行程・コース
天候
初日:晴のち雷雨のち濃霧、2日目:曇り
利用した登山口
登山口へのアクセス
バス
その他:
往路:茅野駅→美し森駐車場(清里シャトルバス北部周遊)
復路:美濃戸口→茅野駅(午前・午後共、2便)
この登山記録の行程
【1日目】
美し森(11:27)・・・羽衣池(12:03)[休憩 2分]・・・リフト山頂駅(13:00)[休憩 15分]・・・牛首山(14:53)[休憩 8分]・・・六合目(16:03)[休憩 15分]・・・行者小屋(21:07)
【2日目】
行者小屋(04:30)・・・美濃戸(06:50)[休憩 25分]・・・美濃戸口(08:03)
高低図
標準タイム比較グラフ
登山記録
行動記録・感想・メモ
清里の美し森から登る赤岳。
数年前に大病を患って、もうきつい山は無理なのかなと弱気になっていた時期に、家族と訪れた清里の美し森。病み上がりの体で羽衣池まで上がったものの、そのときの自分には、このまま真教寺尾根を通って赤岳まで行けるとは思えなかった。
体力も回復してきた頃から計画は立てていたものの、なかなか実行に移せずにいたが、梅雨明けの不安定な山の天気を眺めながら、行かない理由ばかりを考えている自分だった。
ここは、雷注意報が出ていても、行ってから考えるべきでしょ!と、この週末を見送ったら、次に山へ行くのは8月になってしまいそうだったので、GPV予報で赤岳は、夕方、西から弱い雨雲が流れてくるとの事だったが、取りあえず行って登ってみることにした。
■清里
真教寺尾根から遠ざかっていた理由の一つに、電車の乗り継ぎが悪く、小淵沢には8時半頃に到着するのに、小海線の清里行きが来るのは10時過ぎと、連接が悪くて登山口発が遅れてしまうことだった。
そして、連接の良い清里シャトルバスに乗り、美し森に降り立ったのは11時と遅かったが、ヒンヤリと冷たくて美味しそうな水をトイレの手洗いで、ビバークを想定して3L汲み、リゾート客があふれる美し森山への木段を上がった。
■賽の河原
たかね荘との分岐に登山ポストがあったので、登山届けを提出し、羽衣池へ。
羽衣池まではハイキング客がボチボチいたが、その先はうっそうとした笹藪の中の踏み跡をひたすら登っていく感じだった。朝露がある時だったら、ズボンがびっしょり濡れてしまいそうなヤブだったが、昼前なので乾燥しており、ズボンを濡らさないまま展望ヒュッテ方面へ向かう。やがて子どもの声が響く様になってくると、上がっていくリフトに乗っている人が見えた。
展望ヒュッテへの分岐を少し行くと賽の河原に到着、開けたここで、小淵沢の丸政そばで買ったおにぎりを食べていると、親子連れの登山客が牛首山方面から下山してきた。
まあ、普通の夏山なら下山してくる時間だしなと思いながら挨拶して、牛首山へ向った。
■牛首山
基本的に笹に覆われた岩の多いところをドンドン登っていった。下りの時は、笹で足下が見えないから嫌な感じ。
途中、下山してきた子供会の引率登山みたいなグループとすれ違い天狗岩に出た。
天狗岩は、南に向いた崩落地で、どれが天狗岩か分からなかったが、こうした天狗が飛び立っていきそうな所に良くある名前なのだろう。
天狗岩から150m程登ると牛首山に到着した。牛首山はベンチが一つあるだけの、展望のない山だった。
■扇山
牛首山から扇山にかけての稜線は、数カ所平坦な場所があって、ビバークするならこの辺りだろうと、地図を見て目を付けていたとおりだった。扇山から少し行ったところから赤岳が一望できたが、赤岳山頂は雲の中、遠く東の空からは遠雷が聞こえていた。今夜のビバークを決断するなら今だが、どうする俺?
■真教寺尾根6合目
この日は日没が19時過ぎで、風も弱いことから、赤岳は雷大丈夫だろうと決断し、18時過ぎに真教寺尾根から赤岳登山道に合流できると踏んで出発、途中の経路は倒木に道が塞がれていたり、笹藪に覆われていたりと、一部ルーファイが必要な箇所もあった。
6合目でヘルメットと手袋を装着し、真教寺尾根核心部の登攀に備えた。
6合目から少し登ると、左右が切れ立った岩場が現れ、真教寺尾根の核心が始まったと思った。
この頃から、パラパラと雨が落ちだしたので、カッパを装着した。
■真教寺尾根核心部
パラパラ降り出した雨は、シトシト雨になった。遠かった雷は、稲妻こそ見えなかったものの、時々、頭の上で鳴るようになった。その都度、高い木の根本から離れ、雷が遠ざかるまでじっと待つことを数回繰り返し、予定では赤岳へ向っていたはずの18時半にまだ9合目の手前だった。選択肢として、暗闇の中、真教寺尾根の岩場を降るのと、比較的、明かりが残る森林限界上の岩場をこのまま登り、赤岳登頂は諦め、かつて知ったる文三郎道から行者小屋へ道を暗闇の中降りるのでは、どちらのリスクが大きいか?
結局、登る方を選択し、濡れて滑る岩場を落ちないように慎重に登った。
雨は弱くなったが、霧が濃くなり始めていて、岩場の上を見ても登山道のある稜線は、なかなか見えない。
10m程手前で、道標らしい十字のシルエットが見え、そこが真教寺尾根と稜線の登山道の合流だった。この時点で既に19時前、誰もいない、時間はない。
■暗闇の下山開始
合流点に到着してすぐに暗くなり、竜頭峰の西側をトラバースした先にある、赤岳と文三郎道の分岐までのコースは未踏だったので、霧が濃くなって視界が3m程しかない状態では心許なかった。稜線に出ると西側からの風が強くなり、まるで飛行機が雲の中に突入したようになったので、低体温症を警戒して、中は汗でずぶ濡れのカッパの装着を点検した。
竜頭峰からの登山道は、メジャーな登山道だけあって、基本的に○や矢印が岩にペンキで描かれており、鎖もあるのでわかりやすい。真教寺尾根にはこうしたものは一切なく、特に9合目では、薄暗くて鎖が見つからなかったので、太い針金に沿って脆い岩場を登りそうになった。(その下の前方に鎖を発見)
1カ所、竜頭峰直下の岩を巻く場所ではコースを見失い、岩陰に座ってモノポールシェルターの生地を被って朝を待とうと思ったが、地面の踏まれ具合を読んで、次の鎖場に復旧できた。
■暗闇の文三郎道
赤岳と文三郎道の分岐に到着できたのは19時20分、そこから鎖に沿ってルンゼの中を下った。
下を向くとカッパのフードから滴る水滴が、ヘッデンの光軸を通過して光る都度、前から誰かのヘッデンの明かりに照らされたような錯覚を覚えた。こうやって、山での幻覚は生じるのだな。
ルンゼを出ると、蛇行した礫の道になるが、クネクネして方向を見失いそうになるので、GPSに記録した次の道標の磁方位を参考に、進んでいる方向が間違っていないことをコンパスで確認しながら、文三郎と中岳のコルの分岐道標に到着した。
この先は、マムート階段なので、基本的に階段を降りていけば良いためナビは簡単、うかつな転倒に注意するだけだ。
■暗闇の行者小屋
21時過ぎに行者小屋に到着した。
小雨降る中、モノポールシェルターを設営、ダウンハガー#3を出そうと思ったが、これだけずぶ濡れでシングルウォールに入ったら結露で、さらにずぶ濡れになると思ったので出さなかった。汗で湿ったシャツの上にゴアのカッパを着たままゴロンして、着干しかなと思い、エアピローに空気を入れて就寝した。気温も15℃あるし、死なないだろう。水だけ飲んで、食事も取らずに寝た。
■素早い撤収!
寝心地悪くて、1時間に1度くらいのペースで目覚めて寝相を変えていたが、2時過ぎに登山部の夏合宿チームがガヤガヤし始め寝付けなくなったので寝るのを止めて起床、行動食のあんパンや、ランチパックを暖かくて甘いコーヒーで流し込んだ。昨晩から、こんな暖かいのが欲しかったんだ!
食後、速やかに撤収し、日出15分前に行者小屋を出発した。
■今回の下山メシ
南沢を通り美濃戸口へ下山し、下山後、八ヶ岳山荘で入浴。今回から入浴後のコーヒー付きで700円に変わっていた。入浴後、いつもならガッツリした山賊焼き定食を頼むところ、今回はなんだか疲れた感じだったので、とろろそばを注文、凄くモチモチの歯ごたえのソバが美味かった!
10時20分のバスまで時間をつぶし定刻に乗車、帰りの車窓から八ヶ岳の山々を見ると、昼前なのに積乱雲がモクモクし始めていて、すっかり夏の山だった。
今回は、リスクの高い昼過ぎの行動を強行してしまい、自分でも竜頭峰直下では、「これって遭難?」と思うような緊迫感のある状況を招いてしまったが、定義的には、同じ状況であっても、自助努力で回避できれば、遭難じゃないそうなんです。
次回以降、早めのビバークを心がけよう。
フォトギャラリー:37枚
装備・携行品
| シャツ | アンダーウェア | Tシャツ | ソフトシェル・ウインドシェル | ロングパンツ | 靴下 |
| レインウェア | 登山靴 | バックパック | スタッフバック | 水筒・テルモス | ヘッドランプ |
| 予備電池 | 傘 | タオル | 帽子 | グローブ | サングラス |
| 着替え | 地図 | コンパス | ノート・筆記用具 | 腕時計 | カメラ |
| 登山計画書(控え) | 修理用具 | ツエルト | 健康保険証 | ホイッスル | 医療品 |
| 虫除け | 熊鈴・ベアスプレー | ロールペーパー | 非常食 | 行動食 | テーピングテープ |
| トレッキングポール | GPS機器 | シュラフ | スリーピングマット | ストーブ | 燃料 |
| ライター | カップ | クッカー | カトラリー | ヘルメット | |
| 【その他】
装備重量:約9.3kg 食料:1日昼食@小淵沢・丸政そば、夕食@行動食 2日朝食@ランチパック×2+あんパン 非常食:アルファ化米 水:3.0L(美し森駐車場で給水)+ポカリ500ml×2、ビバーク地到着後は経口補水液を摂る(経口補水液の500ml用粉末持参) (使用量/保有量@初日:4.2L/2.2L、2日目:1.2L/0.6L) ガス使用量:9g(調理なし+コーヒー沸かし2回) 気温:日中:29℃(美し森)、6合目(17℃)、夜:14℃(行者小屋)、明け方:15℃(行者小屋) 日没/日出:19:09/04:39(7/26) エスケープ:行動可能な場合、同じ経路で最短の登山口へ下山する。 その他:幕営場所は牛首山山頂先の鞍部の予定、日没が遅いため、ペースが良い場合は巻いて赤岳登頂後、行者小屋まで降りてテン泊する。その場合、2日目は午前中のバス搭乗を企図して行動する。 |
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