行程・コース
天候
曇り
登山口へのアクセス
マイカー
その他:
カーナビには「松川温泉松川荘」をセット。駐車場の横に松川荘への分岐があり、松川荘は分岐を降った300mほど先にある。登山口は松川荘手前の橋を渡って地熱発電設備の右側斜面にある。駐車場は無料・未舗装20台程度。比較的綺麗なトイレあり。紅葉シーズンは駐車が困難なくらい混みあうため要注意。
この登山記録の行程
松川登山口駐車場(05:55)・・・松川登山口(06:05)・・・三ツ石山荘(08:10)(休憩~08:26)・・・三ツ石山(09:08)・・・三ツ沼(09:44)・・・ニセ小畚・・・小畚山(10:30)・・・大深岳(11:38)(昼食~11:54)・・・源太ヶ岳(12:25)・・・上倉水場(13:31)・・・丸森川(14:01)・・・源太ヶ岳登山口(14:51)・・・松川登山口駐車場(14:58)
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
山友、ともさんから三連休、東北遠征に行きませんか?と連絡があった。ちょうど「焼石岳へ行きたい」と考えていたものの、先週、天城山遠征をしたばかりだったので懐事情から躊躇していた。しかし、2人で行くなら交通費もその分楽になるし、紅葉時期の東北は無理をしてでも行く価値がある。
「どこに行きますか?」と聞くと、「三ツ石山」という言葉が返ってきた。
いろんな山がある中で、そのチョイスはさすがだ。
三ツ石山は、自分の中でも必ず行きたい山として、「行きたい山リスト・紅葉編」のトップに温めていた山だった。
もう断る理由はない。「是非、お願いします」と即答した。
かくして金曜日の夜、仕事を終えてそのままの勢いで那須高原サービスエリアの下道駐車場へ向かう。
20:30ちょうどに、駐車場手前に位置する国道4号線の交差点にあるセブンイレブンに到着し、ひと足先に着いて仮眠をしていたともさんと合流。自分の車をサービスエリア下道駐車場に停めて、ともさんの車で一路、東北を目指す。いつもは下道派の2人だが、今回は時間の関係から、行きだけは高速を使うことにした。とは言っても高速にしたって遠いものは遠い。
数日前に発生したダブル台風の影響で週末の天気は正直良くなかったが、東北の紅葉には1週間遅いくらいで、この日を逃すともう今年のチャンスは無くなってしまう。
遠征は二日間・二座をベースに、もし余力があれば三日目、帰路の途中で福島の山へ立ち寄ろうと計画をした。天気予報は、土曜日がギリギリ曇りで、日曜日は完全に雨マークだったので、メインの三ツ石山を1日目の土曜日にして、二日目の日曜日に三ツ石山から近い三百名山の一つ「五葉山」に登ることにした。
眠気を飛ばすために、途中、サービスエリアに立ち寄り、運転を交代しながら深夜の高速を走る。雨が降り出して視界が悪く運転も大変だったが、二人いると交代もできるし会話で疲れを和らげることもできて有難かった。本当だったら体力温存のために交代している間は仮眠をするべきだったが、二人とも遠足前の子供のように興奮して、眠ることなく山談義で盛り上がった。
効率的に車を走らせ、まだ薄暗いうちに松川温泉の登山口にある駐車場へ着くことができた。松川コースは初心者向けのポピュラーなコースに対して、駐車場は20台程のスペースしかないため、「もう満車かな?」と心配していたが、数台停まっていただけだったので、楽に駐車することが出来た。
行動開始にはまだ早かったので、少し仮眠をして明るくなるのを待ってから6時行動開始とした。
明け方に数台の車がやってきたが、やはり思っていたよりも少ない。多分、天気が悪いからだろうか。
車から出るとヒンヤリと肌寒かったので、珍しく長袖を着込むことにした。
雲が厚く朝日は見えなかったが、幸い雨は大丈夫そうだった。
車道を下って登山口のある松川温泉へ向かう。温泉の地熱を使った発電所があるようで、太いパイプが張り巡らされていた。10メートル以上の高さで真っ白な蒸気が立ち上がっていた。もの凄い熱量だった。
橋を渡り温泉手前の左手の斜面から登っていく。
最初の30分くらいは階段状の登山道が続く。
登りきったところで、左側に岩手山が見えた。雲のため一部しか見えなかったが、圧倒的な容積を持つ迫力は、隠れていてもなお存在感があった。
ここからは暫くはなだらかなルートとなる。整備された道でとても歩きやすかった。
低木の樹林帯を抜けると、小さな湿地帯が目に飛び込んできた。その向こうにポツンと建つ「三ツ石山荘」が見えた。
冷え込んできたので、少し休憩をしようと小屋へ避難をしてついでに軽く朝ごはんを食べることにした。
小屋を過ぎると山頂に向けて再び登りとなる。
ゆっくりと高度を上げていくと眼下に先ほどまでいた小屋が小さく見えていた。小屋の周辺にはなだらかな森が広がっている。その先には岩手山。雲が取れて迫力のある姿が他の山々を圧倒していた。「ここ一面が紅葉したらさぞ、凄いことになるだろうな」と想像した。以前に一枚の真っ赤に紅葉した山の写真を見たことが、三ツ石山に憧れた切っ掛けだったが、おそらくその写真に写っていた風景は今見ている場所からのものと同じに違いない。紅葉は写真にはほど遠かったが、同じ場所に立っていることに感動を覚えた。
斜面を更に登っていくと上の方に大きな岩が見えてきた。
それが三ツ石山の頂であり、山名の由来でもある。全体的になだらかな山容の三ツ石山は、どこから見ても頂に三つの岩が見えることからその名前がついたと言う。
岩の上に立つと360度が綺麗に見渡せた。
紅葉には少し遅かったのかも知れないが、それでも緑に混じってアクセントのように見事な紅葉が広がっていた。
岩の上からは秋田駒ケ岳もよく見えていた。花の秋田駒ケ岳も最高だったが、紅葉の秋田駒ケ岳にも行ってみたいものだ。
当初は、ピストンで戻る計画にしていたが、この景色を見てしまった以上、ここで引き返すのは勿体ないと、周遊で下山することにした。
もっとこの風景を堪能できる喜び!。この時の気分は、「一分でも長く、一歩でも遠く歩いていたかった」だった。
事実、三ツ石山の核心部はまさに頂の奥にあったと言っても過言ではなかった。
双六の「天空の滑走路」がそのまま緑に包まれたような稜線を歩いていく。
目線の高さで広がる紅葉に小さな池塘(三ツ沼)。北陸方面にはない光景にワクワクが止まらなかった。これが青空だったらもう感極まり気絶していたかも知れない。
軽いアップダウンを繰り返しながら、ニセ小畚から小畚山(「こもっこやま」と読む)へ。
三ツ石山の頂から小畚山までの区間は、これまでの山旅の中でも殿堂入りする素敵な縦走路だった。事実、ピストンでも小畚山まで足を伸ばす人は多いようだった。
小畚山からは一旦大きく降り、また大きく登り返す。そのコルの部分が絶妙な色合いで紅葉していた。普通の赤と黄色のグラデーションとは違い、白っぽい色も混じっている。遠目には桜が咲いているようだった。表現できない色彩に「こんな景色があるんだ」とただただ感心して魅入ってしまった。
登り返した先の正面に大きな山がある。稜線が右へと延びていて「大深岳」から「源太ヶ岳」へと続いている。通常「岳」と言うと荒々しい頂を持つ山を指すが、正直、「あそこがピークかな」と思う程度で、真っすぐに延びる稜線がとても気持ちよさそうだった。壮大なスケールに、見た目以上に距離が残っているのかも知れないが、その稜線をたっぷり歩けると思うとむしろ嬉しくなった。
下り坂傾向の空模様で、少し風が出てきた。肌寒くなってきたので先を急ぐ。
九十九折りで小畚山を降っていく。コルに近づくにつれ、どんどん紅葉の絨毯が目の前に広がっていく。リアルタイムに変化する景色がたまらなかった。
そして、周遊ルート最後の登り坂を登り大深岳へ。
緑の中に延びる一本の道を歩いていく。大深岳から源太ヶ岳までの区間は、全く紅葉していなかったが、緑一辺の景色もまた素敵だった。左手側には「八幡平」が見えていた。そして真正面には岩手山。ぐるりと見渡すと、八幡平から今歩いてきた道を結び更には岩手山まで緩やかにつながったルートが確認できる。「これが裏岩手山縦走路か」。いつか再訪して全てを繋いでみたいと思った。
大深岳で風を避けながら食事タイムとした。灌木に囲まれた山頂で展望は全くなかったが、その分、風を避けることができて良かった。
続いて源太ヶ岳へ向かう。
源太ヶ岳から先は、大きく切れ落ちていて裾野には森が広がっている。その森の中から白い蒸気が立ち上がっているのが見えた。出発する際に見た地熱発電の蒸気だ。
源太ヶ岳の頂から、ザレた斜面を一気に降っていく。森に向かって滑空しているような降り斜面だった。
森に入ると緩やかなルートとなり、色づいた樹々を愛でながらゆっくりと進む。蒸気の柱にはさほど距離はないと思っていたが意外に長く感じた。
下山後、松川温泉に立ち寄った。
日帰り温泉も可能で600円と安くて有難かった。内風呂と露天風呂があり、露天風呂は混浴だった。混浴と言っても女性専用の露天風呂もちゃんとあるため、わざわざ女性が混浴に来ることはないから、事実上の男風呂として安心?して入ることができる。
露天風呂にはシャンプーや石鹸が設置されていないため、露天風呂を最初に入って内風呂でしっかり体を洗うのがお作法のようだった。
お湯質が少し硬めに感じたが、白濁の湯と温泉独特の香りがとても心地よく、旅行気分を盛り上げてくれた。
あー来てよかった。
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