広沢寺の岩場清掃集会が新団体を設立。25年で培った「地域との絆」を未来へつなぐ

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25年にわたりクライマーや登山者たちがボランティアで活動を続けてきた「広沢寺(こうたくじ)の岩場清掃集会」。運営者の高齢化から、2025年3月でやむなく活動を終了した。しかし、地元や参加者などから継続を望む声が寄せられたことを受け、11月15日に新体制が発足。神奈川県内の山岳団体を中心に、来年以降も継続されることとなった。

広沢寺の岩場清掃集会(2025年3月)

2025年3月の清掃集会にはクライマーや登山者100人以上が参加

丹沢(たんざわ)山地の東側、七沢(ななさわ)地区にある広沢寺の岩場(滑岩、なめりいわ)は、弁天岩など複数の岩場があり、フリークライミングのほか岩稜や雪山を志す登山者の貴重な練習場となっている。

週末、平日を問わず多くの人が利用する広沢寺の岩場(弁天岩)

週末、平日を問わず多くの人が利用する広沢寺の岩場(弁天岩)

広沢寺で清掃活動が始まったのは2001年。きっかけは林道駐車やトイレ問題など利用者のマナーの悪さに土地所有者からクレームが寄せられたことだった。関係改善を図る場で、地元の人からゴミの不法投棄に困っているという話が出た。そこでクライマー有志が集まり、安村淳さんを代表に「広沢寺の岩場を守る会」を発足。毎年3月第一週日曜にゴミ回収や駐車場の竹林除去など七沢の環境整備に協力し、四半世紀にわたり良好な関係を築いてきた。

広沢寺の岩場清掃集会(写真提供=守る会)

扇風機や洗濯機などのゴミを大量に回収(写真提供=守る会)

広沢寺の岩場清掃集会協議会 設立総会

神奈川県山岳連盟会長の水島彰治さんら約20人が集った設立総会

11月15日、岩場に程近い神奈川県自然環境保全センターで、清掃集会協議会の設立総会が開かれた。集まったのは会員の神奈川県山岳連盟や神奈川県勤労者山岳連盟、みろく山の会、地域の代表など約20人。守る会の活動を、今後は県内の山岳団体が一堂に会する「ALL 神奈川」で引き継ぐ。役員の3分の1は30代、40代で若い世代も運営を担う。

玉川(たまがわ)公民館・地区市民センター長の山口真則さんは「七沢地区は自然豊かで、ハイキングコースもある観光地。ゴミの不法投棄は大きな問題だ。清掃活動の継続は七沢を魅力的な観光地としてさらに発展させる」と期待。事務局を務めるみろく山の会の梅澤渉さんは「今年の清掃集会でも大量のゴミが集まった。活動を終えたらゴミはどうなるのかと危機感をもつ。今後も長く続けたい」と意気込みを語る。

利用者のマナー違反や相次ぐ事故などで地域との軋轢を生じ、利用禁止となっている岩場は全国にある。会長の渡辺三男さんは「クライマーが地域の方に歓迎されるところはまれだ。岩場利用のモデルになるのでは」と考える。ボランティアの高齢化も各地で課題となるなか、若い世代が立ち上がった好例ともなりそうだ。26年3月1日に新体制での清掃集会が開催予定。

新団体の詳細

広沢寺の岩場清掃集会 協議会事務局(担当:梅澤 渉)
〒220-0041 神奈川県横浜市西区 戸部本町41-4 暁ビル みろく山の会内
TEL:045-325-7641
MAIL:koutakuji-kyougikai@xug.biglobe.ne.jp

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