待ちわびた雪山シーズンが到来。専門の装備や経験・技術が必要な雪山登山に比べ、ふかふかに積もった雪の上を歩くスノーシューハイクは雪山初心者でも楽しめるとあって、近年人気が高まっている。
そこで今回は、急登が少なくスノーシューに最適な積雪のコンディションが整った、日帰り可能な関東近郊(長野・群馬)と関西にある5コースを紹介。ただし、積雪量やトレースの状況によってはアイゼンが必要な場合もあるので出発前に確認してから出かけよう。
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甲斐駒ケ岳から北に延びる山稜の末端近くに位置する入笠山は、なだらかな山容で標高も1955mとハイキングをするのに最適な山。最大の魅力は山頂からの大展望で、釜無川の谷を隔てて連なる八ヶ岳や南・中央・北アルプス、御嶽山、奥秩父、富士山など人気の山々を一望できる。
スタートは東側斜面にあるスキー場のゴンドラ山頂駅近くの登山口。そこからカラマツ林を抜けてスズランの群生地を過ぎ、入笠湿原へ。その後、車道を進みマナスル山荘が建つ入笠山登山口(御所平峠)から尾根に入り、やがて山頂に到着する。帰路は往路を戻る。
コースタイムは1時間55分、雪山シーズンは1月~3月だ。
高低図
黒檜山を主峰とし、駒ヶ岳や地蔵岳、鍋割山、鈴ヶ岳、長七郎山などの総称である赤城山。群馬県沼田市と前橋市の境付近にあり、本格的な雪山入門にふさわしい。ここで紹介するルートは長七郎山と地蔵岳を縦走するコースで、登山者も少なく静かな深雪歩きと美しい展望を楽しむのにおすすめだ。さらに小沼が結氷していれば湖上歩きもでき、他では味わえない冒険心をくすぐるコースでもある。
スタートは赤城公園ビジターセンター。そこから覚満淵を左手に鳥居峠に進み、小沼平分岐を経て小地蔵へ。その後、広大な展望を楽しめる長七郎山山頂から小沼南岸へ進み、八丁峠を経てアンテナ林立の地蔵岳山頂へ。目前にそびえる黒檜山の景色を堪能したら、榛名山を眺めつつ樹林を下ると赤城大洞バス停に下山し、ビジターセンターに戻る。
コースタイムは3時間50分、雪山シーズンは12月~3月だ。
高低図
標高2000m前後の広大な雪原台地が広がる美ヶ原。視界の先に浮かぶ北アルプスの山並みや美ヶ原の塔の姿はここならではの象徴的な眺望だ。標高差が少ないので初心者向けといえるが、目印が少なく道迷いしやすい。また、風をさえぎるものがないので強風にも注意しよう。
スタートは山本小屋ふる里館にある町営駐車場。めざす美しの塔、そして最高地点の王ヶ頭山頂に向かってまっすぐに進もう。平らな雪原はまさにスノーシューの足慣らしにうってつけだ。王ヶ鼻まで進んだら、帰路は来た道を戻る。
コースタイムは3時間30分、雪山シーズンは1月上旬~3月中旬だ。
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滋賀県、三重県、奈良県の県境に位置する三峰山。標高は1235mで高見山地(三峰山脈)の名峰として知られ、例年霧氷の時期にあわせて開催される霧氷まつりでは登山記念のバッジが進呈されるなど人気がある。危険な箇所も少なく、開放感のある八丁平の景観が素晴らしい。
スタートはみつえ青少年旅行村。林道分岐を登り尾コースを進み、避難小屋を経て三畝峠、そして曽爾高原などが見下ろせる三峰山山頂へ。山頂の南にある高原状の八丁平は台高山脈を一望できるのでぜひ足を伸ばそう。そこからは新道峠、林道出合を経てスタート地点のみつえ青少年旅行村に下山する。
コースタイムは4時間30分、雪山シーズンは12月中旬~2月下旬だ。
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滋賀県甲賀市に位置する綿向山。独立峰のように見えるが鈴鹿山脈に属し、同山系の中でも積雪量が多く、霧氷の山として人気が高い。さらに山頂からは谷を隔てて純白の雨乞岳などの展望が広がるなど、雪山入門コースだが本格的な雪山の景色を存分に味わえる。市街地からのアクセスのよさもポイントが高い。
スタートは北畑口バス停。ヒミズ谷出合小屋を経て登山道を進み、五合目小屋からは近江平野の展望を楽しもう。さらに行者コバの先からブナの森を進み、霧氷を見ながら登りきると山頂へ。山頂には古墳時代中期に創建された大高神社が祀られている。帰路は往路を戻ろう。
コースタイムは5時間25分、雪山シーズンは12月下旬~3月上旬だ。マイカーの場合は、御幸橋駐車場を利用し、コースタイムは4時間になる。
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