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ニッコウキスゲが揺れるたおやかな巻機山

ニセ巻機山(前巻機山)、御機屋、巻機山(本峰)、牛ヶ岳( 上信越)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 桜坂駐車場を目指す。駐車場までは舗装道路で走りやすい。駐車場は4ヶ所に分かれている。料金所の奥にある第2駐車場に綺麗な水洗トイレがある。料金は後払いで普通車は1日500円。トイレの前や旧トイレ横には水道があり、靴の泥洗い等に使えるのは有難い。料金所ではバッチなども販売している。

この登山記録の行程

桜坂駐車場(04:54)・・・登山口(井戸尾根コース)(05:14)・・・焼松(五合目)(05:51)・・・六合目展望台(06:19)・・・前巻機山(ニセ巻機山)(07:23)・・・避難小屋(07:30)・・・機姫ノ池(07:38)・・・三ツ池(08:01)・・・巻機山(本峰)(08:05)・・・牛ヶ岳(08:22)・・・巻機山(本峰)・・・三ツ池(09:05)・・・機姫ノ池(09:22)・・・避難小屋・・・水場(09:34)・・・避難小屋・・・前巻機山(ニセ巻機山)(09:48)・・・六合目展望台(10:35)・・・焼松(五合目)(10:56)・・・登山口(井戸尾根コース)・・・桜坂駐車場(11:31)

コース

総距離
約13.1km
累積標高差
上り約1,594m
下り約1,593m

高低図

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登山記録

行動記録・感想・メモ

雨の登山となった苗場山を終えて、近くの温泉「街道の湯」で心と身体を整えたのち、今回の目玉である「巻機山」の登山口桜坂駐車場へやってきた。
始めて裏筑波を縦走した際に出会った人から「花の登山を楽しみたいなら、ぜひ巻機山へ行くべきだ」と教えてもらい、以来、どうしても行きたいと思っていた。簡単に行ける距離ではないため、なかなか実行に移せなかったが、ようやく実現することができた。
巻機山とは変わった名前であるが、美女が機を織っていたという「機織りの伝説」に由来するとのこと。雨飾山にも美女にまつわる伝説があったが、美しい山には女性にちなんだストーリーが良く似合う。
駐車場に着いた時に、仕事を終えて帰ろうとしていた料金所のおじさんと出会った。ちょっと強面(失礼)で「車中泊か?」と声をかけてきたので身構えてしまったが、「ハイ」と答えると、「ゆっくりしていってくれ。料金は明日でもいいから」と優しく話しかけてくれた。「せっかくなので今お支払いしますよ」と値段を聞いて500円を支払った。
千ノ倉山では夜12時をまたいだだけで2日分の駐車所代金をとられたが、なんてリーズナブル。
「カッコいいバッチも売ってるぞ!」とおじさん。強面も良く見ると人懐っこく見えるから不思議だ。結局、そのおじさんが気に入ったので、下山時にバッチを2つ購入することにした。
暑かった下界に対して、標高730mの駐車場はカラッとした空気で過ごしやすかった。
イスを出して、食事をとりながら暮れていく夕焼けを眺めながら時間の過ぎるのを楽しんだ。近くには同じような前泊登山者が数名いた。そのうち一人から話しかけられて暫し山談義を交わす。なんでも、リタイヤをされて百名山を目指して旅をしているとか。そういう悠々自適な生活にも憧れる。
ドアを締め切った車中はかなり蒸し暑かったが、なんとか夜を乗り切り4時に起床した。気がつけば駐車場は満車状態だった。
天気予報では猛暑と注意喚起が出ていたので、早めに登った方が良いと5時を待たずして出発することにした。
かなり以前に購入した30lのザック。これまで勿体なくて使い機会が無かったが、いよいよここでお披露目とする。暑さに備えて多めに飲み水を入れたが、ザック自体が軽量化されているので、担いでもその重さが苦にならない。デザイン以上に性能もよさそうだった。
登山ポストで登山申請を出してから山へと入っていく。
暫くは樹林帯の中を延々と登って行く。
4合目から斜度が増し、太陽が昇り気温が上がったのか、汗が額からにじみ出るようになってきた。
射しこんでくる光を追うように登って行くと尾根に出た。
五合目の眺望ポイント。視界が開けて左手側に大きな頂が見えた。下から眺めると山頂に見誤ることからニセ巻機山と呼ばれている。なんとも失礼な名前だ。
ここから尾根沿いに高度を上げていく。
六合目で再びビューポイントを迎える。
左手側に荒々しく切り立った岸壁が見えた。その中央にせり出した大きな岩の塊が天狗岩。大台ケ原の大蛇嵓を思い起こすようだった。
さらに進むと、ついに樹林帯を抜けて岩肌がむき出しになった場所に出た。
七合目。
休憩にも丁度良いので、岩の上に腰を下ろして、持ってきたおにぎりを頬張る。眼下には魚沼の市街地が見えた。
真正面には先ほど五合目から見たニセ巻機山が壁のように聳えていた。ここから先は、コース全体の中でも特に急なエリアとなる。本当の巻機山(本峰)は、ここを登り切らないと見ることができないので、気合を入れて登って行く。
一気に高度を上げて、上部に着いた瞬間、パッと広がる青空と緑の山なみ。その開放感がたまらなかった。目の前にニセ巻機山。その奥に巻機山の姿をついに捉えた。巨大な質量を持つどっしりとした山容。緑の山肌に一部アクセントのように雪渓が残っていた。
ちなみに、「巻機山がようやく見えた!」と表現しているが、正確には先ほどから登場しているニセ巻機山(前巻機)を含め、巻機山(本峰)、割引岳(わりめきだけ)、牛ヶ岳の4つを称して巻機山と呼ばれている。その中でも最高峰は本峰の標高1,967m。
ここから先は素敵な稜線歩きとなる。標高が2,000mに近いので、まるで雲と空の中を散歩しているかのような感覚が楽しめる。
緑一面の中を延びる登山道。
風に揺れるワタスゲと池塘。
鮮やかな黄色を放ち咲き誇るニッコウキスゲ。
もうこんな幸せはない。登り切った瞬間に世界が大きく変わるのが、巻機山の特徴でお勧めのポイントと聞いていたが、確かにその通りだった。
ニセ巻機山を過ぎてから一旦降り、コルにある避難小屋を経て、再び登り返す。
登り切ったところに頂を示す標識があったが、風化で文字が薄れていて認識できなかった。
その頂は御機屋(おはたや)と呼ばれ、信仰上の頂上であり山の由来となった伝説の「機織りの姫」が住んでいた場所と言われている。
振り返ると歩いてきたニセ巻機山の稜線が良く見えた。まさに絶景。
この風景を見てここで折り返す人も多いようだが、天国の楽園はまだ始まったばかり。巻機山の本峰も僅か分程度なのでここで折り返すのは勿体ない。
本峰に向かう途中で、「三ツ池」と呼ばれる池塘の脇を通る。
見る角度によって人の顔に見えるユニークな池塘として知られている。実物を見てみたいと思っていたが、なるほど不細工な顔だが、それがかえって愛らしさを倍増させている。思わずクスっと笑ってしまった。
本峰に到着。
百名山なので、もう少し立派な頂かと思いきや、石が積み上げられた1m程の高さのケルンがあるだけだった。周囲からも「えっ、これだけ?」とか「ここが山頂?」という声があがっていていた。
足を停めず、そのまま牛ヶ岳へと向かう。
たおやかな稜線を歩き、大きく左へと回り込むように歩いていく。
これが名前の由来なのかどうかは分からないが、確かに牛の背のような大きな山。ニッコウキスゲが咲き乱れる緑の中を一旦降り、その大きな牛の背へ向かって登って行く。
途中、三角点を見つけたが、頂の標識らしきものは見当たらなかった。どうも巻機山は全体的に自己PRが消極的なようだ。
登山道が真っすぐに続いていたので、もう少し足を延ばしてみることにした。
市街地が良く見下ろせる場所で、適当に腰を下ろしてエネルギー補給をする。
正面に歩いてきた御機屋があり、そこから本峰へ続く稜線が優しいカーブを描いている。痺れるほどに美しい風景。眼下には市街地と緑の田園風景が広がっている。雄大な景色の前では、時間が停まっているかのように思えた。
また一つ、良い山に出会えた。「また来たいなぁ」と自然に言葉がこぼれた。
下山時に、避難小屋から数百m降ったところにある水場に立ち寄ってみた。
雪渓が大きく口を開けていて、そこから沢の水が大量に流れ出ていた。雪解けの水は冷たく透き通っていた。試しに口に含んでみると、ほんのりと甘い。
雪渓の冷気がその周辺だけ季節を遅らせているのか、沢の周辺にはピンク色の小さな花が群生していた。時期的に間に合わないと思っていたハクサンコザクラだ。気持ち花弁が小さい気がした。ハクサンコザクラに出会えるとは思ってもいなかったので、水場に立ち寄った甲斐があっと偶然の出会いに感謝した。
下山後、駐車場のおじさんに挨拶をして「また来ますよ!」と告げて山をあとにした。
梅雨が明けたかと思う程、暑い日だったが、大汗をかきながら歩いた巻機山の稜線は、アルプス並みに雄大で夏の良く似合う山だった。

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登った山

巻機山

巻機山

1,967m

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