機でチケットを買っていく。
「なんだよ。それ。並んで隊見ないじゃん!」。せめて、チケット売り場の窓口を先にオープンして欲しかった。
ゴンドラの往復券(900円×2枚)を購入。さらにチケットを買い足して第3クワッドを使うことで高度を稼ぐこともできるが、運行時間が9時30分始発と遅めであり、そもそも自分の足で登りたい派としては、購入は不要だった。第3クワッドを使いたい人はセットになった「登山者用チケット」が販売されているのでそれを購入するとよい。
8時半の運行開始にあわせゴンドラに乗り込む。
「グオーッ」という音と共に飛び出していくと、あっという間にゴンドラは高度を上げていった。正面に見えるはずの会津磐梯山は、完全に霞に隠れていた。おそらく花粉だと思うが、ここ数日は特に霞が酷くて、今日も山頂からの眺望は厳しいに違いない。
グランデコ・パノラマゴンドラ山頂駅でゴンドラを降りて、いよいよ登山開始。ゲレンデのコースを使って直登していく。かなりの斜度だったので、アイゼンを履こうとも考えたが、面倒だったのでそのままツボ足で登り切った。
樹林帯に入ると、幾分、緩やかになった。
ぽかぽか陽気で、雪は少し緩めになっていたが、ツボ足でも沈み込むことはなかった。
樹林帯を抜けると、目の前に鋭く尖がったピークが見えてきた。
「西大巓(にしだいてん)か?」
ようやく待ち望んでいた風景に出会えると、意気揚々と登ってみると部田に尖がった偽ピークだった。 笑
「だろうね」と思いながら、更に奥に見えてきた本当の西大巓を目指す。
標高1,982m。
頂きに立つと、目前に最高峰である標高2,035 mの西吾妻山が大きく見えた。
西大巓から一旦大きく降り、なだらかな稜線が西吾妻山までつながっている。とてつもなく広い稜線で、オオシラビソ(別名「アオモリトドマツ」)が絨毯のように群生していた。これがリトルモンスターの正体で、厳冬期に入ると雪を取り込みながら樹氷が育ち、真っ白なスノーモンスターの集団が出来上がる。樹氷と言えば蔵王が真っ先に思い浮かぶが、オオシラビソの上部まで深く雪に埋まる西吾妻山では、蔵王のスノーモンスターよりも小ぶりに見えることから、リトルスノーモンスターと呼ばれている。巨大なスノーモンスターも圧巻だが、無限に広がるスノーモンスターが雪原を埋め尽くす西吾妻山の風景もまた違った魅力がある。しかし、来るのが一足遅かった。想像していた通り、ポスターで見るような風景は既になく、かなりの部分でオオシラビソが露出していた。
米沢から来たという方に話を聞いてみたところ、今年は1ヶ月以上も季節の動きが早いようで、「いつもの年であれば3月上旬でも充分スノーモンスターが楽しめるのに」と言っていた。しかも、天候が安定する3月には、条件が良ければ日本海も望むことができると言っていた。そんなベストな日に来てみたいものだ。
軽く朝食を食べて、スノーシューを装備する。正直、ツボ足でも問題はなかったが、雪原と言えばスノーシュー。もはや気分的なチョイスと言える。
スノーモンスターを縫うように自由に散策しながら西吾妻山を目指す。
まるで巨大迷路。
同時に、屋外に設けられた自然の体験型ミュージアムである。
溶けかけたスノーモンスターから飛び出した枝が触覚に見えたりして、逆にリアルさを増して面白く歩いていて飽きない。余りの楽しさに気が付いたら、立ち寄ろうと思っていた西吾妻小屋をすっかり通り過ぎていた。実は西吾妻山では遭難事故が意外に多い。晴れた日に歩いていると「えっこんなところで?」と思うくらい見通しが良く、初心者向けの雪山であるが、一方で広大な雪原が故に一旦荒れだすと、スノーモンスターの迷路が災いをして完全に方向感覚を失ってしまう。自分の先輩も、吹雪で遭難しかけた経験があると言っていた。事実、今年も数件、遭難事案が発生しているとのこと。
西吾妻山の頂に到着。
頂と言っても標識はなく、ちょうど登山者の方から「この辺が頂みたいなので写真を撮ってもらえませんか?」と声をかけられて、初めて「ここがそうなのか?」と気が付いた。
折角なので、吾妻神社がある天狗岩まで足を延ばしてみることにした。
眼下に広がる雪原の向こうに黒い岩が露出しているのが見えた。おそらくあれが天狗岩だろう。その向こうには山形県側がよく見渡せた。
天狗岩からはルートを外れるが、スノーモンスターの合間を縫って直接、西大巓を目指す緒と思っていたが、ここで「西吾妻山のスタンプをとり忘れてしまった」ことに気が付いた。スタンプとは山アプリ「ヤマスタ」のことで、登山をした記念に山の特徴に合わせた素敵なデザインのスタンプがもらえる。難点は頂周辺でGETしないと、登山した証明にならないため、いつも取り忘れてしまうことが多い。本気で集めている訳ではないが、もらい損ねたと思うと悔しくて、つい登り返してしまう。今回もルート外のコースにも惹かれたが、やっぱり山頂に戻ることにした。せめて、Yamapアプリ等と連動して歩いた軌跡からスタンプが発行できる機能があるとよいのにと思う。
西吾妻山の山頂でお昼時になったので、福島県側が見える斜面に腰を下ろして、お昼ご飯を食べることにした。食事後には、コーヒータイム。目の前に広がる雪山を眺めながら、ゆっくりとお湯が沸くのを待つ。ぽかぽかと温かくて気持ちが良い。
お湯が湧き出してきたので、ここでひと工夫。スノーモンスターのお腹からお肉(氷)をひとかけら拝借してお湯の中へ投下する。これでドリップすれば、特製スノモンコーヒーの出来上がり。 :)
優しいコーヒーの香りに包まれながら、改めて3.11の出来事とその時の想いを振り返ってみた。
帰路は西吾妻小屋に立ち寄りながら、最後に思う存分、スノーモンスターの迷路を探索しながら下山した。いつかまた、真っ白なスノーモンスター達に会いに来よう。

続きを読む

フォトギャラリー:28枚

すべての写真を見る

装備・携行品

みんなのコメント

ログインして登山記録にコメントや質問を残しましょう

  • どんなスタンプでしたか?まさかチェックインの場所じゃないとか?

  • それが、戻って良かったと思うくらいカッコいいスタンプでした。伊達政宗風の。

登った山

西吾妻山

西吾妻山

2,035m

西大巓

西大巓

1,982m

よく似たコース

西吾妻山 福島県 山形県

天元台ロープウェイで気軽に吾妻連峰の最高峰・西吾妻山へ 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
2時間50分
難易度
★★
コース定数
11
西吾妻山 福島県 山形県

天元台ロープウェイで気軽に吾妻連峰の最高峰・西吾妻山へ登り、人形石周回 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
3時間5分
難易度
★★
コース定数
12
西吾妻山 福島県 山形県

ロープウェイで吾妻連峰の最高峰に登り、白布温泉へ 日帰り

最適日数
日帰り
コースタイプ
周回
歩行時間
4時間40分
難易度
★★
コース定数
15
登山計画を立てる