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南奥駈テント泊-花(と虫)に誘われて

大峯奥駈道 深仙宿・平治宿( 東海・北陸・近畿)

パーティ: 1人 (犬山好人 さん )

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行程・コース

天候

1日目 くもり時々晴れのち霧
2日目 霧のち晴れ
3日目 晴れ

登山口へのアクセス

バス
その他: R169ゆうゆうバスを利用。平日と土日祝日とでは運行ダイヤが異なる。
http://www.vill.shimokitayama.nara.jp/about/access.html

この登山記録の行程

1日目
前鬼口バス停(10:46)・・・前鬼小仲坊(13:16/13:31)・・・太古の辻(16:00)・・・深仙宿(16:34)
2日目
深仙宿(6:16)・・・太古の辻(6:51)・・・天狗山(8:06)・・・地蔵岳(子守岳)(9:28/9:45)・・・滝川辻(10:28)・・・涅槃岳(11:22/11:32)・・・持経宿(13:12/13:20)・・・平治宿(14:23)
3日目
平治宿(6:46)・・・転法輪岳(7:11)・・・俱利迦羅岳(7:48)・・・怒田宿跡(8:55)・・・行仙岳(9:17/9:47)・・・行仙宿(10:10/10:32)・・・林道横断箇所(11:36)・・・十津川橋(浦向道出口)(13:03)・・・浦向バス停(13:35)

コース

総距離
約33.4km
累積標高差
上り約2,949m
下り約3,000m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

 今期初テント泊は大峯へ、これまで通過のみだった深仙宿・平治宿を泊まり歩く。この季節はツツジ科の花々も楽しみに、夏のテント泊山行の予行でもある。

 前鬼口からの長い林道も三度目で、ペース配分にも慣れてきた。小仲坊でトイレを借り、奥駈道を登って行く。ここの急登にはいつも泣かされる。三歩進んでは立ち止まり、六歩進んでは汗を拭う…。標高を上げて尾根筋に近づけば、少し風も出てきて救われる。

 今夜の泊地である深仙宿(じんぜんしゅく)は、奥駈七十五靡(なびき)の真ん中に位置する最も重要な霊場のひとつである。灌頂(かんじょう)堂、避難小屋とテント数張分の平地が点在しており、「香精水」と呼ばれる岩から染み出る霊水を集めた水場は乾季には枯れてしまう。ここから西へ30分の千丈平には豊富な水量の「かくし水」がある。山と高原地図では破線ルートだが、南奥駈の登山道整備を担う新宮山彦ぐるーぷにより整備されて歩き易くなった。トイレはなく、もっぱら小屋の西側を少し降りた斜面が利用されている。この日はテント4張り、小屋に3人(見かけた人数)。なお、灌頂堂は法儀を行う大切な場所なので、立ち入ってはいけない。

 ふたたび太古の辻まで戻り、これより南奥駈へと進む。伸びた笹が登山道を覆っていて、シャクナゲの群生地を通り抜けて行く。二年前に反対向きに歩いた時はくもり空で、せっかく満開のシロヤシオも映えないのが心残りだった。きょうはどうだろう、朝霧が晴れて徐々に青空が広がってきた。天狗山~奥守岳~子守岳と気持ちのいい笹原の尾根筋を昇り降り、南奥駈でも特に好きな区間である。天気の良さとは裏腹に、荷物の重さが肩に食い込みペースダウン…。まあ急ぐ旅でもない、ゆっくり歩けばええやん。涅槃(ねはん)岳の急登に泣き、クサリ場の下りで手こずり、ようやく持経宿に到着。ここは平治・行仙宿と同様新宮山彦の管理する小屋で、志納金を収めて宿泊することができる。テント場は1時間先の平治宿にある。

 平治の宿は、南奥駈道が再興されて最初に建てられた三間四方の小屋が始まり。現在の建物は1991年に新築されたらしい。小屋から西の谷下にある水場まで、足元があまり良くない急坂、なので小屋のサンダル履きでは難儀するだろう。水は充分出ていたが、枯れることもあるらしく、往復30分程かかる。テント場は小屋の裏手に4,5張程度の広さ。寝入ったと思ったらシカの声に起こされ、朝は小鳥のさえずりで目覚める。ひとりで山の一夜を過ごすのは、はじめは不安だったが、いまはむしろ落ち着く。

 転法輪岳への登りは体を目覚めさせるのにちょうどいい。俱利迦羅岳の直前で道は二手に分かれ、右のメインルートはクサリが設置された崖をよじ登る。左はロープがある急斜面ですぐに合流する。花に見とれたり花に惑わされたり。なにか変だとは思ったのだ、赤テープ目指して谷を降りて行く。たどり着いてみれば、テープではなく真っ赤なツツジの花であった。

 行仙岳への登りが最後の山場である。山頂は開けているが、通信施設が立ち並び、本来の山頂部は肩身狭くなってしまっている。しばらく休憩している間にも、虫が喧しく飛び回って歓迎してくれる。結局今回も10ヶ所ほど虫にやられた。腕にとまった虫(ブユか)をすぐに払い除けたつもりだったが、夜になってかゆみが出てくる。ムヒアルファでもあまり効かず、一週間経ってもかゆみが残る。まぁ彼らも生きるために懸命なので、こんな私でも少しくらい役に立ったのか。

 行仙宿を経て浦向道を下山する。始めは巾の狭いトラバース道、一旦林道を横切り植林帯を延々と下って行く。このあたりは足元の悪い所もあり、ヒルには注意。清流に出会えばほどなくして425号線に飛び出す。浦向(うらむかい)バス停までの途中にきれいな公衆トイレあり。下北山村内巡回バスは平日のみ運行、便数も少なく事前に要確認。この日は下北山スポーツ公園のキャンプ場に泊まり、翌朝の169号線ゆうゆうバス(1日1往復のみ)で近鉄大和上市駅から帰宅の途に就いた。

山は神仏の領域と昔の人は考えた。死者の魂は山に帰り、仏と成って山の上から里の暮らしを見守ってくれている、と。
山を歩けば散り落ちた花弁が「散華」のように思えてくるのだった。
※散華(さんげ)とは、仏を供養するために 華(生花や紙花)を撒くこと。

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装備・携行品

シャツ アンダーウェア フリース ロングパンツ 靴下 レインウェア
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虫除け 熊鈴・ベアスプレー ロールペーパー 携帯トイレ 行動食 トレッキングポール
テント シュラフ シュラフカバー テントマット スリーピングマット 燃料
カップ クッカー

登った山

大日岳

大日岳

1,540m

奥守岳

奥守岳

1,480m

天狗山

天狗山

1,537m

涅槃岳

涅槃岳

1,376m

行仙岳

行仙岳

1,227m

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