行程・コース
天候
晴れのち曇り
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「市ノ瀬ビジターセンター」をセット。
整備された駐車場(無料)とトイレあり。4月下旬までは閉鎖されているので、HPをよく確認する必要あり(2024年度は4月26日から開館)。またGW時期は別途出合までのバスがないため、白山登山者も多く利用するため早めの到着を進める。
この登山記録の行程
市ノ瀬ビジターセンター(06:35)・・・猿壁登山口・・・チブリ尾根避難小屋(10:00)・・・御舎利山(11:45)・・・別山(12:11)・・・(昼食)・・・御舎利山(12:53)・・・チブリ尾根避難小屋(13:41)・・・猿壁登山口・・・市ノ瀬ビジターセンター(16:16)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
GW前半。登山3日目。
「恒例、残雪期の白山に行こう!」と計画していたが、「昨年の別山も良かったよね」という会話に、隊長が反応して急きょ行き先が別山に変更となった。
どのみちこの時期は、白山も別山も起点は同じ「市ノ瀬ビジターセンター」であり、どちらの山もそれぞれに素晴らしいので、我々としても異論なく即決となった。
7時前にビジターセンターに到着。少し肌寒いくらいの凛とした空気が心地よく、朝の木漏れ日が新緑を照らしていて、とても清々しかった。
バス運行前のひと気の少ないビジターセンター。この時期の白山は、バスがないため登山口となる別当出合まで延々と林道を歩かなければならないが、それでも白山の人気は高く、ビジターセンターにやってくる登山者のほとんどは白山を目指していく。
別山へ向かったのは、我々を除いてたった3名だけだった。人気がない訳ではなく、白山の知名度が大きすぎてどうしても隠れてしまうが、その魅力は白山とそん色はない。むしろ、「別山を登って初めて白山を知ることができる」と、その眺望の素晴らしさからいろんな人にお勧めしている個人的にも超お気に入りの山だ。
出発してすぐに白山へ向かう林道とは別れ、分岐した道を進み別山の登山口へと向かっていく。林道から登山道へと変わり、暫くは水平移動をしながら谷間の深部へと進んでいく。
途中、サンカヨウとンニリンソウの群生地を通り過ぎた。一年前に来た時は、若干遅かったが、今年はまさにこれからというタイミングで咲き誇っていた。サンカヨウは春の花の中でも特に気に入っているため、眩しいばかりの純白の花に暫く見とれてしまった。
水平移動が終わると、九十九折に登山道が変わり、ジグザグと斜面を登って行く。
所々で雪解けの水が斜面を伝って流れ落ちていた。ザゼンソウのポイントで花を探してみるが、どこにも見当たらず諦めて立ち去ろうとした時にやっと小さな一株を見つけることができた。ともすれば見落としそうな小さな蕾だったが、今年も芽吹いていることに感激して、「頑張って咲けよ!」と声をかけて通り過ぎた。
斜面を登り切ると、今度は尾根に沿って高度を上げていく。ここでは真っ白なタムシバが咲き誇っていて、遠くから見るとまるで雪が積もっているかのように見えた。
更に進むと、日陰に残雪が目立つようになってきた。
展望がきくところで振り返ると、大長、赤兎山、荒島岳の雄姿がドドーンと見えた。いずれも福井が誇る名山だ。冬の大長にはここ数年、足を運べていないので、見ているだけでうずうずしてしまう。
左前方にゼブラ状に残雪を纏った山が見えてきた。説明不要の白山だ。空を覆うかのような巨大な容積と日本三霊山の一つだけあって神秘的な風格を持っている。
「もっと近くに!真正面から見たい!」と歩く足にも力が入ってくる。
熊笹の間を縫うように急登を登り切ると尾根の肩の部分に出る。ここまで来ると、数ヶ月、季節が戻ったかのように見渡す限り銀世界となる。
雪の回廊に立ち、ついに真正面に白山と対峙する。
回廊の先には、壁のように立ちはだかる別山が見えた。鋭く尖った部分は御舎利山だ。
その頂から稜線が大きくアップダウンしながら白山まで続いている。ゼブラの山肌がまるで一枚の大きな屏風のようだで、白と黒のツートンが織りなす模様なたまらなく美しかった。
進行方向に黒い屋根が見えた。チブリ尾根避難小屋だ。
これから迎える御舎利山までの最難関に挑むにあたり、絶妙な位置に建っている小屋と言える。
遮るものが無くなったためか、「ごーっ」と風が唸り声をあげていた。体感で風速10mは軽く超えている。高度を上げるに比例して、さらに強くなると予想されため、状況次第では頂を諦め、撤退も想定しておかなければならないと思った。
体温が奪われないようウインドブレーカーを着込み、アイゼンを装着して出発する。
目の前の反り返るような断崖を登りまずは「御舎利山」を目指す。
ここ最近、山に登る度に何か一つは忘れ物をしているが、今回は、致命的なものを忘れてきてしまった。雪山に行こうとわざわざピッケルを持ち帰って来たのに、なんと家に置き忘れるという大失態を犯してしまった。
ポールが無くても登山はできるが、滑落した時のことを考えると雪山にピッケルは必須だ。そう思うと自分の迂闊さが一層情けなかった。
なにかピッケルの代わりになるような手ごろな枝がないかと歩きながら探していたところ、あしらえたかのようなピッタリの長さの枝が見つかった。拾って握ってみると太さもほどよくグリップする。緩やかにカーブした形状がとても扱いやすかった。この時期の雪室であれば、これでも充分に役に立ってくれるだろう。
ジグザグに登って行く夏道とは違い、雪面に真正面から向き合い直登していく。
春の日差しで表面は柔らかくなっていたが、腐ってはいなかったので踏み抜きもなく登ることができた。
息が荒くなるが、一気に高度を上げていく感覚がたまらない。
直登を終えると、最後はゴロゴロと石がむき出しのガレた夏道を登って行く。
頂の向こう側は再び残雪ゾーンとなるので、歩きにくいのを我慢しながらガシガシとアイゼンのままで登って行く。
御舎利山へ到着。
もう「手が届くのでは」と思えるほどに白山が近くに見えた。
風は相変わらず強かったが、吹き飛ばされるほどではなかった。
雪面に入った亀裂から距離をとりつつ、ほぼ水平移動の稜線を10分も歩くと別山の頂に到着した。実に1年ぶりの別山だ。
思ったよりも疲労していたが、別山からの眺めは、それを吹き飛ばすほどのご褒美だった。
頂の向こう側には、美濃禅定道と呼ばれる石徹白(岐阜県)から別山を経由して白山に続くルートのうち、銚子ヶ峰、一ノ峰、二ノ峰、そして三ノ峰の主要な峰々がはっきりと見えた。登山ルートの中でも特に思い入れがある好きなコースの一つだ。
強い風が急速に体温を奪っていくので、祠の石壁に避難して昼食タイムとさせて頂く。
石壁の間から白山を眺めながら、今年も残雪期の白山に会えたことに感謝しつつ、持ってきたおいなりさんをがっついた。
天候が急速に悪化しているようで、食事を終えるころには白山の頂もすっかり雲の中だった。空には灰色の雲が広がっている。天気予報では「雨は降らない」と言っていたが、楽観できる様子ではなかったので、急いで食事を終えて一気に下山した。
結果、無事、雨が降る前に下山することが出来た。
GW前半締めの登山。花と残雪を思いっきり楽しむことが出来たと、ほどよい疲労感とともに市ノ瀬ビジターセンターをあとにした。




















