降雪も記録し夏山とは違うコンディションに。状況を確認して計画・行動を 島崎三歩の「山岳通信」 第281号

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長野県が県内で起きた山岳遭難事例について配信している「島崎三歩の山岳通信」。2022年10月13日に配信された第281号では、県内の山ではすでに降雪を記録するほど冬が近づいてきている状況を説明。夏山とは違った状況になっていることを理解して、計画・行動することを促している。

 

10月13日に配信された『島崎三歩の「山岳通信」』第281号では、期間中に起きた14件の山岳遭難事例について説明。以下に抜粋・掲載する。

  • 10月3日、北アルプスの爺ヶ岳で、単独で入山した51歳の男性が、柏原新道を下山中に転倒して行動不能となる山岳遭難が発生。県防災ヘリが出動して男性を救助した。

  • 10月3日、北アルプスの燕岳で、2人パーティで入山した52歳の女性が合戦尾根を登山中に、疲労により行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して女性を救助した。

北アルプス燕岳での遭難救助現場/長野県警察本部 ホームページ 山岳遭難発生状況(週報)10月11日付

  • 10月3日、中央アルプスの千畳敷で、2人パーティで入山した42歳の女性が宝剣山荘から千畳敷カールを下山中に転倒して足を負傷する山岳遭難が発生。駒ヶ根警察署山岳遭難救助隊員及び中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して女性を救助した。

  • 10月3日、北安曇郡小谷村の雨飾山で、5人パーティで入山した74歳の男性が雨飾山から下山中に転倒して負傷し、行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 10月4日、北アルプスの白馬岳で、単独で入山した79歳の男性が白馬大雪渓上で倒れているところを発見され、救助したものの死亡が確認された。男性は白馬岳から大雪渓を下山中、滑落した模様。

  • 10月7日、長野市信州新町日原西地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した87歳の男性が行方不明となっている。

  • 10月7日、中央アルプスの木曽駒ヶ岳で、2人パーティで入山した69歳の女性と74歳の男性が、濃ヶ池から宝剣岳に向けて登山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。駒ヶ根警察署員及び中央アルプス地区山岳遭難防止対策協会救助隊員が出動して2人を救助した。

  • 10月7日、北アルプスの北穂高岳で、単独で入山した72歳の男性が、10月4日に南岳付近の山小屋を出発したのちに所在不明となっていることを確認。松本警察署山岳遭難救助隊などが捜索活動を行い、9日に大キレットにおいて白色上衣、黒色下衣着用の男性遺体を発見し、県警ヘリが収容した。

  • 10月8日、駒ケ根市中沢地籍の山林内で、きのこ採りのために単独で入山した81歳の男性が下山途中に足を滑らせて河川内に滑落する遭難が発生。救急隊員が男性を救助した。

  • 10月8日、北アルプスの前穂高岳で、単独で入山した59歳の男性が、前穂高岳から上高地に向けて下山中に道に迷い行動不能となる山岳遭難が発生。県警ヘリが出動して男性を救助した。

  • 10月9日、大町市八坂宮の尾地籍の山林内で、きのこ採りのために3人パーティで入山した70歳の男性が滑落する遭難が発生。北アルプス広域消防本部署員が出動して男性を救助したものの死亡が確認された。

  • 10月9日、八ヶ岳連峰の蓼科山で、3人パーティで入山した65歳の男性が、下山中に石につまづいて転倒・負傷する山岳遭難が発生。佐久警察署山岳高原パトロール隊及び佐久広域連合消防本部が出動して男性を救助した。

  • 10月9日、北アルプスの北穂高岳で、2人パーティで入山した14歳の男性が北穂高岳に向けて登山中に落石に当たり負傷する山岳遭難が発生。松本警察署山岳遭難救助隊員及び長野県山岳遭難防止常駐隊員が出動して同行下山した。

  • 10月9日、下伊那郡阿智村清内路地籍の山林内で、きのこ採りのために2人パーティで入山した82歳の男性が、体調不良により行動不能となる山岳遭難が発生。警察及び消防が救助したものの死亡が確認された。

 

長野県警山岳安全対策課からのワンポイントアドバイス

10月2週は、14件の遭難が発生し、うち、きのこ採り遭難が4件発生しました。

標高の高いところでは積雪のある山域もあり、冬山の装備が必要となります。転倒や滑落は、疲労や集中力の欠如から発生する場合が多いことから、事前準備と下調べを十分に行い、自分の体力や技量に見合った登山計画をお願いします。

また、夏に比べて、喉の渇きを感じにくいため、休憩した際には、こまめに水分やエネルギーを補給し、脱水症状にならないようにしましょう。

平地では秋の涼しい気候でも、標高の高い山域では初冬並みの気温になっていますので、寒さに耐えられる防寒着を必ず携行しましょう。また、日没が早くなっていますので、遅くとも午後3時までには目的地に到着するような計画を立てましょう。

プロフィール

島崎三歩の「山岳通信」

信州の山岳遭難現場と全国の登山者をつなぐために発行。「登山用品店舗スタッフ」「登山情報サイトを利用する登山者」「長野県内の各地区山岳遭難防止対策協会」などに対して、長野県の山岳地域で発生した遭難事例を原則・1週間ごとに、「安全登山」のための情報提供をしている。

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島崎三歩の「山岳通信」

長野県では、県内の山岳地域で発生した遭難事例をお伝えする「島崎三歩の山岳通信」を週刊で配信。その内容をダイジェストで紹介する。

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