行程・コース
天候
初日:快晴のち晴れ、2日目:晴れのち曇り
登山口へのアクセス
バス
その他:
往路:新松田駅→寄バス停
復路:大倉バス停→渋沢駅
この登山記録の行程
●1日目
寄(08:20)・・・林道分岐(08:46)・・・やどりき大橋(08:55)・・・釜場平(10:36-10:45)・・・寄コシバ沢分岐(10:58)・・・鍋割峠取付(11:30-11:35)・・・鍋割峠(12:15-12:41-13:17)・・・オガラ沢分岐(13:36)・・・旧鍋割峠(13:57-14:10)・・・オガラ沢ノ頭(14:17)・・・山ノ神取付(15:05)・・・尊仏ノ土平(15:15)・・・尊仏ノ土平道標@箒杉沢分岐(15:25)・・・棚沢出合(16:10~16:40)ビバーク
●2日目
棚沢出合(04:20)・・・みやま新道取付(05:40-06:00)・・・丹沢山(08:42-09:17)・・・塔ノ岳山頂(10:23-10:28)・・・金冷シ(10:42)・・・花立山荘(11:00-11:30)・・・茅場平(11:50)・・・小草平(12:07)・・・駒止茶屋(12:25)・・・雑事場ノ平(12:57-13:00)・・・観音茶屋(13:19)・・・大倉(13:45)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
一昨年、みやま新道という名を耳にした時、そのふわっとした響きが気になって調べ始めると、数人の登山記録はあるものの、ピンクリボンがないとか、殆ど四つん這いで登った様な、全くふわっとしていない内容だった。
さらに、地理的な情報としても、大きなサルノコシカケがあるとか、箒杉沢林道の外れから尾根状に枯れ木が見える様な、全く参考にならない情報ばかりだ。
情報のなさも、ここまで行くと未踏峰!
丹沢の未踏峰を目指すのだという高揚感に包まれたものの、タイミングを失したまま1年以上が過ぎ、ようやく決行に至った。
■寄~鍋割峠
GW始めの天気が良い日だけあって、新松田発の寄行きのバスはほぼ満員で、寄で下車すると殆どはシダンゴ山方面へ向かうのか、水源林方向には誰も来なかった。
水源林の入口で登山届けを提出し、オガラ沢出合を目指した。
誰にも会わないままコシバ沢出合から、ゴーロのコシバ沢を遡上し、鍋割峠の取付きからコシバ沢左岸尾根に乗る。
尾根に至る経路は、一部踏み跡がない状態だったが、登れそうな場所を登って鍋割峠に到着、倒木に腰掛け昼食を食べていると、雨山峠方向から4人が通過、この比較的寂しいコースでこの人数だから、鍋割山山頂はディズニーランド並みの混雑だろう。
■旧鍋割峠へのトラバースを試みる。
鍋割峠での昼食後、計画にはなかったが旧鍋割峠への崩落地をトラバースするルートへ向ってみた。ヘルメットとロープを準備し、鍋割峠北側の踏み跡を進むと、すぐに崩落地の際に出た。
降下点は取っ掛かりもなく、滑落したら20m以上は落ちそうだったので、腕くらいの太さの木の根にロープを渡して降下し、ザレザレの地面にステップを刻んで10m程トラバースすると、突き出た小さな尾根が有り、これを乗り越え向こう側を見ると、同じ様な感じで延々続いている様だ。
これを延々と200m以上こなしていくのは結構な時間がかかると考え、引き返す事にした。
降下点に戻ると、泥の乗った岩盤は、取っ掛かりもないため登り返せない。先程のロープは回収してしまって使えない。そのため先程の尾根に戻り、そこから登り返して登山道に出た。
30分程、ロスしてしまったが、この経路は、もう少し調査してから再チャレンジしてみたい。
■鍋割峠~尊仏土平
登山道からロープを越え、鍋割の北尾根へ入った。このところ、ユーシン方面への回廊にしているため慣れた感じだったが、この日は尾根の下の方から何か動くものが見えたのは、ピッケルを持って登ってくる登山者だった。
ここで人に出会うのは初めてだったので話を交わすと、鍋割の北東尾根から鍋割沢に降りた後、こちらの尾根を上がってきたとの事だった。
お気を付けてと声をかけて別れたが、こうしたルートを歩く時はピッケルは必須だなと感じた。
鍋割峠でもピッケルがあればもう少し安心感があったと思うし、登攀時にホールドに手が届かない時など、アックスの様に手の延長としても使える。次回は持っていこうと思った。
途中、支尾根へ引き込まれそうになったが、計画より早く尊仏土平へ到着した。
■尊仏土平~棚沢出合野営地
一昨年の11月に来た時と変化はなく、前回ビバークした棚沢出合の野営地は今回も快適に過ごせそうだったが、明日の行程を少しでも推し進めたかったので、先へ進む。
林道跡を2つ目の堰堤まで進んだが、その先は川から押し流された岩で埋まっており、野営可能な場所を見つけられる可能性も確信できなかったため、日没まで2時間程あったが、棚沢出合の野営適地まで戻り、この日の行動はそこまでとした。
ユーシン水系の素晴らしいところは、水が豊富で人も殆どはいってこないため汚染リスクも少なく、沢水をそのまま飲んでも大丈夫なところだ。(人による。)
その分、背負う水も谷に降りるまでの飲み水のみで澄むため、荷物を軽くできるのが最大のメリットと言える。
夕食はアルファ化米のカレーピラフに、塩分補給のため、賞味期限は1年以上過ぎてはいたが、全然平気だった、フリーズドライのカニ汁で済ました。
夜間の降雨確率は10%と低かったので、シェルター内の結露防止のため、入口を半分程開けて寝たが、少々は結露した。
■棚沢出合野営地~みやま新道取付
翌朝、日の出前に野営地を出発し、箒杉沢の上流を目指す。
大金沢出合から二つ目の堰堤を越え河原を進むと、左岸の河原に直径1m程の土管の残骸が転がっており、その先に林道の続きが現れるので、そこから再び林道に乗る。
林道は大きく右左とカーブを描き、三つ目の堰堤際を越えるが、ここで崩落してきた山側からの土砂に埋もれており、ここを越えて更に進む。
そのまま六つ目の堰堤まで左岸の林道を進むと林道は切れているので、対岸の崩れた土砂の向こうにガードレールの残骸が見えるので、右岸側に渡渉して崩れやすい崩落地を登り、土砂を越えた先、七つ目の堰堤際から林道に復帰した。
そこから左手を見ると、排水溝のある石垣の上にガードレールが見え、林道を進んだ先で左に曲がるとガードレールの側に出るが、S時になった道路の上から流れてくる湧水のため、右に折れた先まで浅い川底を歩く様な感じで荒れていた。
九十九折りの林道を更に左へ曲がると、その先で崩落していたので路肩を上がって林道終点に出た。
その先は二つの沢の合流点で、手前の沢を渡渉し、中州を越えて箒杉沢の対岸にある、丹沢山南西尾根末端のみやま新道取付きに到着した。
■みやま新道取付~丹沢山
取付きに到着したものの、尾根末端は崩落した土砂のため崩れやすく、5m程上にオーバーハングになった木の根元が飛び出している。
ここでダブルアックスならともかく、直登は難しそうだったので、地形図上は若干ゆるそうな尾根の北側側面から攻める事を決め、斜面をトラバースして上流の堰堤近傍まで移動した。
その位置からもザレザレの足下は不安定だったが、ステップを霧ながら斜めに上がって行き、木の根を取っ掛かりに上がるしかないと考え実行、朽ちていないしっかりとした木の根をホールドにして体を尾根に持ち上げたが、木の密集したヤセ尾根は安心して身をおける場所がないためとにかく登るしかなく、100m程登った辺りでようやく人一人が立てる平らな地面があったので、そこで立ったまま行動食を口にした。
みやま新道は丹沢山山頂まで、ピンクリボン等のマーキングは一切なかった、わずかに残る踏み跡も数える程度、数カ所、比較的新しい斜面を上がった足跡もあり、ネット上の記録では、ハンドルネーム“塾長”さんが4月始めにここを通過している様なので、その足跡かもしれない。
このルートの半分近くは手足を使って体を引き上げる箇所であり、岩はボロボロでホールドとして全く信用ならない。立木にしてもホールドに使えるかを揺すって確認する必要があり、そうして体重を掛けたとたん、根が乗っていた一抱えくらいある岩が抜け、足をかすめて落ちて行った。巻き込まれていたら死んだかも。
この様なバリエーションルートは、うかつに負傷して行動不能になったら、電話も通じず、偶然発見される事も殆どない。
1500m付近で尾根は岩がせり立ってきたので直登はやめ、尾根のサイドからアプローチするため、付近を見渡すと踏み跡らしきものがあったので、左側から回り込んで尾根上に上がった。
少し行くと樹木は切れ、開けた膝くらいの笹藪になった。
山頂は目の前だが、踏み跡は左に大きく回り込んでいたので、その通りに進む。踏み跡の頂点はやや開けて地面がむき出しになっており、糞尿の臭いがして臭かった。山小屋の屎尿投棄場所か?
そして踏み跡は山頂の方へ続き、そのまま進むと見覚えのある鳥居状のシルエットが見えた。
丹沢山山頂だ。
■丹沢山~大倉
本来なら下山後に飲むコーラだったが、今回はこれで終わった感が強かったため、みやま山荘でコーラを購入して山頂で一息ついた。山頂は人が多く、マメザクラも満開だった。
あとは下山。まずは塔ノ岳を目指す。
途中、ロープもある事だし、尊仏岩を目指そうかとも考えたが、こうした気まぐれで予定外の行動をすると、何かあっても発見されず、山に吸収される死亡フラグと考えやめた。
途中、花立山荘のかき氷の誘惑に抗えず、ふのりうどん(2月はきのこうどんだった。)で塩分補給のできる昼食を取り、デザートにかき氷を食べた。
この頃から足が痛くて歩きたくなくなってきた。
これは、靴の中で左足の薬指の端をを中指で踏んでしまい、激痛で歩きにくくなるためで、いつも絆創膏を巻いて踏みしろが飛び出ない様に処置しているが、今回は巻きが甘くて踏んでしまい、大倉尾根の下山は足に衝撃が出ない様にソロリソロリと歩かざるを得なかった。
大倉到着後は、良いタイミングでバスに乗れ、スムーズに帰宅できた。
今回は、日本百名山の丹沢山を未踏峰へのアタック気分で登頂したが、教訓として、ジムのホールドは取れないが、自然界のホールドは簡単に取れるという事を実感した。
行動中、ジオグラフィカのスピーチで「雑な登山になっていませんか?丁寧な登山を心がけましょう。」と何回もしゃべっているのを聞いて、より慎重な気分になる事ができた。
蛭ヶ岳南稜も魔の山だったが、丹沢山南西稜は、更に恐ろしい山だった。
なお、丹沢の山は、これまでに営林署が殆どの尾根に森林調査のため入っているため、経路が付いているそうなので、今後も登山道のない人気がなく静かな丹沢の山を縦横無人に踏破したいと思う。
フォトギャラリー:38枚
装備・携行品
シャツ | アンダーウェア | ソフトシェル・ウインドシェル | ロングパンツ | サポートタイツ | 靴下 |
レインウェア | 登山靴 | バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
予備電池 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス | 地図 |
コンパス | 腕時計 | カメラ | 登山計画書(控え) | ナイフ | 修理用具 |
ツエルト | ホイッスル | 医療品 | 熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー | 非常食 |
行動食 | テーピングテープ | トレッキングポール | GPS機器 | シュラフ | テントマット |
スリーピングマット | ストーブ | 燃料 | ライター | カップ | クッカー |
カトラリー | ロープ | エイト環・ATC | カラビナ | 安全環付きカラビナ | スリング |
ヘルメット | |||||
【その他】
装備重量:約10kg+(水@ポカリ500mlペットボトル×2) 食料:1日昼食@ランチパック×2+バームクーヘン、夕食@アルファ化米(カレーピラフ)+みそ汁 2日朝食@アルファ化米(えびピラフ)+ランチパック、昼食@行動食(バームクーヘン+花立山荘@ふのりうどん:¥800、かき氷:¥500) 非常食:ブラックサンダー×6、バームクーヘン×9片 水:1.0L@ポカリ500ml×2(使用量/保有量@初日:2.0L/2.0L+沢水1.2L、2日目:1.9L/2.0L+コーラ500ml) ガス使用量:22g(調理回数2回+アルファ化米、みそ汁、コーヒー沸かし) その他:エアピロー 追加した方がいいモノ(ヘッデンかCarey the Sun、ピッケル) ------------------------------ 日出/日没(18:36/04:46) 気温:日中:20~15℃程度、夜:14~13℃、明け方:12~11℃ ------------------------------ エスケープ:鍋割北尾根下降前は寄に向けて下山、鍋割下降後は塔ノ岳西陵登山道を通り、塔ノ岳経由、大倉へ下山する。 |
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