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節分に咲くのか? セツブンソウの不思議

高橋 修の「山に生きる花・植物たち」
たしなみ 2019年02月14日

節分の頃に咲くから「セツブンソウ」と名がついた、というのは本当だろうか? 例えば埼玉県・秩父の自生地で咲くのは3月に入ってからで、節分はだいぶ過ぎている時期に思うのだが――。

 

セツブンソウは節分の頃咲くから、というのが名前の由来なのだが、秩父など関東周辺の自生地では3月に入ってようやく開花する。節分の頃に咲くからセツブンソウという命名は間違いではないだろうか、と思っていたら、間違っていたのは私だった。

セツブンソウの群落。山梨の自生地では3月に咲く


旧暦は月の満ち欠けをひと月とし、現在使っている暦(太陽暦)とずれるので、旧暦から来ている多くの行事は今の暦とはずれていた。節分が新暦と旧暦とがずれて3月初旬が節分になったためではないかと思ったが、賢い人はいるもので、「節分は太陽の運行から決められているので旧暦とは関係ありません」と教えていただいた。

これはいけないと、関東中心の考えをやめて、日本全国の自生地の開花状況を調べてみた。するとわかったのは、確かに関東周辺の自生地では、3月上旬に咲くのだが、中国地方のセツブンソウ自生地や、中部地方の自生地では、実際に2月2日の節分の頃に咲くことがわかった。

特に中部地方のセツブンソウ自生地では開花が早くて、2019年1月にはもう咲き始めたようである。これでは節分の頃には花は終わってしまいそうな勢いである。

秩父の自生地。白色の花びら状のものは萼片


今、私は関東地方に住んでいるし、植物の情報も東京が中心になっていることが多い。しかしその考えにとらわれすぎていると、わからないこともたくさんある。日本の植物は当然ではあるが、日本全土に生えている。東京中心な考えだけではいけないのだ。

セツブンソウは、花そのものも、とても変わっている。花びらに見えるのは、萼であり、花弁はその内側にある雄しべのように見える黄色い棒状のもの。雄しべはその内側に沢山あり、雌しべはさらにその内側にある。花弁は黄色く、まるで蜜をたっぷり蓄えているように見えるもの。

黄色い棒状のものが花弁、先端は4つに分かれる。雌しべは雄しべの間にある紫色の棒状のもの

セツブンソウの蕾。これが上を向いて咲いてくる


セツブンソウがこんな早い時期に咲くのも、他に咲く花がほとんどないからだ。こんな寒い季節でも、アブやハエなどの昆虫は活動している。アブやハエは花粉を運んでいる。実際、飛んでいるのを観察したことがある。この時期に咲いている花が少ないため、小昆虫が少なくても、効率よく花粉を運ぶことができるのだ。

教えてくれた人

高橋 修

自然・植物写真家。子どものころに『アーサーランサム全集(ツバメ号とアマゾン号など)』(岩波書店)を読んで自然観察に興味を持つ。中学入学のお祝いにニコンの双眼鏡を買ってもらい、野鳥観察にのめりこむ。大学卒業後は山岳専門旅行会社、海専門旅行会社を経て、フリーカメラマンとして活動。山岳写真から、植物写真に目覚め、植物写真家の木原浩氏に師事。植物だけでなく、世界史・文化・お土産・おいしいものまで幅広い知識を持つ。

⇒高橋修さんのブログ『フィンデルン』

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