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深い藍色の空と滝そして黄金色の越後駒ケ岳

道行山、小倉山、越後駒ヶ岳( 上信越)

パーティ: 1人 (Yamakaeru さん )

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行程・コース

天候

晴れ

登山口へのアクセス

マイカー
その他: 枝折峠(しおりとうげ)にも駐車場があるが、9月中旬から10月下旬の滝雲シーズンは、シャトルバスの利用をお勧めする。カーナビには「白銀の湯」をセットするとよい。登山者用の駐車場(無料)は、白銀の湯の隣にあるトイレの正面に無造作に停める模様。ロープで囲まれた駐車場は白銀の湯専用のものらしい。バスの始発は4時。その後短い間隔で日の出まで運行。ただし、登山後の戻りは15時のみ。混み具合によって変化するので魚沼市観光オフィシャルサイトや現地でよく確認した方が良い。

この登山記録の行程

枝折峠(04:41)・・・ビューポイント(05:13)(滝雲鑑賞~06:24)・・・明神峠(06:34)・・・道行山分岐(07:13)・・・小倉山(07:42)・・・百草ノ池(08:12)・・・駒の小屋(09:02)・・・越後駒ヶ岳(09:29)・・・駒の小屋(10:19)(昼食~11:06)・・・百草ノ池・・・小倉山(12:05)・・・道行山分岐・・・道行山(12:37)・・・明神峠(13:16)・・・枝折峠(13:42)

コース

総距離
約14.9km
累積標高差
上り約1,411m
下り約1,409m

高低図

GPX ダウンロード KML ダウンロード

登山記録

行動記録・感想・メモ

我ながら凄い。
誰も言ってくれないので自画自賛するが、我ながら凄い。 (笑)
何が凄いって、金曜日、いつものように仕事を終えて帰ってきたが、なにか高揚感的なものに突き動かされ、「越後駒ケ岳、行くなら今日だ!」と思った瞬間、夜の道を車で飛び出していた。
実は、越後駒ケ岳に行くならぜひ滝雲のシーズンと決めていて、数年前からタイミングを見計らっていた。しかし、毎年、仕事や天候がかみ合わず実現には至らなかった。今年もタイミングを逃し諦めかけていたが、突然ぽっかり空いた土曜日。日曜日は完全な雨模様だが、土曜日は快晴と聞けば、もうこれは行くしかない。
しかし、言うは易し、行うは難し。
立地的に福島側から回り込むと270キロはゆうに超えている。山間部のくねくね道もあって果たして無事にたどり着くのかと心配で仕方が無かったが、その緊張感もあってなんとか居眠り運転もなく、登山口のある枝折峠へ向かうシャトルバスの発着所「白銀の湯」へたどり着くことができた。正直に言うと、本当は枝折峠そのものを目指していたつもりだったが、間違えてたどり着いてしまった。気が付いて「しまった」と思ったが、結果的にこれが功を奏した。なぜなら滝雲のシーズンは、激込みとなるため枝折峠の50台程度の駐車場は直ぐに満杯となってしまう。おそらく、前日入りしていない限り停めることは出来ないだろう。
ちなみに、滝雲は6月中下旬~11月上旬がシーズン(それ以外は冬季閉鎖で通行不可)。その中でも今頃が紅葉とも相まって美しい時期と言われている。ただし、毎日、滝雲が発生している訳ではなく、当然ながら自然現象として一定の条件がある。晴れた日の早朝、日の出前後の数時間にのみ出現し、且つ、前日からの気温差が大きい日でなければならない。また、美しい滝雲を見るには、適度な風も重要な要素と言われている。
一睡もせずに仕事終わりからそのまま長距離運転をしてきたので、疲労がピークに達している。始発のバスは4時と聞いていたので、僅かでも仮眠ができればと思っていたが、3時前には既にバス乗り場が煌々と明るくなって人だかりができていたので、慌ててザックを持っては光に向かって走っていった。
バス乗り場は、白銀の湯の正面入口の前にあった。最初にチケットを購入して列に並ぶ。チケットは往復で1,000円。バスに関してはほとんど下調べをしていなかったので、売り場の方に聞くと、滝雲のためのバスなので、基本、峠へ向かうバスは早朝の日の出まで。帰りのバスは早朝の戻りを除くと15時しかないと言う。登山目的の場合は、遅い人も早い人も15時に合わせないと自力下山となるので要注意と言うことだ。
早めに行動したのが良かったのか、列には5,6人程度で、登山者半分、カメラマン半分の割合だった。
じっとしていると肌寒かったが、耐えられないほどではなかった。4時始発と聞いていたので、「もう少し我慢しないと」と思っていたが、有難いことにかなり前倒しでバスがやって来た。今週末は相当の来客が予想されるので、運行時間も便数も臨機応変に対応していると言っていた。バスと言っても大型のバンだったので、便数を増やしても人数が限られてしまう。15時のバスにちゃんと乗れるだろうかと少し心配になってしまった。
バスに乗り込み、いざ出発。くねくねと曲がりくねった細い道を器用に上って行くこと15分。峠に着くと、前泊をしていた峠の駐車場組もいて人で溢れていた。(ちなみにシャトルバスは、白銀の湯発の他に交流センターユピオからも出ている)
深い山間の峠。真っ暗闇で、見上げると、頭上には今年一番の星空が広がっていた。空気も澄んでいて幸先が良い。
高度を上げた分、さっきよりも肌寒い。今日の日の出は5:51なので、それまでにはかなりの時間があったが、ここまで来ると山登りモードのスイッチがONになり。ウズウズする心が抑えきれなかったので、滝雲のビューポイントまで移動して待つことにした。
チケット購入の際にもらったリーフレットによると滝雲のビューポイントは全部で7つあるが、登山者に適しているのはポイント①と②。いずれも峠から越後駒ケ岳の登山道を少し進んだところにあり、滝雲を眺めた後はそのまま登山ができるので適している。
まずは、ポイント①まで進む。
歩きだしてすぐに、右手の手袋がないことに気が付いた。滅多にしないので、つい無造作に扱ってしまう。すぐに見つかるだろうと思って駐車場まで引き返したが、結局、見つけることはできなかった。指先が冷たかったが、我慢できないほどではなかったので、自分が悪いと諦めることにした。
ポイント①に15分程度で到着。
写真でよくみる「ビューポイント①」と書かれた大きな看板があった。暗闇の中でも見落とすことはないだろう。
看板の横にしゃがみ込み、場所を確保する。近くにもカメラを構えた男性が一人いた。
星空がくっきり見えるほど暗かったが、それでもビューポイントからは、眼下に広がる雲海がはっきり見えた。山間に溜まった雲が溢れて手前の谷の方へと流れ落ちている。静かにゆっくり。シルクのような滑らかな質感が伝わってくる。
30分もすると、遠く峰の輪郭が赤く浮きがってきた。同時に空から星が去っていく。
数分で、一段と雲海が浮き上がってきた。すごい量の雲が流れ落ちているのがはっきりと見える。あまりにもスケールが大きすぎてすべてがスローモーションのように見えた。自然が魅せるパフォーマンスに寒さも忘れて息をのんで見守っていた。
1時間以上、座り込んでいただろうか。
山の輪郭をなぞるように明るい光が空を照らしたと思ったら、真っ赤な太陽が昇ってきた。同時に、雲海が赤く染まり、流れ落ちる滝の躍動感が増す。
以前、南アルプスを縦走した際にも、巨大な滝雲を見たことがあったが、こんなに間近で見たことはなかった。この感動はきっとカメラでは残せないだろう。
太陽が昇りきるまで光による景色の変化を楽しんだあと、ようやく立ち上がって寒さで凍えた身体をほぐした。あれほど張りつめていた空気も太陽の光を受けて温かく感じるようになった。
遠くにモルゲンロートで赤く染まった大きな山が見えた。それが、今日の目的地、越後駒ケ岳。
今日のコースは、頂を目指してただひたすら縦走する。周囲が微かに色づいており、素敵な山登りになりそうだった。
歩き出して5分程度のところに「ビューポイント②」があった。カメラマンが5人程、登山道の脇に陣取りながらポイント①よりも高い位置で滝雲を狙っている。滝雲は太陽が出ると徐々に消えてしまうが、1時間程はシャッターチャンスが続くらしい。
軽いアップダウンを繰り返しながら、軽快に歩いていく。
登山道は百名山だけあってとても整備されていて歩きやすい。なにより空が広くて、稜線歩きが、最高に気持ち良い。百名山に対して失礼だが、正直こんなに良い山だとは思っていなかった。
途中、「銀の道」と交差した。名前の通り、銀を運ぶための道。大昔、銀山平では銀の採掘が行われており、この場所を越えて魚沼市街まで運び出していたとか。バスチケットを買う時に、おばさんが、「歩いて帰るなら銀の道だよ」と言っていたのを思い出した。
先はまだまだ長いが、風格のある頂が近づくにつれ徐々に大きくなっていく様子に、ワクワク感が止まらない。越後駒ケ岳の左横にも大きな山があった。きっと中ノ岳だろう。ちなみに、最高峰の越後駒ケ岳(2,003m、別名:魚沼駒ヶ岳)を筆頭に、中ノ岳(2,085m)と八海山 (1,778m)を総じて越後三山と呼ぶ。個人的には、八海山に一番憧れているので、いつかは必ず足を運んでみたいと思っている。
八海山は、今のところ越後駒ケ岳に隠れていてここからは見えなかった。
小倉山に到着。
「駒の湯」からの合流地点でもある。駒の湯からのルートは、枝折峠からのルートと距離的にはさほど変わらないが、標高差が+600mもあり、鎖場も加わり健脚コースと言われている。今回の目的が滝雲でなければ、きっとこっちを選んでいたと思う。
長い道のりを歩き続け、ようやく百草ノ池へ到着。
ここまで来ると越後駒ケ岳ももう目前。しかし、頂は見上げる先にありここからは本格的な登りとなる。
徐々に高度を上げていくと、周囲の樹々もかなり色づいてきた。ここの紅葉は基本的に黄色系が多いようだった。振り返るといつの間にか、黄色の絨毯に包まれていた。
前駒まで来ると、一層、高山感が増してアルプスのような贅沢な風景が広がった。
岩場の赤い丸印を頼りに岩稜地帯を抜けると、突如、黒い小屋が見えてきた。これが「駒の小屋」。
小屋の前に休憩するための広場があったので、腰を下ろして水分補給をする。
小屋の奥には、頂へとつながるそそり立つような斜面が見える。そこを真っすぐに延びていく道。思わず「うーん」と唸ってしまう程の美しさだった。
見ているといてもたってもいられなくなったので、休憩もそこそこに歩き出すことにした。
空に向かって登って行く爽快感。紅葉に包まれた頂。今日はなんて贅沢な日なんだろうか。
小屋から見上げるとかなりの高度差があるように感じたが、10分ほどでトップにたどり着いた。そこには分岐点があり、右に曲がれば越後駒ヶ岳の山頂。左に曲がれば中ノ岳への縦走路となっていた。中ノ岳まで5kmと書かれていたので、「行きたい!」と一瞬心が揺らいだが、帰りのバスが読めなかったので、ここは大人しく頂きの方へと向かことにした。
向かうと言っても越後駒ケ岳の頂までは分岐点から数分程度。しかも水平移動であっという間に到着した。
三角点の近くには、写真でよく見る銅像が鎮座していた。仏像ではなく修験者にも見える。
諸説あるようだが、後で調べてみると「古事記や日本書紀に登場する、道案内の神猿田彦の像」という説が有力なようだった。
頂に立ってみると360度のパノラマにただ圧倒される。
これまで歩いてきた道のりが一望でき、大蛇が這うような稜線を縦走してきたかと思うと達成感が半端ない。
越後駒ケ岳のすぐ脇で最も存在感を示す山は、越後三山の最後の一つ「八海山」。鎖場も多いと聞いていたが、なるほど雄々しい山容だ。その奥に目を凝らすと、巻機山も見えた。さらに奥には妙高や火打と思われる山も確認できる。目が馴れてくると、更に真っ白になった山なみも見えた。北アルプス。はもう冠雪しているようだった。
尾瀬の方へと目を移すと、双耳峰の燧ヶ岳がすぐに分かった。この周辺の山には疎いが、夜空の北極星ばりに燧ヶ岳はよい目印になっている。そこを起点に平ヶ岳や日光白根山も直ぐに確認できた。
名だたる山々の絶景を堪能し、お腹が空いたので昼食をとろうかとも思ったが、人が溢れてきたので山小屋まで戻ってから食べることにした。
15時のバスには楽勝だったので、カップ麺を食べた後、コーヒーを淹れてゆっくりと時間を過ごす。紅葉した山なみと流れていく雲を眺めているだけで、心の中にパワーがみなぎってくる想いだった。
山小屋でバッチを販売していたので、おじさんに試しに見せてもらった。昔っぽいデザインで躊躇したが、これも記念と思い一つ購入をしてから下山を開始した。
「行きはよいよい、帰りは恐い」ではないが、頂へ挑むような稜線歩きはとても楽しかったが、その逆はただひたすら長かった。枝折峠から越後駒ケ岳は、累積標高差約1,348m、距離約14.2km。一方、先だって登った甲武信ヶ岳の西沢渓谷からのコースは、累積標高差約1,717m、距離約12.7kmと、甲武信ヶ岳の方が断然しんどいはずなのに、体感的には越後駒ケ岳の方が疲れた気がした。
13時30分を少し過ぎて枝折峠へ帰着。
5,6人の登山者がバスを待ちながら休憩をしていた。一人の方に話しかけると「さっきから何度も電話しているのですが、ちっともバスが来る様子がないんですよ」と。「いや、帰りのバスは15時のみって言っていましたよ」と伝えたら、「えーーーっそうなんですか?」と驚いていた。
正直、15時まではさすがに長すぎると思ったが、山の余韻を楽しむには丁度良いと、草の上に寝っ転がり、残った水をがぶがぶと飲んだ。節水していたので、身体中が一気に潤った。
始発のバスが早く来てくれたように、きっと帰りのバスも早く来るだろうと楽観していたら予想的中。14時にスタッフの方が来てくれて、「今日は登山者が多いのですぐにバスを回すます。もう少し待ってください」声をかけてくれた。途上国並みのアバウトさだが、ラッキーだった。
かくして、一時間早めに車まで戻ることができたので、その分、たっぷり白銀の湯につかり、登山の汗を流すことができた。
念願の滝雲に越後三山の越後駒ケ岳。今回も記憶に残る良い山旅だった。
最後に、「我ながら凄い」をもう一回。結局、昨晩から一睡もせずに、また同じ距離を走って帰り着いた。いつもながらどんなハードな山よりも道中の車の運転が一番ハードと言える。

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登った山

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