南アルプス北岳の登山道で焚火…ゴミの廃棄も
SNSで批判殺到…直火で焚火、ゴミを放置
広河原から北岳に向かう登山道で、焚火をしている人物を発見した、というSNSの投稿が、7月6日に投稿され7月11日時点で1.2万RTと注目を集めた。
当該人物は腰にサバイバルナイフを下げていたという。危険性を考慮し、発見者パーティは声をかけずにその場を去った。
男性はおそらくキャンプ指定地外で幕営し一晩過ごした後に、焚火をし、その後は原状回復もせず、燃え跡にメスティンやスプーンなどを捨てている。
SNSでは、「ありえない」「アウトドアブームで勘違いした人が増えてきているのかも」と批判が殺到した。
自然公園の特別保護地区では焚火は禁止
ここで、焚火や幕営の法令について確認してみよう。
まず、自然公園内の特別保護地区や、原生自然環境保全地域などでは、自然公園保護法、自然環境保全法で焚火が禁止されている。特別保護地区で焚火をした場合は、「6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられる。
今回のケースでは、第一ベンチ周辺ということで、自然公園の「特別保護地区」ではないため、この点では焚火は違法にはあたらない。ただし、燃えやすい森林等で注意をしないで焚火をすることは、軽犯罪法違反になる。
また、指定地以外での幕営は、自然公園法違反に該当する。メスティンの廃棄に関しても「廃棄物の処理及び清掃に関する法」に違反している。
山火事の原因のほとんどが人間の不注意。30%は焚火によるもの
焚火の不始末は、山火事の原因にもなり得る。消防庁の統計資料によれば、2016年~2020年の山火事(林野火災)の原因の31.4%が焚火、次いで火入れ、放火、たばこ、となっている。
焚火ではないが、2020年4月にはくじゅう連山で登山者のガスバーナーが原因で火災が発生し、1ヘクタールが燃えた。ミヤマキリシマが自生するエリアで、再生するには10年以上かかるという。