行程・コース
天候
晴れ
登山口へのアクセス
バス
その他:
平湯温泉から濃飛バス高山行きバス(6:55発)
五色ヶ原の森入山口バス停(7:05着)
ガイド付きツアー集合時間は7:00だが、路線バスでは間に合わないので、事前連絡で了承してもらっていた。案内センターからさらにマイクロバスで出発点である出合い小屋まで移動(マイクロバスでの往復はツアーに含まれる)。
(帰り)出合い小屋から、マイクロバスで案内センターに戻る。わたしは、ほおのき平バス停で途中下車し、新穂高温泉行きバスに乗車、平湯温泉へ。
この登山記録の行程
出合い小屋(8:11)・・・岩魚見沢小屋(11:23 12:00 )・・・出合い小屋(15:25)
なお、地図はGPS記録の切り忘れで、帰りのマイクロバスでの移動が一部含まれています。実際にはstart地点に戻る周回コースです。コースの道のりは、7.3Km
高低図
登山記録
行動記録・感想・メモ
乗鞍岳とその周辺をめぐる山旅の二日目は、五色ヶ原の森シラビソコースのガイド付きツアーに参加。溶岩台地の上に形成されている原生林と、豊かな水、そして美しい布引滝を巡ってきました。
このコースは、一日百人までと入山が制限されており、ガイド付きツアー(大人9000円、最小催行2名)でないと歩くことができません。しかし、それだけの価値が十分にある素晴らしい体験ができるコースでした。秋の紅葉シーズンや、もう一つの滝をめぐる「カモシカコース」もぜひ行って見たいと思います。
参加には、10日前までの事前予約が必要で、ホームページや電話で申し込みできます(https://goshikinomori.com)。なお、最小催行人数に達している場合は、単独や直前でも受けてくれることがあるので、電話で相談されると良いでしょう。今回はシラビソコースを歩くのは3グループ、それぞれ10名くらいでしたが、私のグループは3名でした。時間をずらして歩くので、静かな山歩きが楽しめます。
コース自体は起伏も少なく、よく整備されているので危険箇所はありません。しかし基本は登山道ですから、足回りは少なくともハイキングシューズが望ましいでしょう。
今回のコースの技術的な核心部分(?)は、集合時間に五色ヶ原森の案内センターにたどり着くことでした。マイカーなら森の案内所前に駐車場がありますから、何も問題ないのでしょう。しかし、平湯温泉に前泊しても公共交通機関でアプローチしようとすると、結果的には7時に集合することが不可能なのです。
当初、平湯温泉6:40発の乗鞍岳行きシャトルバスに乗れば、案内センターの目の前の「五色ヶ原の森入山口」バス停に6:55には到着できる計算でした。ところがバス案内所で念のために確認すると、そのバスは目の前を通るにもかかわらず、「五色ヶ原の森入山口」には停車しないとのこと。結局、平湯温泉6:55発高山行きバスに乗車し、7:05に集合場所に着きました。幸い、五色ヶ原森案内センターに前日に相談をし、柔軟に対応していただけましたが、関係機関の連携が不十分に思えました。なお、高山からバスでアプローチする場合は、このような問題はないそうです。
さて、前日の乗鞍岳の稜線(https://www.yamakei-online.com/cl_record/detail.php?id=138478)以上に素晴らしかったのが、こちらの山麓の森、沢と滝でした。様子は写真とキャプションを見ていただければと思いますが、入山制限しているためか、登山道の真ん中にも苔が豊かに茂っています。以前登った屋久島同様に、ここでも強く感じたのは「生命のせめぎ合い」でした。少しでもたくさんのお日様を、少しでも早く浴びるために木々は競い合っています。そしてそのための戦略が実に多様であること。むやみに争うだけではなく、時には棲み分けたり、協力しあったり、実に多様です。ガイドさんについてゆっくり歩くのですが、観察のポイントを教えてもらえるというのも良い体験です。「生命観」を揺さぶられるような、思いでした。
見かけほど土壌や栄養の面で豊かでない溶岩台地の森を歩いたり、銅が出て山中に突如できた3千人もの集落が閉山とともにまた森に戻っていく姿などを見ると、エネルギーや養分、付加価値で消長があるのは人間も同じだなと思いました。なぜ地面からではなく、岩の上に生した苔から木の芽が吹き出るのか、「なぜ今はこうであるのか?」という問いはつきません。
大自然を紹介するTV番組で、不毛の深海底の中に熱水が噴き出しているポイントがあり、その周囲だけ生命が繁茂しているのをみたことがあります。そして熱水が噴出しなくなると、そこはまた不毛の場所に戻るのです。美しい乗鞍山麓の森で、自然や人、街の興亡も同じだなあなどと考えるのは私だけでしょうか?
フォトギャラリー:34枚
二日目は、乗鞍岳山麓の五色ヶ原の森へ。午前7時集合
二つあるガイド付きツアーのうち、今回はシラビソコースを行く。五色とはこの辺りに大きな虹がかかることからついた名前なのだそうだ。
不思議な造形ですね
シラビソの樹皮にポツリと膨らんでいる部分を押すと、爽やかな香りの樹液が出てくる
トリカブトの花
日雇声(ひよごえ)滝。かつて切り出した木材を川に流していた時に、日雇人夫がここで亡くなったという伝説があるそうです。
岩の上の苔を拠り所に生える樹木
ハナウドではなく、シシウドだそうです
トリカブトもたくさん咲いている
わさび平湿原で、ワサビをかじってみる。ここから程なく岩魚見小屋で、長めの昼食休憩。あらかじめ予約しておいた弁当(800円)を食べる。沢音を聞き、仰向けに寝そべって青空を眺めながらしばしうたた寝。
苔は倒木や、岩の上に繁茂していて地表部分にはほとんどない。屋久島と似て、溶岩の流れたここでは見かけほど土壌が豊かではなく、着床が起こっているのだろう
ゴゼンタチバナの花が残っていた。花をつける六枚葉のものと、つけない四枚葉のものがあるそうだ
ここでもシラビソの若木が生えているのは、地表ではなく岩の上だ
美しいシラベ沢
水も甘くて美味しい
ハナウド(シシウドだそうです)があちこちに咲いていた
マッターホルンに似ている巨岩。まあ確かに
溶岩の岩塊の上に苔が生し、その上に樹木がはえる。こうした地形を地元では「ゴスワラ」と呼ぶそうで、豊かな伏流水が流れている
樹皮を覆った苔の上に、ゴゼンタチバナが生えている。豊かな土壌が溶岩の上に形成されるには、気の遠くなる時間が必要で、それまでは苔が土壌の役割を果たしているのだ
ここでも樹木の表面にはえた地衣類が、いわば揺りかごになってゴゼンタチバナが生えている。
何匹イワナが泳いでいるのが見えますか?
ダケカンバの樹皮は、薄く剥がれる上に油分を含んでいるので、濡れていても良く燃えるそうだ。いざという時のために覚えておくといいかも。
炭焼きをした石垣の後。銅を産出した鉱山がかつてあり、三千人もの人が暮らした街がこの森の中にあったそうだ。
雄池。蚊がすごくて、景色もそこそこ足早に通過しました
古いクマの爪痕だそうです
シラビソコースもいよいよクライマックスへ。横手滝
横手滝から桜根滝へと下る流れの直上を、飛沫を浴びながら吊り橋で渡る
そしてこのコースの白眉、布引滝。パノラマ写真でお目にかけたいところだが、こればかりは実際に出かけるしかないだろう。